インバウンドの地方誘客促進が叫ばれる中、エコツーリズムを活用し地域活性化を目指す動きが活発化しています。
エコツーリズムとは、自然環境、そして文化・歴史等を観光の対象としながら、環境の保全性と持続可能性を考慮する観光のことです。
エコツーリズムを主軸においた観光業を展開している一つが埼玉県飯能市です。飯能市を訪れる観光客のリピーター率は50%を超え、インバウンド誘客にも効果を発揮しているといいます。
今回は、エコツーリズムを取り入れインバウンド客の誘致ならびに地域活性化を目指す、埼玉県飯能市・京都府南丹山市美山、飛騨古川の3つの地域の取り組み例を見ていきましょう。
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1. 埼玉県飯能市:エコツーリズム先進地区の新たなターゲットは訪日客!
池袋から西武池袋線で約1時間、運賃も500円弱と、都心から気軽に訪れることができ、「ワンコイン・リゾート」と呼ばれているのが埼玉県飯能市です。
市役所内にエコツーリズム推進課を設置しているほか、年間150本のエコツアーを実施しており、エコツーリズム先進地区と言われています。
リピーター率は52%と非常に高い割合となっているのも特徴の1つです。現在は、環境省が認定するエコツーリズム全体構想認定の第一号として、インバウンド向けにエコツーリズムの認知拡大を目指しています。
ツアーは市民からの提案から企画を進める、市民の声を取り入れたユニークなツアーが特徴的です。さらに古民家でのクリスマスリース作りや、春と秋で1500名ずつ集客する「お散歩マーケット」、女性専用の滝行、2日間で2万人を動員するツーデー・マーチなど、多種多様なエコツアーを実施してきました。
池袋など都心で急増する訪日外国人観光客も、「2時間以内ボリュームゾーンの原則」から十分誘致が可能であり、埼玉県飯能市での今後のインバウンド誘客の促進に期待です。
2. 京都府南丹山市美山:欧米向けに「ジビエ」アジア向けに「雪」で地域の魅力をPR
京都から2時間圏内の南丹市も、埼玉県飯能市と同じく環境省のエコツーリズム全体構想の認定を受けている都市です。
30軒ほど茅葺き屋根の集落が並ぶ南丹市ですが、現在も住民が住み続けており、地域ならではの体験ができるとしてインバウンドの誘致を目指します。
最近話題となっているのが、鹿やイノシシのジビエです。「鹿狩り・鹿の解体ショー」のオプショナルツアーを実施しており、若い女性を中心に注目を集めています。わずか15分でさばいてしまう手際の良い作業を一目見ようと、国内外から観光客が訪れます。
欧米ではジビエがもともと有名なため、インバウンドの欧米圏からの観光客へのPR効果が期待できるでしょう。
もう1つのインバウンド成功例は、冬の美山で見られる「雪灯廊」です。1週間という短い開催期間に、自国では雪に触れることができないアジア人観光客が1万人弱も訪れるようになりました。
かまくらのミニ版が誰でも簡単に作れるといった体験コンテンツも盛り込むことで、より多くのインバウンド客を惹きつけていると言えます。
3. 飛騨古川のエコツーリズムはサイクリングで自然体験、良質なガイドで付加価値も
エコツーリズムの魅力の1つ、ゆっくり旅を楽しむスタイルとして代表的なのが、サイクリングです。
昨今では全国各地でサイクリングツアーが実施されていますが、インバウンド誘客にも成功している例として挙げられるのが、飛騨古川のサイクリングツアーになります。
お隣の高山には、約8万人の人口に対し28万人もの訪日外国人観光客が訪れており、「多くのインバウンド客が訪れる観光地から2時間以内のボリュームゾーン」として、飛騨古川は最適のロケーションです。
とりわけ欧米圏からのインバウンド客の心を掴んでいるのが飛騨古川の田園風景です。日本ならではの田園風景の中を、サイクリングで巡るスピード感が好評を得ているそうです。
また、株式会社美ら地球は、エコツーリズム体験をより深く楽しんでもらうための良質なガイドを取り揃えており、訪日外国人観光客の満足度向上を実現しています。田園風景という日本特有の観光資源を活用するとともに、付加価値としてガイドの育成に励むことで、飛騨古川のようにインバウンドの地方誘客に繋げることができるでしょう。
まとめ:地域ならではの魅力"自然"を活かし、インバウンドの地方誘客促進へ
都市部にはない地域ならではの豊富な自然を、観光資源として有効活用するエコツーリズムは、欧米人観光客を中心に、地方誘客促進への効果が期待されます。
また、京都府南丹山市美山のように、自然にまつわる体験コンテンツを充実させることで、コト消費需要の高まりが顕著なインバウンド客の心を掴むことができるでしょう。今後もエコツーリズムによる訪日客の地方誘客促進ならびに、地域活性化への取り組みの活発化が予想されます。
<参考>
・JTB INBOUND SOLUTION:リピーター率50%超え 埼玉県飯能市
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年5月後編】2025年の訪日客数「4,500万人」へ、観光庁長官の見解は? ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に5月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→2025年の訪日客数「4,500万人」へ、観光庁長官の見解は? / 2025年訪米旅行者支出「125億ドルの損失」予想 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年5月後編】
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