爆買いとは | 4つの要因・最近の動向・インバウンド対策事例

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日本政府観光局JNTO)によると、2019年、訪日中国人客数は全市場で初めて900万人を突破しました。東南アジアや欧米豪からの訪日客数の方が伸び率が高いとして注目され始めていますが、いまだ訪日客数・消費額ともに中国が首位を守り続けています。

2014年ごろから訪日中国人観光客の日本での爆買いがたびたびメディアを賑わせてきましたが、以前に比べると最近では目立たなくなってきた印象があります。

しかし、日本製品への高い信頼もあり、引き続き中国人観光客に日本製品は非常に人気です。特に、医薬品、化粧品、日用品業界は根強い人気があり、安心や安全がより重視される製品で、意欲的な消費が起こっています。

この記事では、中国人による爆買いが起きた要因とともに、爆買いがダウントレンドとなった理由を紹介します。最新の動向に合わせたインバウンド対策事例と合わせて、爆買いについて解説します。

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爆買いとは

爆買いとは、主に訪日中国人観光客による大量の購買行動を指します。2014年頃からメディアで訪日中国人がブランド品から化粧品・医薬品など様々な商品を大量に買い込む姿を「爆買い」と呼ぶようになり、一般的に広まりました。

ここでは、爆買いが起きた4つの主な要因について解説します。

1. 円安

円安は爆買いを促進した一つの要因と言われています。日本への渡航費を含めてもなお、同じ商品ならば日本で商品を購入した方が安いと多くの中国人が考えていたと言います。

2. ソーシャルバイヤーの増加

ソーシャルバイヤーとは、海外の商品を購入し、本国にいる消費者に転売して利益を得る人たちのことです。

中国国内における正規の輸入品が高いこと、EC市場が主に個人間取引であったことなどの理由により、ソーシャルバイヤーが増加しました。ソーシャルバイヤーの市場規模は、2015年には約19兆円に達し、購入者数は3,560万人とも言われています。

ソーシャルバイヤーは、中国国内価格と日本での販売価格との差額で利益を出します。円安などの後押しもあり、中国のソーシャルバイヤーにとって、日本製品は「おいしい」商材であったと言えます。

中国市場の先読みの指標、ソーシャルバイヤーとは

2015年の新語・流行語大賞に選ばれた「爆買い」という言葉は、訪日中国人観光客が品物を大量に購入していく様子を表したものです。そのような「爆買いは訪日中国人観光客によるもの」というイメージが強い一方で、爆買いをしていたのは実は観光客だけではなく「ソーシャルバイヤー」と呼ばれる転売目的の人も多くいたといわれています。今年の初め、中国ではこうした個人の輸入代行を行うソーシャルバイヤーの納税義務を強化しました。これを受けて複数の著名な日本メーカー、ブランドや、百貨店の売上が減少しています。今後も...

3. 初訪日が多かった

2014年頃の中国人観光客には、初めて日本を訪れるという人も多く、またビザの発給の関係で団体ツアーの利用が多くなっていました。

こうした団体ツアーでは、決められたルートでメジャーな観光地や、時間制限のある中でニーズを満たせるような店舗をまわります。こうしたタイムスケジュールが、「爆買い」を後押しした面もあったようです。

4. 日本製品への信頼

中国人は、自国製品をあまり信用していません。偽物がまぎれているのが当然という意識すらあります。

そして日本製品に対しては、品質が良く、使い勝手が良いという印象を持っています。また、日本製品は高品質なだけでなく、安全・完全というイメージも浸透しています。

多くの中国人は、日本製品を信頼しています。その意識が訪日中国人の購買意欲を掻き立てていると言えます。

爆買いの最近の動向

観光庁が2016年10月に発表した訪日外国人消費動向調査では、訪日外国人旅行消費額が4年9ヶ月ぶりに前年同期比でマイナスを記録しました。「爆買いは終わった」と言われるようになったのはこの頃からです。

確かに最盛期の勢いは無いと言えますが、業界によっては爆買い傾向は残っています。続いて、最新の爆買い事情について、解説していきます。

2016年頃「爆買い」がダウントレンドとなった3つの理由

高額商品を扱う大手百貨店や家電量販店での爆買い(訪日中国人による消費額)は、2014年~2015年にピークを迎え、その後金額は減少に傾きます。

その要因は主に3つあります。1つ目は円高です。中国人が爆買いに励んでいた2014年~2015年は、おおむね円安の期間でした。ところが、2015年末から2016年にかけては円高となりました。こうした為替要因による「お得感」の減少により、日本での消費の勢いが減少したと見られています。また、訪日中国人の旅行消費額は円ベースで発表されていますが、これを当時の為替レートで換算すれば、実は消費額はそこまで減少していないとのデータもあります。

2つ目は、中国政府による関税引き上げです。電子商取引法により、日本で購入した商品を中国に持ち込む際にかかる関税が引き上げられました。こうした措置は、日本で購入した商品を中国国内で転売するソーシャルバイヤーにとって痛手となります。これまで転売に勤しんでいた中国人も、転売目的の購入を差し控えるようになりました。特に、高額商品を扱う大手百貨店や家電量販店の売上高の減少につながったと言われています。

3つ目は、旅行者層の変化です。爆買いが始まった当初は、初訪日により団体ツアーで訪日するのが主流でしたが、近年はリピーターによる個人旅行が増加しました。訪日リピーターの中国人は、ただ日本製品を買うといったことよりも「体験」を求めています。モノ消費からコト消費へ消費傾向が変わったのも、爆買いが収束した要因の一つでしょう。

中国電子商取引法については、下記の記事で詳しく解説しています。

中国「爆買い規制法」で転売屋の7割が撤退、「電子商取引法」施行のソーシャルバイヤーへの影響調査

近年、ディスカウントストアやドラッグストアでは、棚にある商品をごっそり買っていく中国人客の姿をしばしば目にします。彼らの多くは、内外価格差を利用して、日本で安く買い、中国で売りさばく転売業者「

今もなお爆買い「医薬品」「化粧品」

爆買いのトレンドが一時に比べ落ち着きを見せているとはいえ、一部の業界ではまだ、常識はずれの量を購入する中国人観光客の消費意欲を享受しています。その業界とは、医薬品、化粧品、日用品業界です。

中国人には自国製品をあまり信用していない人も少なくありません。中でも食品や医薬品に不信感を抱く人が多くなっています。

中国人に人気の医薬品は、「鎮痛剤」「目薬」「熱さまシート」などがあげられます。「安全でよく効く」というイメージが人気の理由です。

医薬品だけでなく、日用品にも根強い人気があります。日用品は一商品一商品は少額のため、多少円高であっても損をした気分を抱かせないことも一因と見られています。また、高額商品と比べると、関税が低率なのも要因でしょう。

今後、主要購入チャネルはEC上へ?

中国では「電子商取引法」という新たな法律が制定され、これをきっかけに爆買いを盛り立てていたソーシャルバイヤーたちの消費が減少したと考えられています。

しかし中国政府はその一方で、越境ECで購入できる上限金額を緩和しています。中国政府は、越境ECを海外製品の消費チャネルとして拡大させようとしているとも考えられます。今後は越境ECでの取引が活発化していくことが予想されます。

爆買いの最新の動向については、下記の記事で詳しく解説しています。

爆買いとは

「爆買い」とは、主に訪日中国人による一度に大量の商品を購入する行為をいう俗語です。2015年には流行語大賞を受賞するほどの社会現象となりましたが、昨今は以前と比べ下火になったとの論調もあり「爆買いは終わった」といわれることもあります。 一方で最近でも、ドラッグストアや小売店に足を運べば、そこにはやはり日用品や医薬品を購入する訪日中国人の姿があります。しかし、広く訪日外国人観光客の消費傾向が「モノ消費」から「コト消費」へと変化していることも事実です。 この記事では、果たして爆買いは本当に...

爆買いの継続・減速を受けて…業界別のインバウンド対策3つの事例

爆買いは、インバウンド市場全体における主流トレンドとは言えなくなってきていますが、モノによっては継続しているという状況です。

こうした最新の中国人観光客の消費動向に対する、各社の取り組み事例を紹介します。

1. マツモトキヨシ…爆買いの勢い衰えず、多言語対応など徹底した対策

大手ドラッグストアチェーンであるマツモトキヨシは、中国語で公式ページを制作し、サービスやオススメ商品、キャンペーン内容をメインに紹介しています。中国の大手越境ECサイトにも出店し、販路を広げています。

加えて各店舗には中国語対応スタッフが常駐しており、訪日中国人に対しても迅速に接客できます。支払い手段は、中国人の大半が使用している銀聯カードでの支払いはもちろんのこと、WeChat支払いやアリペイにも対応しています。

他にも無料Wi-Fiが設置されており、店舗・EC双方で徹底したインバウンド対策が行われていると言えます。

ドラッグストアの多言語対応については、下記の記事で詳しく解説しています。

ドラッグストアの多言語化・コミュニケーションに関するインバウンド対策事例集

ドラッグストアはどうやってインバウンドにおいて多言語化・コミュニケーション対応に取り組むべきなのでしょうか?「株式会社ツルハホールディングスは6言語対応可能なWi-Fiサービスも活用」など、各社・各団体の先行事例を集めてみました。

2. 松屋銀座…爆買い減速から自社ECサイトへの出 

中国における海外製品の購入窓口として、この数年存在感を高めているのが越境ECです。ECへ商品を展開する日本企業も増えていますが、百貨店業界でいうと、こうした販売チャネルへの挑戦はまだ少数にとどまっています。

中国におけるEC展開では、大きく分けて「大手モールに出品・出店」または「自社ECサイトの構築」の2つの道があります。

前者における百貨店業界の一事例が三越伊勢丹です。三越伊勢丹は、中国アリババの運営するECモール天猫国際(Tmall)に商品を展開しています。こうした大手ECモールへの参加には値下げのノルマや、数多の競合に負けないような露出の確保により認知度を向上させる必要があり、かなりの苦戦を強いられると言われています。

こうしたデメリットを回避するため、松屋銀座では天猫国際などの大手越境ECプラットフォームではなく、自社で独自の越境ECサイトを立ち上げる道を選びました。松屋のリアル店舗への中国人顧客の集客、さらにはリピーター化や、認知度の向上を目標に掲げています。

【2019年最新/保存版】中国EC人気サイトランキング5選

日本の日常でもECの利用が増えてきています。海外でも同様の傾向があり、インバウンド市場でも自社商品の購買チャネルとしてECの利用価値はますます高まっています。海外のECサイトを正しく利用することは、市場を広げ、売り上げを上げていくために重要になってくると考えられます。この記事では訪日旅行に関連した市場の中でもひときわ大きな存在感を持つ「中国」のECサイトについて解説します。目次越境ECとは?「旅アト」との関係は?そもそもECとは?越境ECとは?そのメリットは?越境ECと深い関係にある「旅ア...

3. 銀座三越…爆買い減速も、口コミサイト「大衆点評」によるプロモーションで起死回生

銀座三越は、2010年という早い時期からいち早くインバウンド対策を行なっていた百貨店です。中でも重要視したのが訪日中国人で、銀聯カードATMやその他のQRコード決済などを導入しました。

それに加えて、インターネットを活用したインバウンド対策として「大衆点評」を活用しています。

大衆点評は、中国版食べログと言われ、飲食店の口コミが閲覧できるサービスです。中国人の大半が使っていると言われており、2017年のデータによると、大衆点評の累計ユーザー数は2017年6月の時点で約6億人、月間アクティブユーザー数は2.5億超となっています。

銀座三越も大衆点評に登録しており、1,300件を超える口コミが集まっています。

▲大衆点評に登録された「銀座三越」
▲大衆点評に登録された「銀座三越」

【事例アリ】大衆点評とは

2018年、訪日外国人観光客が史上初の3,000万人を突破しました。そのうち約3割が中国からの観光客です。 2019年1月には訪日中国人に対するビザ発給要件の緩和が行われ、今年はさらに加速して中国人観光客が増加するとも見られています。 中国では年初の新EC法の施行や、「理性的な消費」といったスローガンの広まり、富裕層におけるオリジナルな旅行体験への需要の高まりなど、様々な環境とトレンドの変化が現れています。特に新EC法による転売目的の商品購入が減少することも考えられ、今後ますます「コト...

このようなインバウンド対策の結果として、2010年から全館売上に対する免税売上額の割合が伸長しています。2012年は2%でしたが、2015年には25%となっています。

百貨店・デパートのプロモーション、ECサイト対応については、下記の記事で詳しく解説しています。

百貨店・デパートのWEB・メディアに関するインバウンド対策事例集

百貨店・デパートはどうやってWEB・メディアをインバウンドに活用すべきなのでしょうか?「三越銀座は中国WEBメディア「大衆点評」を活用した口コミ施策を」など、各社・各団体の先行事例を集めてみました。

爆買いの動向に合わせた効果的なインバウンド対策を

前半で解説したように、中国人観光客による「爆買い」は様々な要因により引き起こされています。こうした環境は、時間がたつにつれて変化します。結果として、最近では中国人観光客による消費には一時期のような勢いはなくなりました。そして電子商取引法の影響により、以前まで爆買いによって行われてきた取引が、越境ECに移行している状況です。

それでも医薬品や化粧品などの売れ行きは良好です。購入チャネルの多様化をはじめとした「爆買い」の構造の変化を正確にとらえ、ニーズに合ったインバウンド対策が今後の売上を左右すると言えそうです。特に爆買い減速業界では、事例の松屋銀座や銀座三越のように、店頭でのインバウンド対策に加えて越境EC口コミサイトを活用していくことが今後は重要になってくるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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