世界中から首脳が集まり主に経済をテーマに議論を交わす「G20大阪サミット」が、6月28日(金)と29日(土)に大阪国際見本市会場(インテックス大阪)にて開催されます。
G20のサミットが日本で開催されるのは今回が初めてで、現在日本国内のいたるところで警備が強化されています。
特に大阪では開催日を含む数日間、道路の通行止めや観光施設の臨時休業が予定されています。大阪城天守閣など訪日外国人に人気のあるスポットも含まれており、大阪のインバウンドに大きな影響が出ることが懸念されています。
そこで今回は、G20サミット開催による観光やインバウンドへの影響について詳しくみていきます。
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G20とは…日本で初開催のサミット、今週末に大阪で開催
G20とは「Group of Twenty」の略で、世界20の国と地域からなるグループを指します。主要国首脳会議に出席する7か国(G7:カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、イギリス、アメリカ)にアルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、韓国、メキシコ、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、欧州連合・欧州中央銀行を加えた20の国と地域が含まれています。
G20に含まれる国と地域の首脳が出席し、主に経済や貿易について話し合う会合が「G20サミット」です。G20サミットは毎年行われており、昨年は11月にアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されました。
今年は「G20大阪サミット」として、6月28日(金)と29日(土)に大阪府大阪市にある大阪国際見本市会場(インテックス大阪)にて開催されます。日本が議長国となるのは今回が初めてだということです。
G20の会合はサミット以外にも複数あり、例えば今年の財務大臣・中央銀行総裁会議は、6月8日(土)と29日(日)に福岡県福岡市ですでに執り行われています。他にも、観光大臣会合が10月に北海道倶知安町で、外務大臣会合が11月に愛知県名古屋市でそれぞれ予定されています。
観光振興に効果期待の”MICE”とは
今回行われるG20サミットなどのビジネスイベントは、観光用語で「MICE(マイス)」と呼ばれます。
MICEとは「Meeting(企業などの会議・研修)」「Incentive Travel(企業などが行う招待旅行や研修旅行)」「ConferenceまたはConvention(国際会議・学術会議)」「Exhibition(展示会・見本市)またはEvent(イベント)」の頭文字をとったものです。
このようなビジネスイベントでは大勢の人が集まって交流することになり、観光振興にも効果があると考えられています。そのため、近年はMICEの誘致を積極的に行う自治体も出てきています。
2016年伊勢志摩サミットの経済効果は約1500億円
2016年5月にG7の「伊勢志摩サミット」が開催された三重県もその一つです。三重県では2014年から外務省に対する誘致活動を始め、警備上の優位性や風景の美しさなどから三重県志摩市の賢島(かしこじま)がメイン会場として選ばれました。
三重県によると、サミット後には観光客の増加や国際会議開催件数の増加などの効果が表れ、伊勢志摩サミットに係る全体の経済効果は約1,489億円にも上ったということです。
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【無料】MICEって結局どれくらいカネになるの?を測定できる「MICE簡易測定モデル」とは?
観光庁の「MICE開催による経済波及効果測定のための簡易測定モデル(MICE簡易測定モデル)」をご存知でしょうか?これは観光庁が「MICE開催が地域に及ぼす経済波及効果を容易に測定できるツール」として発表しているものです。あまり耳慣れないツールだと思いますので、改めて詳細に解説していきましょう。MICEに関しては訪日外国人の増大、経済効果、地域の国際化・活性化等に大きな意味を持つことが期待されており、観光庁は、その振興に積極的に取り組んでいますが、MICE開催にに関わる経済波及効果の算出に...
G20開催に伴う影響、物流やインバウンドを直撃
このように、サミットを含むMICEの開催は大きな経済効果を生むといわれています。
しかしながら今回のG20大阪サミットでは、それ以上に交通・物流の混乱やインバウンド観光への影響が大きいことが懸念されています。すでに大阪では、高速道路の大規模規制や人気観光施設の臨時休業などが予定されています。
国内では物流混乱
まず、G20大阪サミットの開催に伴う国内での影響についてです。
サミット開催日を含む4日間、阪神高速道路をはじめとした大阪府内の道路で大規模な規制が行われます。
サミットの開催日程は28日(金)と29日(土)の2日間ですが、各国首脳の到着・帰国日程を考えると、その前後1日も規制せざるを得ないといいます。
また大阪府警によると、規制される時間帯は各国要人の移動状況に合わせて決まるため、前もって公表するのは難しいということです。現時点では「早朝から深夜まで」とされています。
期間中に該当道路を通る予定がある場合、事前に迂回路を検討しておく必要がありますが、迂回路も混雑が予想されます。そのためサミット期間中は、交通の混乱とそれに伴う物流の乱れが懸念されます。
インバウンド観光への打撃、人気の大阪城天守閣も休業
G20開催による影響は国内だけにとどまらず、期間中に大阪を訪れる訪日外国人にも及びます。
期間中は一般の道路も規制の対象であるため、観光バスを含む車での移動はしづらくなります。電車や駅は、会場の最寄り駅である地下鉄大阪メトロの『ニュートラム中ふ頭駅』をのぞき通常通り利用できますが、車が使えない分電車で移動する人が多くなり、混雑が予想されます。
さらに、期間中は一部観光施設の臨時休業が予定されています。特に敷地内の迎賓館で晩さん会が予定されている大阪城公園では、天守閣をはじめとした6か所が臨時休業するということです。大阪城は訪日外国人に人気のある観光スポットであり、休業を知らずに訪れてしまう人もいると予想されます。
他にもサミットのメイン会場に近い「さきしまコスモタワー展望台」や、JR大阪駅の近くに位置する「梅田スカイビル」にある「空中庭園展望台」などが、期間中に休業を予定しています。
また大阪市中心部の駅では、テロ防止のためコインロッカーやゴミ箱の使用停止措置がとられています。大きなスーツケースを持ってやってくる訪日外国人にとって、駅のコインロッカーが使えないのは痛手です。
このようにサミット期間中はインバウンドの混乱も予想されます。
対処法は?
そこで2019年G20大阪サミット関西推進協力協議会は、訪日外国人の混乱を最小限にとどめるため、交通規制情報や観光情報などにアクセスできるQRコードをまとめた「インバウンド向けG20情報提供カード」を作成しました。名刺サイズのこのカードは、関西国際空港や観光案内所などで配布されています。
インバウンドへの影響は避けられない、ならば対策を
G20サミットは、世界各国から首脳が集まる国際的な重要度の高いイベントです。そのため、警備や規制が厳しくなってしまうのもやむを得ないといえます。
そこで重要になってくるのが、予想される混乱への対策です。現在、日本国内に向けてはウェブサイトでの規制情報公開、訪日外国人向けには「インバウンド向けG20情報提供カード」の配布などの取り組みが行われています。
対策をしてもなお残る電車の混雑や観光における不便は予想されます。こういった混乱を避けるための取り組みを続けることの重要性は言わずもがなですが、周辺の自治体や施設はこうした観光需要を可能な限り取り込めるような機転を働かせることで、ピンチをチャンスに変えることができるかもしれません。
<参照>
- G7伊勢志摩サミット
- 大阪府警察:交通規制等について
- 大阪府:来阪外国人旅行者に対し「インバウンド向けG20情報提供カード」を配布します
- 朝日新聞DIGITAL:来週末は大阪観光無理? 大阪城や遊覧船、G20で休業
- G20大阪サミット2019
- 三重県:2016年主要国首脳会議(サミット)の誘致を目指します
- 三重県:伊勢志摩サミットの効果について
- 朝日新聞DIGITAL:大阪駅のロッカー・ゴミ箱、全て閉鎖 訪日客「オゥ」
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