【中国】年間1.5億人が海外旅行、最新トレンド「深度遊」とは?ニーズが「爆買い」→「体験・学び」に大変化

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こんにちは、クロスシー編集部です。

中国での「海外旅行」ブームについてはこれまで何度か紹介してきましたが、今年も中国人が一年で最も日本に来る「夏」がやってきます。

昨年の中国人の海外旅行動向と、今年の夏の旅行傾向について、「深度遊」をキーワードに解説します。

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こんにちは、クロスシー編集部です。もう2か月もすれば夏本番ですが、実は中国人が日本に最も多く訪れているのは、春節のある初春でも、国慶節のある10月でもなく「夏」だというのはご存知でしょうか?(2017年の中国からの訪日外客数は7月約78万人、8月約82万人)学校、職場の夏休みがあり家族旅行シーズンであること、中国では6月が卒業の時期であり、卒業旅行として日本を訪れる層がいることが理由として考えられます。2017年の訪日外客数(国別:中国)参考:https://www.jnto.go.jp/...


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2018年の中国人の海外旅行傾向は?

今年の3月に、中国旅行研究院とCtripは連名で「2018年中国旅客ビッグデータレポート」を公開しました。

これによれば、日本同様に、タイ香港、マカオ、台湾ベトナムシンガポールインドネシアロシア、カンボジア、オーストラリアフィリピンで、その国を訪れる観光客のうち、中国からの観光客が最も多くなっています。

中国の公的機関である文化旅行部が今年2月に発表した中国人の海外旅行者数は、延べ1億4,972万人となっています。レポートでは香港、マカオ、台湾を含まない旅行者数も公開しており、こちらは7,125万人です。

パスポート所有率は10%超も、まだまだ世界的に見れば低い水準

2017年の旅券統計によれば、日本人のパスポート保有率は約23.5パーセントで、2017年末の有効旅券数は約3,000万件です。

アメリカは42%、カナダは66%、イギリスは76%となっており、日本は先進国の中でもパスポート所有率が目立って低いと言われています。

そして実は、年間で延べ約1.5億人が出国する中国は、こうした日本よりもさらに低くなっています。

2002年から2017年の間に、中国パスポートは総計1.73億件、1年間で平均1,080万件が発行されました。全人口におけるパスポート保有率は10%超です。今後の中国人の海外旅行市場が拡大する余白の大きさを感じさせます。

人気の旅行地と観光スポット

2018年の人気旅行先は、タイ・日本・ベトナムシンガポールインドネシアマレーシア・カンボジアといった近隣の国々に加え、アメリカ、トルコ、イギリスイタリアスペインフランス、モルディブといった世界的に人気の観光地、またアラブ首長国連邦やスリランカとなっています。

昨年1年で急速に中国からの旅行客が増えた観光地には、ミャンマー、モンテネグロ、セルビア、ラオス、アルゼンチン、スペイン、カンボジア、メキシコ、ブラジル、チェコが名を連ねました。

若年層に広がる”決めたら即出発”の旅、「現地ガイド」需要の高まりと博物館人気

90後(20代)、00後(高校生~20歳)では「说走就走」(決めたら即出発)と表現されるような旅行の決行が流行しており、予約から渡航までの期間はどんどん短くなる傾向にあるそうです。

こうした旅行者の中には滞在中に行先やオプショナルツアーを手配する場合もあります。航空便と宿泊先のそれぞれで、自分の希望に合った条件のものを探し、なおかつコスパの良い組み合わせを利用する傾向にあります。 

▲旅行プランを「決めたら即出発」できるとしてユーザーにレコメンドする(Mafengwoより)
▲旅行プランを「決めたら即出発」できるとしてユーザーにレコメンドする(Mafengwoより)

こうした年代を中心に、「現地ガイド」への需要がますます高まっており、2018年のCtripにおける海外現地ガイドの成約数は前年比二倍以上となりました。また「半カスタマイズ旅行」や「私家団」(プライベートグループ)と呼ばれるような旅行形態も広まっており、これらも現地ガイドと同じくCtripでの成約数が倍増しています。

Ctripのデータによれば、カスタマイズツアーの需要も前年比150%成長しており、平均旅行消費額は7,800元(約12.5万円)です。

レポートでは、2018年を通じて中国人観光客の「文化」への関心が高まっていたことが指摘されています。

博物館や美術館への訪問がブームとなっています。同時に、買い物を重視する観光客も変わらず存在しています。ショッピング目的での人気旅行地は香港、ドバイ、大阪、マカオ、東京、パリ、名古屋、ロンドン、シンガポール、京都との調査結果があり、3都市がランクインする日本は、ショッピング好きにとって外せない国となっているようです。

「深度遊」とは?テーマ設定・時間をかけた体験・学びを得る旅行

旅行研究院とCtripの共同レポートで触れられてきたような現象は、深度遊」(中国語:深度游)を志向する旅行者心理が引き起こしています。

深度遊は観光旅行における比較的新しい概念です。時間と体力を自分のペースで消費し、旅先の空間にある自然や芸術品を心行くまで堪能することを意味します。旅行者は自分の関心に沿ったテーマを設定し、それに沿って目的地での訪問先や行動を決めていきます。

テーマは、歴史や現地の伝統工芸にフォーカスしたものもありますが、『アラスカでオバマ前大統領の歩んだ道をたどる』といった時事的なテーマを設定するもの、『ネットから離れる』のように「滞在時間をどう過ごすか」を主眼においてプランしたものもあります。

▲「ネットにとらわれない3日間、ハバナの日光の中に逃げる」Mafengwoより
▲「ネットから離れる3日間、ハバナの日差しに逃げ込もう」Mafengwoより

▲中国国内の各地を目的地とした「深度遊」旅行予約サイト
▲中国国内の各地を目的地とした「深度遊」旅行予約サイト


これまでの観光旅行で重視されてきた、旅先での滞在時間や、観光名所とされる場所を数多く訪れることは、「深度遊」においては重要な指標にはなりません。深度遊では、旅先でなければ得られなかった学びを手にできたかや、感覚を体験できたかどうかが重視されます。

こうした理由から「深度遊」においては、どこを訪れるかも重要ですが、それ以上に訪問する先の下調べが大切になってきます。

深度遊」を志向する旅行者は、例えばただスタンプラリーのように観光名所を巡るのではなく、その名所の歴史的意義を理解することや、時間をのんびり過ごすことで初めてその旅行に意味が生まれると考えています。自分の知識欲を満足させられるかどうかが旅行の満足度を左右するとも言えます。

その都市の伝統的な食に関する知識、商圏ができることになったいきさつなど、深度遊のテーマによって旅行者が関心を抱く事項は様々です。一方で、テーマに関わらず、深度遊の旅行者は共通して、現地の文化や歴史、そして現在について書面でしか得られなかった情報を現実と照らし合わせ、旅行を通じて知識を深めることに大きな楽しみを見出しています。

事前に調べて「面白そう」と感じられる都市や、映像作品で舞台となっている都市がその候補となりえます。知識欲旺盛な旅行者や、その作品の空気に触れてみたいと考える旅行者を誘客するチャンスがあると言えます。

▲ある「深度遊」の旅行記。「なぜキューバを訪れようと思ったか?」について詳細をまとめている。「中国と同じ社会主義国に興味があった」「キューバの映画の雰囲気になぜか惹かれた」
▲ある「深度遊」の旅行記。「なぜキューバを訪れようと思ったか?」について詳細をまとめている。「中国と同じ社会主義国に興味があった」「キューバの映画の雰囲気になぜか惹かれた」など

まとめ:「深度遊」のニーズをとりこみ、訪日旅行客誘致を

今年も世界中を多くの中国人観光客が旅行しています。彼らのブームをいち早く正確に理解することで、様々なニーズの中国人観光客を呼び込むことが可能になるでしょう。

特に「深度遊」を意識している層を誘致できるかどうかは、単純に「有名な観光名所」「美食」というだけでなく、どのような歴史やエピソードにより名を成した場所なのか、なぜ貴重な料理と言えるのかといった背景を伝えられるかどうかが大切になってきます。

こうした意味では、伝える力さえあれば、まだ有名でない日本の地方にも多くの中国人観光客を呼び込む高いポテンシャルがあると言えます。特に中国と日本は地理的にも近く、今年は直行便の新規就航も続いています。

中国人にも人気も「温泉」や「美しい自然景観」を多く有する日本の地方には、この機会をとらえる取り組みが期待されます。

<参照>

http://www.mafengwo.cn/poi/72359100.html

https://www.mafengwo.cn/i/14188164.html

https://tech.sina.com.cn/roll/2019-03-14/doc-ihsxncvh2500420.shtml

https://tabizine.jp/2019/02/15/238242/



【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

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<こんな方におすすめ>

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  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生

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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


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この記事の筆者

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株式会社クロスシー編集部。中国語圏向けに日本情報の提供をするインターネットメディア運営・レップ事業を展開すると共に、訪日観光客向けのマーケティング・ソリューションを提供しています。日本の観光立国を実現すべく、メインターゲットとなる中華圏への観光情報、サービス、商品について、日中間の情報格差を埋め、観光客にとって最高の日本体験の提供を目指しています。

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