北海道新千歳空港では、5月25日から31日まで、MR(Mixed Reality)技術を活用し、北海道むかわ町の「むかわ竜」のMR体験を実施しました。MRとはリアリティの高い仮想のイメージと、現実世界とを結びつけたものを意味し、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)の技術の応用により、現実のスペースに仮想の存在が実際にあると体感させる技術です。
「むかわ竜」のMR体験は、地域独自の遺産を活かして、新テクノロジーを駆使した仮想現実体験を提供する実証実験の国内初の取り組みです。
今回は、観光分野におけるMRの活用効果や、訪日外国人観光客を地域に誘客する実証体験の新たな取り組みについて見ていきましょう。
8メートルの「むかわ竜」をMR(混合現実)で再現、インバウンド向けにPR

訪日外国人観光客を地域に誘客する実証実験の実施にあたり、北海道むかわ町で化石が発見されたハドロサウルス科恐竜「むかわ竜」をモチーフにしたホログラムをコンテンツとして作成しました。
新千歳空港内の専用ブースで、マイクロソフト社のMR端末「ホロレンズ」を着用し、空港内を歩き回る約8メートルもの実物大のむかわ竜を見られるといった体験を実施しています。

そのほかにも、自分が洞窟内にいて、迫ってくるむかわ竜に触れるかのような体験も用意しました。
コンテンツ作りはむかわ町の協力のもと実施されており、MRコンテンツの開発には、Mixed Reality Partnerプログラムに認定されたポケット・クリエーズが携わっています。JTBは、MRという最新テクノロジーを駆使した実験の目的として、地域の素材を活用した新たな観光体験を訪日外国人観光客に提供し、その有用性を確認することを挙げました。
むかわ町の認知拡大への効果も期待

体験者へのアンケートを実施したところ、体験の満足度と第三者への推奨傾向は、多くの方から好意的な評価を得られたとのことです。
大多数を占めたのが「むかわ町を知らなかったが、行ってみたい」という回答で、地域への誘客促進といった側面からも、むかわ町の認知拡大に効果的なコンテンツとして、今後への期待が高まります。
また体験者の多くが初めてのVRまたはMR体験だったということで、新鮮かつライブ感に魅力を感じ、今後は雪の北海道や海の中の世界など、他のコンテンツでも体験してみたいとの声が目立ちました。今回の実証実験の目的の1つ、むかわ町の認知拡大と地域誘客の検証において、今後に繋がる成果が得られたと言えるでしょう。
MRを活用した観光分野での体験コンテンツ作り
いまだMRの活用が進んでいない観光分野において、今回の実証実験は先進的な取り組みとなりました。
MRでは、現在は失われてしまったものや、通常は見られないものも、現実世界に重ね合わせて再現することができます。これにより、これまでは模型や図式の展示でしか伝えることのできなかった全国の観光資源について、現地での仮想体験を可能にします。国籍や老若男女問わず訪日外国人観光客でも気軽に楽しめるコンテンツ作りが可能です。
JTBには今回の実証実験を皮切りに、今後も観光分野でのMR活用を構想しています。今回同様、多くの人が集まる空港などにおける認知拡大に向けたプロモーション方法としての活用と、地域ならではの観光資源を活用したコンテンツ作りを実施していく方針です。これを通じて、MRコンテンツそのものが、地域への訪問の動機となることを目指し。
最新テクノロジーを活用しインバウンド向けに地域の魅力発信へ
新千歳空港における「むかわ竜」をコンテンツにしたMR体験は、今後さらなる地域の認知拡大や観光分野でのMRの活用への効果が期待できる結果となりました。現在は失われてしまったものや通常は見られないものも、MRを活用すれば再現できることから、日本各地のあらゆる観光資源をコンテンツを、地域のプロモーションに活用できる画期的な手段と言えるでしょう。
<参考>
・JTB INBOUND SOLUTION:【事例】MRを活用して北海道「むかわ竜」を誘客の目玉に