第3回「COOL JAPAN AWARD 2019」を受賞した53対象が発表され、2019年5月27日に京都御苑にて、表彰式と展示会が行われました。
世界各国の外国人による審査によって世界が共感する「COOL JAPAN」を発掘・認定し、海外展開・インバウンドにつなげていくといった目的で実施されるアワードです。今回は、一般部門のインバウンドカテゴリーとNational Park部門で受賞した3対象に焦点を当て、外国人審査員のコメントと合わせて見ていきましょう。
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日本の知られざる魅力を海外にPRする「COOL JAPAN AWARD 2019」
「COOL JAPAN AWARD 2019」の審査対象は、プロダクトを中心とした「モノ」からまちづくり・文化といった「コト」まで多岐に渡り、総合的なデザイン評価や推奨を行っているのが特徴です。
同アワードに応募することで、審査過程で得られる外国人目線の評価を、事業の海外展開や地域のインバウンド戦略に活かせるといったメリットがあります。クールジャパンアワード事務局が実施する応募書類を基にした一次審査を経て二次審査に進むと、特別審査員および外国人100人審査員による審査が行われます。
外国人審査員は、南米アジア・北米・ヨーロッパ・オセアニアといった出身地域別にバランスよく構成されており、国際的な視点からなぜ「COOL」と感じたか、どうすれば評価されるかを分析する仕組みです。
審査結果はデーターベース化し応募者にフィードバックされ、インバウンド・海外戦略に活用することができます。COOL JAPANに認定された場合、国内のテレビや新聞、雑誌、海外メディアから情報発信するチャンスが与えられます。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けさらなるインバウンド誘客を促進するにあたり、一般部門のインバウンド・アウトバウンドカテゴリーに加え、2019年からNational Park部門も追加で設置されました。今回は、一般部門のインバウンドカテゴリーとNational Park部門の受賞対象から3つをピックアップし、評価ポイントを見ていきます。
1. 「商店街ホテル 講 大津百町」メディア化ホテルで訪日客を魅了
一般部門のインバウンドカテゴリーで受賞した「商店街ホテル 講 大津百町」は、「街に泊まって、食べて、飲んで、買って」がコンセプトの新しい「メディア型ホテル」です。新潟県南魚沼市の「里山十帖」をはじめ、日本各地で「ホテルをメディア化」している株式会社自遊人が企画・運営をしています。滋賀県大津市の商店街周辺の町家を7棟を、さらに100年使えるようリノベーションしたほか、泊まることで街が活性化し蘇る日本初の試み「ステイファンディング」も導入しました。「ステイファンディング」は、宿泊者1人あたり150円を商店街に寄付するといった仕組みです。雑誌やテレビ、インターネットでは得られない「リアルな体験」をテーマにしたプロジェクトになっています。
外国人審査員からは、商店街の一角にある古民家を改装した宿は珍しいとの声が上がりました。ホテルよりも日本ならではの特別感を感じられる宿に泊まることが、訪日外国人観光客には絶対に人気とし、日本の日常生活を快適な古民家の宿で過ごしてみたいと評価されています。
2. 「急行飯田線秘境駅号」日本的な情景に触れるレア体験を提供
一般部門のインバウンドカテゴリーを受賞した「急行飯田線秘境駅号」は、秘境駅の雰囲気をより多くの人に楽しんでもらおうと、2010年春から運転を開始した列車です。
秘境駅とは、山の中などにあり、駅周辺に人家や人の気配が全く感じられず、鉄道以外でのアクセスが難しい駅を指します。長野・静岡・愛知の3県を跨ぎ、天竜川沿いの山中を走るJR東海の飯田線には、10の秘境駅が存在します。効率的に秘境駅を巡るために停車時間を長めに確保し、乗務員によるお見送りや車内でのおもてなし、地域住民によるお出迎えや特産品販売も実施しているのが特徴です。
外国人審査員からは、秘境の無人駅に静かに停車する列車は、まるで映画の世界のようだとコメントしました。深い山の中に佇み、蝉の鳴き声だけが聞こえるような情景は非常に日本的と評価しています。
3. 「海女小屋体験施設さとうみ庵」海女さんと交流しながら地域の食をPR
National Park部門を受賞した「海女小屋体験施設さとうみ庵」は、戦後初の国立公園として指定された伊勢志摩国立公園ならではの魅力を感じられるスポットです。
海女さんが漁の後に休む海女小屋を模した建物で、現役や元海女さんが新鮮な海産物を目の前で焼きおもてなしします。志摩市で獲れた魚介類を堪能しながら、実体験に基づいた海女さんの話を聞く貴重な機会となり、近年は海女文化に興味を持つインバウンド客も多く訪れているとのことです。
外国人審査員は、海女さんと直接お話しながら、新鮮な伊勢の海産物が食べられるのは、究極の体験ツーリズムであると評価しました。単純に特別な地域ならではの美味しい料理を楽しむだけでなく、地域の文化や伝統的な生活を学べる場でもある点が素晴らしいとコメントしています。
まとめ:「COOL JAPAN」なコト・モノを日本の魅力として発信し、インバウンド誘客促進へ
コト・モノを日本の魅力として発信する「COOL JAPAN AWARD 2019」について、受賞した53対象から3対象をピックアップしご紹介しました。当アワードでは、外国人目線での評価もされるため、より効果的にインバウンド・海外戦略に活用できる点が大きなメリットです。日本各地に眠る魅力的な観光資源やスポットを発掘・磨き上げることで、知られざる日本の魅力を世界へ発信し、訪日旅行の認知拡大につなげていくことが期待されるでしょう。
<参照>
・クールジャパン協議会:公式ウェブサイト
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