医療ツーリズムが日本経済を支える?注目の理由・医療ビザ・経済効果・課題

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より高度な治療を受けるために海外を訪れることを「医療ツーリズム」と呼びます。日本ではあまり馴染みのない言葉かもしれませんが、「メディカルツーリズム」とも呼ばれ、世界では一つの産業として確立されています。

昨年ごろから日本のインバウンド観光業界でもムーブメントとして認識されるようになった一方で、どちらかと言えば中国人観光客による保険制度の悪用医療費未払い問題など、ネガティブな文脈で語られるケースが多く感じられます。

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中国からの昨年2017年の訪日外客数は735.5万人となり、

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日本の優れた医療を求めて訪日旅行の際に医療行為を受けにくる医療ツーリズムはよく知られていますが、通常の旅行時に怪我をした、もしくは急病になったなどで、日本の病院で医療行為を受けた訪日外国人の医療費の未払いが度々話題になってきました。こうした背景を受けて、政府は医療費の未払いを過去にしている訪日外国人について、医療費未払いを繰り返す恐れがあるものに対して、再入国を禁止することとしました。インバウンド受け入れ環境整備を資料で詳しくみてみる「翻訳・多言語化」を資料で詳しくみてみる「多言語サイト制...

そこで今回は、 医療ツーリズムが注目されている理由やメリット、デメリットなどについて詳しく見ていきます。

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医療ツーリズムの基本情報

昨今、医療ツーリズムというキーワードが旅行業界から注目を集めています。 そんな医療ツーリズムとはどのようなものなのか、詳しく見ていきます。

医療ツーリズムとは?

医療ツーリズムとは、より高い水準の医療を求めて自国から他国へ旅行をし、医療サービスを受けることをいいます。

医療ツーリズムは、自らが納得する治療を自分自身で調べ、その治療に合った病院を世界中の病院のなかから選択する必要がありますが、インターネットの普及によって誰もが自由に病院や専門の医師、 口コミ情報などの検索が可能となったことで急激に広まりました。

医療ツーリズムが注目されているのはなぜ?

医療ツーリズム世界中の50カ国以上の国で自国産業の一つとなっているほど、国際的に注目されています。

日本でも徐々に認知されてきていますが、とくに旅行業界からの注目が高まっています。

それは医療ツーリズムによって来日した外国人患者が、治療後に病院周辺などを観光することが多いことや、同伴者や見舞い客が長期滞在することによる、インバウンド対策の成長市場として見込まれ始めているためです。

医療滞在査証(医療ビザ)とは?

医療ビザは、日本で治療を受けることを目的として訪れる外国人に発給されるもので、患者本人だけでなく、同伴者にも発給されるというもの。

滞在期間は、患者の病状などによって決定されますが、最大で6ヶ月です。ただし、90日間を超える場合には入院をすることが前提となり、法務省入国管理局から在留資格認定証明書を取得しなければなりません。

また受け入れ分野については、治療行為だけではなく人間ドックや健康診断なども含まれます。

医療ツーリストの渡航目的とは

医療ツーリストが、自国で治療を受けずにわざわざ海外へ行ってまで治療を受ける目的とはなんなのかを解説していきます。

高度な医療・待機時間の短縮

受け入れ先となる病院では、高度な医療設備と、ホテルにも劣らないほどの施設とサービスを提供しています。

自国には無い高度な医療を受けることができる上、より低価格で提供されている場合もあります。

また国によっては、手術を受けたくても数ヶ月や半年もの時間を待たされることもあるため、一部の富裕層などは待機時間を短くできる国へ赴いて治療を受けています。

医療ツーリズムは医療業界の活性化につながる?

医療ツーリズムがさらに広がれば世界との競争が生まれ、日本の医療業界全体の活性化に繋がるとされています。

競争が生まれることで場合によっては医療機関の経営が厳しくなることも予想されますが、医療技術の発展やサービスの向上、新たな技術の導入など、日本の医療全体の底上げへとつながっていくことが期待できます。

医療ツーリストが増えることで日本への経済効果も増大

医療ツーリストが治療や入院の前後に周辺を観光することで、飲食店や宿泊施設、観光地などでのインバウンド需要の増大も期待されます。

医療業界や旅行業界の発展だけでなく、日本経済全体への効果が見込まれているということです。

医療ツーリズムにおいて日本が抱える課題

インバウンド需要を増大させるということで大変魅力的に見える医療ツーリズムですが、課題もあります。

ここからは、医療ツーリズムにおいて日本が抱える課題を解説していきます。

日本の健康保険制度が崩壊?

医療ツーリズムが原因で日本の健康保険制度が崩壊するのではないかと言われています。

医療ツーリズムによって来日した外国人がより高レベルな保険外治療を望めば、健康保険が適用される治療よりもはるかに利益を生むことになります。そのため病院が利益を優先して医療ツーリズムの患者を受け入れ、日本人の保険適用の治療が優先されなくなってしまうことが懸念されます。

国内の整備の遅れ

日本の医療ツーリズムにおける需要は、新興国の富裕層やより低価格の医療を求めるアメリカなどからの医療ツーリストの需要が考えられます。

しかしそれらの需要を取り込むためには、海外への情報発信や医療ビザの整備、患者と医師の言葉の壁の問題を解決する医療通訳の育成など様々な課題を解決していく必要があります。

医療ツーリズムが盛んな愛知県の取り組み

日本で検診を受けて問題が見つかった場合でも、医療ツーリストが自ら治療をする病院を見つけなければならず、結局帰国して治療を受けることが多いという現状があります。

しかし愛知県では医療機関や通訳の手配なども全てサポートし、検診から治療までを一括して受けることができます。

また、愛知県の医療ツーリズムを推進する「あいち医療ツーリズム研究会」という団体がありましたが、2017年に「あいち医療ツーリズム推進協議会」が新たに発足し、医療ツーリズム推進に向けた具体的な取り組みを協議しています。

医療ツーリズムが日本経済発展に寄与?

日本では治療をするために海外へ行くと言う考えがあまり浸透していないかもしれません。ですが世界的には医療ツーリズムがひとつの産業として確立しています。

日本は世界と比べても医療の水準が高くより高度な医療を受けることができるため、それらを求めて日本を訪れる外国人も多くいます。

日本の医療業界がさらに発展するための重要なキーワードであると同時に、観光業界ではインバウンド需要の構成要素としても大きな注目を集めています。関連する課題を解決していくことで、今後医療ツーリズムが日本経済全体の発展に寄与していくことが期待できます。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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