JTB総合研究所は、2019年3月にハワイで実施された「DMO国際フォーラム」のレポートを公表しました。日本型DMOの先進地域として知られるハワイは、日本からも多くの自治体やDMO関係者が視察に訪れています。
今回は、JTB総合研究所のレポートを元に、ハワイの新たな観光戦略や今後日本のDMOが注目すべきキーワードについて見ていきましょう。
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日本版DMOの先行事例「ハワイ州観光局」を取り巻く環境
1995年から開催されているハワイで最大の文化交流イベント「ホノルルフェスティバル」。今年で25回目という節目を迎えたのに合わせ、観光先進地として観光政策やDMOとしての取り組みが注目されているハワイの事例を学ぶべく、ホノルルフェスティバルの公式イベントとして「DMO国際フォーラム」が開催されました。
地域DMO、地域連携DMO、広域連携DMOの事例を紹介/地域観光を主導する「DMO」とは
登録DMO(Destination Marketing Organization/Destination Management Organization:観光...
日本からはDMO政策に関心のある宿泊関係者140名、自治体関係者4名、観光協会2名、JTB関係者61名、大学関係者23名、ハワイ現地ローカル20名と、計250名が参加しています。
「DMO国際フォーラム」では、日本版DMOにおいて海外の先行事例として取り上げられることが多いハワイ州観光局を取り巻く環境について触れられました。
ハワイ州観光局は1990年代半ばのハリケーン被害や日本のバブル崩壊で減少した観光客を呼び戻すべく、ワイキキ地区の大規模なリノベーションを実施し、数年間で観光客数を回復させています。
ハワイの事例は、日本のDMOが果たすべき役割を理解する上で、非常に有益な参考例となりました。観光は好調に伸びている一方で、ハワイ州の予算確保に向けて宿泊税を増税する報道もあるなど、財政基盤が必ずしも整っているわけではないといった現状にも触れています。
ハワイの新たな観光戦略の方向性「リスポンシブルツーリズム」
ハワイ州観光局は、地域のローカルライフを魅力として打ち出しプロモーションを実施したところ、地元住民の生活に観光客が介入しすぎることや、観光客のレンタカーの路上駐車が問題となるなど、観光客と地元住民の間で軋轢が生じる事態となりました。
日本を含む世界各国でオーバーツーリズムによる観光公害などが問題視されている今、地元住民への配慮こそ、持続可能な観光地を目指す上での重要項目と言えるでしょう。
現状をふまえハワイ州観光局は、「リスポンシブルツーリズム」という概念を提示しました。
「リスポンシブルツーリズム」とは、ハワイを例にすると、ハワイを訪れる観光客自身がハワイの文化やコミュニティ、自然環境に対する理解と、ハワイのサステイナビリティに対する責任を持ち、自律的な行動を取るよう促す取り組みです。
これまでハワイでは、2018年7月にサンゴ礁への有害物質を含む日焼け止めの販売を禁止する法案の成立や、2021年1月から施行される、ウミガメなどハワイの動物を保護するための法整備が進められています。
「アロハプログラム」というラーニングサイトも開設し、ハワイ文化などを深く理解してもらうためのハワイスペシャリスト検定も実施中です。観光で真の地域活性化を目指す上で大切なのは、対観光客の施策だけでなく、地元住民などへの配慮も念頭に置いた、ステークホルダーを意識したマーケティングと言えます。
サスティナブルツーリズムの意味・定義
サスティナブルという言葉は「持続可能な」という意味です。多くは地球環境の持続可能性を指し、環境問題を論じる際に用いられてきました。 最近では観光の分野でもこの「サスティナブル」という言葉が見られるようになってきました。 本編ではインバウンド市場における「サスティナブル」について解説します。 [com_category_dl_btn name="ツアー企画・ランドオペレーター" slug="tour-planning"] 目次 サスティナブルとは? サスティナブルツーリズムとは? サスティ...
DMOが考えるべき「ステークホルダー・マーケティング」とは

ハワイ州観光局を取り巻く環境と対策をふまえ、日本においてもDMOの役割を今一度深く見つめ直し、DMOを中心とした観光政策の整備が求められるでしょう。
中でも今後、持続可能な観光地作りの鍵となり得るのが、DMOによる「ステークホルダーマーケティング」です。
対観光客や旅行会社をはじめとする仲介機関だけではなく、地域社会や経済などあらゆる方向へ気を配る必要があります。DMOは観光振興を通じて実現していきたい地域のイメージを明確化し、あらゆる活動を定量的に提示した上で、効果をステークホルダーに示すことが重要でしょう。
地域を巻き込んだDMOによるインバウンド対策が鍵
今回ハワイで実施された「DMO国際フォーラム」は、日本から自治体や宿泊施設、観光協会関係者などが、改めて日本版DMOのあり方を議論する場となりました。参加者からは、テーマを変え次回の開催も望む声が多く寄せられたとのことです。
ハワイの先行事例をふまえ、対観光客だけでなく、地域社会への配慮も明確に示し持続可能な観光地作りを目指す「リスポンシブルツーリズム」や、DMOを中心とした観光政策の整備に向けた「ステークホルダーマーケティング」など、今後取り組むべきインバウンド政策のあり方を再確認できたと言えるでしょう。
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<参考>
・JTB INBOUND SOLUTION:「DMO国際フォーラムinハワイ」開催レポート
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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