「机上のインバウンドはうまくいかない」売上を5年で12倍に伸ばした阪急阪神百貨店のインバウンド対策の秘訣とは?

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米マスターカードが発表している世界の海外旅行市場に関するレポート「Mastercard Destination Cities Index」によれば、大阪は2009年から2016年にかけて、世界で最も海外旅行者数の年平均増加率が大きかった都市であったと述べています。具体的には大阪で2009年から2016年にかけて年平均+24.0%で外国人観光客が増加し続けています。

そんな大阪で訪日外国人観光客から絶大な人気を得ているのが劇場型百貨店である「阪急うめだ本店」です。今回は株式会社阪急阪神百貨店、営業政策室 インバウンドマーケティング部シニアマネージャーである叶陽子氏にインバウンド対策の秘訣をインタビューしてきました。


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己を知り、相手を知ることが大前提

株式会社阪急阪神百貨店インバウンドマーケティング部シニアマネージャーである叶陽子氏(以下、叶氏):

インバウンド対策に取り組む上で重要な考え方があります。

-どのような考え方なのでしょうか?

叶氏:

彼を知り、己を知れば、百戦して危うからず」と孫氏が述べていますが、つまり己を知り、相手を知ることがインバウンド対策を取り組む上で重要な考え方になります。

私は阪急阪神百貨店に入社してから様々な部署で経験をしましたので、百貨店について熟知していました。しかし、インバウンドについては何も知りませんでした。

2012年、劇場型百貨店「阪急うめだ本店」がグランドオープンすると同時にインバウンド部署を立ち上げたのですが、ことインバウンドとなると何から始めたらいいのかわかりませんでした。ノウハウも実績も何もありませんでした。

劇場型百貨店の強みを活かし、外国人の方々と接点を持つためにはどうしたらいいのだろう?」と考えたときに、最初に出てきたアイディアが、インバウンドに携わる方々に対して百貨店ツアーを実施するということでした。

インタビューに答える株式会社阪急阪神百貨店インバウンドマーケティング部シニアマネージャー叶陽子氏
インタビューに答える株式会社阪急阪神百貨店インバウンドマーケティング部シニアマネージャー叶陽子氏

-百貨店ツアーとはどのようなものなのでしょうか?

叶氏:

百貨店ツアーは、開店前の百貨店に招待して店内を案内することです。特にインバウンド関係者に声をかけて実施すれば、外国人を呼んできてくれるのではと考えました。例えば、当時の大阪観光局旅行会社ホテルコンシェルジュ通訳案内士など、外国人との接点を持つ方々に百貨店の魅力を知ってもらうべく取り組みました。

そのおかげで翌年である2013年からはファムトリップで数多くの海外メディアや訪日に関わるキーパーソンが訪れていただくようになり、さらに、直接海外でのPR活動も加えそこから人気に火がつきました。それをきっかけに外国人と接点を持つことができ、彼らをよく理解できましたので、その後のインバウンド対策に役立てることができました。

インバウンド対策には欠かせない2つの柱

叶氏:

インバウンドには欠かせない2の柱があります。

-2つの柱とは?

叶氏:

それは「攻め」と「守り」です。「攻め」はお客さんを開拓して連れてくる、PRするといったマーケティング活動を通じて、より多くの外国人を知ってもらうことです。一方「守り」は来てくれたお客様に満足してもらう活動です。両者ともバランスを持って取り組むことが重要ですが、私は「攻め」を大切にしており、特に「現地に行くこと」を意識しています。

-それはなぜでしょうか?

叶氏:

机上のインバウンドよりリアルインバウンドはうまく行く」と考えているからです。現地に行くことによって2つのメリットがあります。1つは旅行博などに出ることにより、現地の方々に顔を覚えてもらい集客につながります。何度も出ることで、阪急百貨店を覚えてもらえますし、向こうはフェイス・トゥ・フェイスのやり取りを重要視します。うまく行けば大阪=阪急百貨店というイメージを持ってもらえるかも知れません。大阪に来たら「阪急百貨店によってみよう」と思い、集客につながります。いわば人脈作りです。

-2つ目のメリットとは?

叶氏:

現地の実態を知ることができます。「タイ人はこう、台湾人はこう」といった固定概念は誰しもが持っているはずです。しかし、現地に行ってみると、新たな発見があったり、固定概念が崩れたりします。

例えば、飲み物を勝手に持ち込むことで東アジアの方々は食事のマナーが悪いという風に思われている方がいるかも知れません。それはマナーが悪いのではなく、そもそも文化が違うのです。私達が台湾旅行博に行ったときに、打ち上げで食事に行きました。日本であればその場でお酒を飲みながらご飯を食べます。しかし、台湾ではお酒と一緒にご飯を食べる文化ではないため、多くの店にお酒がお店に置いてありません。だからこそ、台湾人は飲み物を持ち込みをする文化なのです。台湾人は日本のマナーを知らず、お店にモノを持ち込んでしまうことがあります。現地に行くことでこのような文化の違いを身を持って体感できます。

実態を知ることによって、文化の背景を理解できるため、守りである接客でも活かされています。つまり冒頭であった「己を知り、相手を知ること」の相手を知ることができ、適切な接客ができます。

あとはスピード感もインバウンドでは欠かせません

過去のポスター
過去のポスター

-スピード感とは?

叶氏:

何事もすばやく取り組んでみることですね。例えば阪急百貨店では2013年からWeiboWeChatなどSNSの運用をいち早く取り組んでおり、プロモーションに役立てています。他にもその頃からタイ市場にも目を向けており、現地でのプロモーションなどにも早くから取り組みました。

インバウンド部署は当初私しかおらず、その上が上司や経営層だったので意見を伝えられやすかったという環境もありますが、すばやく取り組み、効果を検証することがインバウンドでは重要だと考えます。

他にも様々なインバウンド対策を実施してきましたが「己を知り、相手を知ること」を大前提に、攻めと守りをバランスよく取り組み、スピーディー行ってきたところ、インバウンドの売上が5年間で12倍まで増加しました。

今後は富裕層と広域での連携に力を入れていきたい

-今後はどのような展開を考えておりますか?

叶氏:

富裕層と広域での連携をキーワードにしていきます。阪急阪神百貨店では年間100万以上のお買い物された方々をシルバー会員としてVIP待遇しており、さらにそれ以上の買い物をされる方々はゴールド会員としています。シルバーやゴールド会員の方々がインバウンドの方々でもたくさんおります。VIP会員を増やしていくことと、他店舗にもVIPを増やすノウハウを伝えていきたいと思います。

広域での連携についてですが、日本に来てもらえないと、大阪に来ることもありません。さらに大阪の梅田に来ないと阪急百貨店に訪れてもらえません。このように、一企業、一地方だけではインバウンド対策は難しいです。広域での連携をできるように旗振り役として様々な取り組みをしていきたいと思います。インバウンド業界を底上げできるように自社でうまく行ったことを共有していきたいと考えています。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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