※新型コロナウイルスのパンデミックを受け、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックは1年程度の延期が決定しました。詳細な日程、選考基準などは、公式情報が発表され次第、順次更新します。
2020年に開催される東京オリンピックまで、あと1年程度となりました。
今週からは、スポンサー企業である日本コカ・コーラ株式会社が東京2020オリンピックエンブレムを活用したデザインボトルでペットボトル飲料を販売しています。
この記事では、東京オリンピックのエンブレムに焦点を当て、採用されたデザインに込められた意味合い、採用されるまでの経緯などをわかりやすく解説していきます。エンブレムに隠された意味や海外からの評価を理解することで、東京オリンピックを違った角度から楽しむことができるはずです。
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東京2020大会オリンピック・パラリンピックのエンブレムのデザインは?
東京オリンピックのエンブレムは、1万4,599点もの応募作品のなかから「組市松紋(くみいちまつもん)」に決定しました。今回採用されたエンブレムは、デザインに市松模様(いちまつもよう)を施している所に大きな特徴があります。このエンブレムに込められた想いについて解説していきます。
組市松紋のデザイン
引用元:ホーム|東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
東京オリンピックのロゴとして採用された、「組市松紋」には世界的に親しまれている市松模様が用いられています。
市松模様は、チェッカー柄の元祖とも言われており、江戸時代に広く親しまれるようになった伝統的デザインです。オリンピックのエンブレムに採用された「組市松紋」では、この市松模様を、日本の伝統色である藍色を用いて表現することで、粋な日本らしさが表現されています。
また、オリンピックとパラリンピック、どちらのエンブレムも形の異なる3種類の四角形で構成されています。
この違いは、国や文化・思想などの違いを示しており、それらを超えてつながり合うデザインから、オリンピック・パラリンピック大会は多様性を認め合い、つながる世界を構築する場である、ということを意味しています。
また、オリンピックとパラリンピックのエンブレムの間では、四角形の枚数や中に描かれた小円の半径まで同じであり、それぞれの四角形を角度を変えずに動かすことで、お互いのエンブレムに変形することが可能です。これはデザイナーの「同じピースを使うことで平等の精神、大会の精神を示したい」という想いが込められています。
マスコットについてはこちらの記事で解説しています。
【ミライトワ・ソメイティ】東京2020オリンピック・パラリンピック公式マスコット |
※新型コロナウイルスのパンデミックを受け、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックは1年程度の延期が決定しました。詳細な日程、選考基準などは、公式情報が発表され次第、順次更新します。東京2020オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、様々な取り組みが行われています。東京都のある地域では、5月下旬から、東京オリンピック・パラリンピックの大会マスコットキャラクターをあしらった婚姻届と出生届を枚数限定で配布しているそうです。婚姻届は複写式で、手元に残る2枚目にオリンピック・パラリンピックのマ...
デザイナーは野老 朝雄(ところ あさお)氏
東京オリンピックエンブレムのデザイナーは、「FRP/F town ファサードパターン」や「BAOBAO TOKOLO PATTERN」などの作品で知られる野老 朝雄(ところ あさお)氏です。
東京オリンピックの公式ホームページには、次のようなプロフィールが公開されています。
在住 都道府県:東京都引用元:ホーム|東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
生年:1969年
職業:アーティスト
最終学歴:東京造形大学卒業、建築専攻
現在の所属:TOKOLO.COM
その他(受賞歴/代表作など):
・主な展覧会2010年 「MOTアニュアル2010:装飾」展(東京都現代美術館/東京)2010年、2011年 「オープン・スペース 」(ICC/東京)
2014年 「マテリアライジング展Ⅱ」(東京藝術大学美術館陳列館/東京)2016年 [個と群] 野老朝雄×青森市所蔵作品展(国際芸術センター青森/青森)
東京2020エンブレムコンセプトムービー
東京オリンピックの公式ホームページでは、エンブレムに込められた想いが詳細に解説された、東京2020エンブレムコンセプトムービーが公開されています。
これは東京オリンピックのエンブレムを、多くの人に愛されるエンブレムになってほしいという想いから作成されています。
以下はコンセプトムービー内で語られたメッセージです。
3つの異なる四角形は、多様性を表しています。みんなちがうから、おもしろい。みんなちがうけれど、つながれる。互いに認め合い、支え合いながら、ひとつになる時がやって来ます。同じ形、同じ数の四角形でつくられるふたつのエンブレム。それは、すべてが平等である証。障がいの有無を越えて、あらゆる障壁を越えて、人と人がつながってゆきます。スポーツの感動は、スポーツの興奮は、世界中誰もが共有できる。世界中みんなをひとつにする。新しい未来は、きっと、ここから生まれます。
東京2020大会オリンピック・パラリンピックエンブレム、盗用疑惑から変更へ
東京オリンピックのエンブレムが決定するまでに、デザインの盗用疑惑があり、エンブレムが変更になったという経緯があることをご存知の方も多いと思います。ここからは最終的に「組市松紋」が、ロゴとして採用されるまでの経緯を詳しく解説していきます。
デザインの盗用疑惑
オリンピックのエンブレムは元々、佐野研二郎氏による長方形と円、2つの三角形により構成されたデザインに決定していました。
これに対して、同じような要素で構成されるロゴを掲げているベルギーのリエージュ劇場は、同劇場のロゴとオリンピックエンブレムの類似を指摘し、国際オリンピック委員会へ使用差し止め訴訟を起こしました。
この訴訟が原因で、上記デザインの東京オリンピックのエンブレムは白紙撤回されました。
この件について、実際に盗用が行われていたのかの事実は定かではありません。デザイナーの多くは「五輪とリエージュ劇場のロゴとは似ていない」と考えているとの報道もあり、佐野研二郎氏を擁護する声も少なくありません。
東京オリンピックのエンブレム採用に対する賞金が100万円であり、盗用により得られる対価の小ささや、佐野研二郎氏自身もこの対価を引き合いに出しながらこのデザインは(金銭的報酬ではなく)名誉のために取り組んでいると明言していました。こうした前提条件を理由に「偶然の一致」ではないかと指摘する意見もあります。
最終候補の4案
盗用疑惑の後に行われた再公募で、エンブレムの最終候補として残ったデザインは、次の4案でした。A. 組市松紋
B. つなぐ輪、広がる和
C. 超える人
D. 晴れやかな顔、花咲く
2016.4.25に行われた第15回エンブレム委員会では、この中から良いと思った案に対して、全21人の委員が1人1票を投じ、過半数を得るまで、最下位を除きながら投票を繰り返すという方法で最終案の絞込が行われました。この時の委員会投票により、A案であった「組市松紋」が、東京オリンピックのエンブレムとして採用されることが決定しました。
海外の反応は?
シンプルな色合いで何重にも多様性を意味するデザインに仕上げられた「組市松紋」について、海外からはどのような反応が寄せられているのでしょうか。1964年の東京オリンピックエンブレムと比較しながら紹介していきます。
1964年東京オリンピックのエンブレムは評価が高い
1964年の東京オリンピックで使用されたエンブレムは、五輪マークの上に日の丸を掲げたシンプルなデザインです。
この時のデザインは「日本的であり、国際性に訴求できるもの」というモチーフを追求し、グッドデザイン賞のロゴマーク(Gマーク)やNTTロゴマーク、明治の旧ロゴマークなど多くの有名なデザインを手がける亀倉雄策氏が制作しました。
このエンブレムは世界的に「シンプルでカッコイイ」という評価を得ており、歴代のオリンピックエンブレムの中でも評価される部類に入ります。
【海外の反応】新デザインは賛否両論?
これに対して、今回のエンブレムに対する海外からの評価は賛否両論のようです。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)が行なった「2020年東京五輪の新しい公式ロゴは好きですか?」とのアンケートでは、「いいえ」が過半数を上回る56.7%という結果になってしまいました。
最終候補に残ったB案の「つなぐ輪、広がる和」の方が良かった、という意見や、青色しか使っていないことへの批判が目立つ調査結果もあり、落ち着いた色味が外国人の目には単調に感じられたと考えられます。
しかし、ここまで解説してきたように「組市松紋」には、一見するだけではわからない、多くのメッセージが込められています。加えて、落ち着いた日本の良さを表現するものとして、海外デザイナーからの評価は高いようです。
前述した東京2020エンブレムコンセプトムービーを見れば、そのデザインが包摂する多様性に関するメッセージを理解することができますが、動きのないエンブレムでは一般の人には本来の魅力がわかりにくく、評価の善し悪しが別れてしまっているようです。
東京オリンピックまであと1年!日本中の盛り上がりに期待!
盗用疑惑などの問題を乗り越え、日本らしさを感じさせる「組市松紋」が、東京オリンピックのエンブレムとして用いられることが決定しました。エンブレム一つとっても、海外で様々な意見が沸き起こるなど、東京オリンピックに対する注目は高くなっています。東京オリンピック・パラリンピックの開催まで、今週には400日を切ります。日本国内でもますます盛り上がっていくことでしょう。オリンピック期間中は、訪日外国人もこれまでにないほど増加することが予想されます。
様々な組織でインバウンド対策に力を入れることが、世界中が楽しめるオリンピックの実現につながるでしょう。
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