インバウンド対策 日本人だけでは限界が/成田空港が実践する「外国人の心を掴むインバウンド対策」とは?〜前編〜という記事で成田国際空港のインバウンド対策についてインタビュー内容を紹介しました。今回の記事では成田国際空港が活用している株式会社ビースポークが提供、多言語チャットボットBebot(ビーボット以下、Bebot)の導入事例を紹介します。
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※新型コロナウイルスの感染拡大を受け、
Bebotとは、AI(人工知能)を活用し、スマホ上のチャットで訪日外国人の困りごと・要望に、24時間自動応答ができるWEBサービスです。
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コンシェルジュ機能をアウトソーシングできる多言語チャットボットBebot
-Bebotをなぜ導入したのでしょうか?

成田国際空港経営企画部門IT推進部、情報企画グループ、村上智彦氏(以下、村上氏):
コンシェルジュ機能をBebotで代替できると思ったからです。成田国際空港でも「成田コンシェルNariCo」というコンシェルジュアプリを開発して運営をしていました。そのアプリを丁度リニューアルするか、別の手段に切り替えるか、検討している時期があり、そのときにBebotの話を聞いて導入しました。
自社でアプリを運営していくことも考えたのですが、そうすると莫大なコストが掛かります。エンジニアもアサインさせないといけないですし、アプリだからといって全てをアプリだけで完結させることはできません。何かあった時のためにオペレーターを準備しておく必要があります。それらのコストを考えた時にコンシェルジュ機能がアウトソーシングでき、外国語で対応できるBebotに魅力を感じて導入することになりました。
あとは、Bebotはアプリをダウンロードする必要がなく利用できます。成田国際空港内のWi-Fiに接続するとBebotが立ち上がり気軽に質問できます。訪日外国人にアプリをダウンロードさせることはかなりハードルが高かったりします。気軽に質問をしてもらうためにはインストール型のアプリではなく、WEBサービスであることが重要だと思います。

-Bebotの活用状況はいかがですか?
村上氏:
1日1万〜2万人の成田国際空港に訪れている訪日外国人がBebotにアクセスしています。Bebotを活用してからは大きなクレームを今までもらったことはありません。Bebotがチャットで対応し、Bebotだけでの対応が難しそうな質問が来たら、Bebotのオペレーターが出てきて有人対応してくれます。また、Bebotのスタッフの方々は外国人ですので外国人に伝わる対応ができます。
Bebotを活用した外国人からもお褒めの言葉をいただくこともあります。Bebotに対して「対応してくれてありがとう」といったメッセージが届くこともあります。他にも成田国際空港を訪れた外国人のインスタグラマーが、チャットボットが対応をしてくれるユニークな空港だ。ということでつぶやいてくれたこともあります。
あと、変わった使い方としてアンケートや調査での活用をしています。

チャットボットを活用し訪日外国人へのリサーチが可能
-具体的にはどのような使い方ですか?
村上氏:
Bebotのチャットを通して外国人にリサーチができます。今まではアンケートや調査を実施する場合、リサーチ会社を活用したり、英語ができるスタッフを活用したり、工数や時間がかかっていました。しかしBebotを活用し、チャットを利用している訪日外国人に対して、アンケートができるため、気軽にかつスピーディーにリサーチができるようになりました。私は英語ができないため、調査したいと思っても自分で外国人にインタビューができませんでしたが、Bebotを活用し成田国際空港について気になることを訪日外国人から聞き出せるようになりました。訪日外国人の方々もチャットなので気軽に答えていただけるのかなと思います。

-どんな調査を実施したのですか?
村上氏:
成田国際空港内のWi-Fiの接続状況について調査をしました。その結果から、よりWi-Fiを繋がりやすくするために改善に取り組んでいます。

他にも変わった調査で訪日外国人の方々に仮面ライダーはどれくらい認知されているか?といった調査もしました笑。
ITを活用し成田国際空港の利用者を楽しませる取り組みとして、仮面ライダーと成田国際空港がコラボし従来から取り組んできた「変幻灯」の光投影技術を使った、平成仮面ライダー20人揃いのビジュアルを展示しています。この展示があったため、この機会に仮面ライダーが訪日外国人に知られているのかというのをBebotを通じて聞いてみました。

ちなみに、一番認知されていたのが仮面ライダーBLACKでした笑。こういったことも情報として取れるのはスゴい価値がありますし、今後の改善にも活かしていきたいです。さらに、ビースポークさんは外国人スタッフが多く、どうしたらうまく回答をしてもらえるのか?といったノウハウも蓄積されているので、とても頼りにしています。聞き出し方1つで回答率もかなり変わってきます。

調査を元に素早いPDCAを回し取り組んでいる成田国際空港
-Bebotを導入して一番の変化はどのような所にありますか?
村上氏:
Bebotでコンシェルジュ機能をアウトソーシングして負荷が減ったという部分もありますが、一番はすばやく調査ができてデータを活用した動きができるようになったことです。
今までは調査しても結果が出てくるのに時間がかかり、そこから改善するにも非常に時間がかっていました。しかしながらBebotを活用して、アンケートや調査を実施し素早く次のアクションに移せるようになりました。我々のような大きな施設や観光地などはトランザクションが多いのでユーザーの意見を直接聞くことは難しいですがBebotを利用すると意見が聞き出せるようになります。我々の空港や商業施設、観光地などはBebotをうまく活用できるのではないかと思います。
まとめ:顧客満足度を上げるだけでなく、リサーチにも活用できるチャットボットBebot
成田国際空港では顧客満足度を向上させるために多言語チャットボットであるBebotを導入しています。それだけではなく、チャットボットが気軽にユーザーと接点が持てコミュニケーションが取れるという強みを活かし、リサーチに活用されています。訪日外国人の出入りが激しい空港ならではのチャットボットの活用事例なのではないでしょうか。
【6/11開催】欧米豪インバウンドに刺さる!“地域にどっぷり浸かる”ローカルイマーシブ観光とは?
本ウェビナーでは、株式会社movと株式会社大阪メトロ アドエラの共催により、欧米豪向けインバウンドをターゲットとした「ローカルイマーシブ “地域にどっぷり浸かる没入体験”の提供」をテーマに最新情報をお届けします。
2025年大阪・関西万博の開催を契機に、欧米豪を中心とした訪日外国人観光客が関西を中心に日本全国に訪れる機会が急増しています。
一方で、地域の受け入れ側には「英語対応が難しい」「どう関わればいいかわからない」「コンテンツや訴求方法がわからない」「対応できる人材がいない」といった課題も多く、せっかく外国人観光客が訪れても、地元に経済的な波及効果が十分届いていないのが現状です。
本セミナーでは、大阪メトロ アドエラが展開する欧米豪向けインバウンド事業「Osaka JOINER」をもとに“まち全体でインバウンド受け入れるスキーム”を通じた、インバウンドに関わる人と経済のパイを増やすための可能性を紹介します。
観光施策、まちづくりに携わる方にとって、明日から活かせるヒントが満載です。
<本セミナーのポイント>
- 欧米豪インバウンドに刺さる「ローカルイマーシブ観光」の実践例がわかる!
- 多様な人材や事業者を巻き込む”まち全体”に経済効果を波及させる仕組みがわかる!
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詳しくはこちらをご覧ください。
→欧米豪インバウンドに刺さる!“地域にどっぷり浸かる”ローカルイマーシブ観光とは?【6/11開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年5月後編】2025年の訪日客数「4,500万人」へ、観光庁長官の見解は? ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に5月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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詳しくはこちらをご覧ください。
→2025年の訪日客数「4,500万人」へ、観光庁長官の見解は? / 2025年訪米旅行者支出「125億ドルの損失」予想 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年5月後編】
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