【ベトナム】日本人起業家SNS大炎上事件から学ぶ、インバウンドでも要注意の「相手目線」情報発信とは

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2019年6月ベトナムのカフェにて、日本人起業家が目にした景色を批判的にツイートし、日本だけでなくベトナム現地からも大きな非難の声が巻き起こっています。

中国や東南アジアで今広まるフードデリバリーは、多くの配達員によりサービスが成り立っています。こうした配達員は、注文が入るまで屋外で過ごすことも多く、旅行者も多く目にするようになっています。

ベトナムでもこうしたデリバリーサービスが普及しており、配達員は緑色のユニフォームに身を包んでいます。高温多湿な環境で働く配達員たちは、汗と埃にまみれながら、人々の生活の質を確かに高めています。


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炎上は一時の痛み?将来に残るリスクにもなり得る

こうした配達スタッフが大手コーヒーチェーン店内で休憩する様子を「小汚い格好」と表現し、さらには「店舗は世界観を守るために対応を考えたほうがいい」と、入店をとがめるような意見を表明した日本人がいました。

SNSのTwitterでのこの発言は瞬く間に拡散しました。現地での起業家として、SNS上では積極的に発言をしていたと考えられます。彼の発言は日ごろから、良くも悪くも大きく注目を集めていたでしょう。

こうした日本インターネット圏での知名度だけでなく、本件はベトナム最大級のサイトでもニュースとして取り上げられるにいたりました。

またベトナムではFacebookの利用者が多く、Facebookのコミュニティでも大きく話題となっているそうです。この発言を擁護するような発言は多くなく、「他人を差別することは最低のこと」といったコメントが殺到しています。

炎上とは言っても一時的なもの、と見ることもできますが、一度インターネット上で拡散された情報は全てを消すことは難しくなっています。適切な対応を適切なタイミングでとらなければ、ネガティブな感情も長く残ると考えるべきでしょう。

異文化の文脈をとらえ損ねて「炎上」

ベトナムでの一件は、ひとえに発信者である起業家の品位のない発言が引き起こした事件と言えるでしょう。

しかし世界には、相手の文化におけるNG事項を知らないからこそ、起きてしまった「炎上」もあります。

1. スポーツブランドNIKEの文字

今年1月、スポーツブランドのNIKEの一部商品に印字された文字が、アラビア語でアラー(イスラム教徒の神)を意味する文字に見えるとして、イスラム教徒たちから抗議が殺到しました。

抗議署名は2万件にも上り、NIKEはこれを受けて3万8,000足を自主回収しています。

2. ドバイのモスクにてひざ下から足首まで露出、米国の歌手が炎上

同じく今年1月、女優・歌手のセレーナ・ゴメスが、イスラム教の礼拝堂であるモスクで撮影した写真をInstagramに公開し、これが非難の的となりました。

写真から、セレーナがモスクを訪問した際にひざ下から足首までの部分を露出していたことがわかり、これはモスクの服装規定に反するものとの指摘が相次いでいます。

イスラム教徒にとってモスクは神聖な場所であり、肌を露出することは失礼にあたります。こうしたイスラム教徒にとって神聖な場所を訪問する際には、足首までの丈のズボンを着用することがドレスコードとなっています。

セレーナがこのルールを知っていたかどうかについては報道では触れられていませんが、指摘を受けてすぐさま削除しています。

3. アジアのイスラム国家インドネシアは法律で取り締まり

東南アジアには様々な宗教を信じる人々が存在します。先の2件はイスラム教徒による指摘でしたが、同じくアジアのイスラム国家インドネシアでも同様、イスラム文化への侮蔑的な表現に対するトラブルが後を絶ちません。

インドネシアは「ソフトイスラム」と呼ばれる宗教穏健派が多いと言われていますが、法整備上は「宗教冒とく罪」という法律が存在しており、国は個人や法人の振る舞いについて取り締まる姿勢です。この罪状での逮捕者は毎年出ているといいます。

インターネット上では日本よりも厳しい規制が敷かれています。例えば性的な画像や表現はネットの検閲で見られないようになっており、きわどい表現の歌曲も放映が禁止されています。

このような縛りは、イスラム教徒がメッカと呼ぶ中東へ近づくにつれ更に厳しくなり、広告表現等はより一層の注意が必要です。

宗教だけじゃない、インターネット上のリスクとは?

上記のように宗教関連の炎上は非常に多いですが、中国ではグレートファイアウォール(金盾)という検閲システムが存在し、政権批判等がタブーとされていることは広く知られているところです。冗談でも政権を批判するようなイメージを用いるべきではないでしょう。

また、欧米を中心に人種差別的な発言によって炎上するケースもよく見かけます。こうした地域と日本との間に存在する感覚の違いがこうした事態を引き起こしていると言えるでしょう。

セクハラやマタハラに代表される様々なハラスメントについては、最近は日本国内でも厳しい目で見られますが、他国への対応でも十分に気を付けなければなりません。

インバウンド市場で、どのようにリスクを回避するべきか?

商品の魅力を伝えたいあまり、消費者の目を引こうという一点にのみ意識がいってしまい、表現の細部にまで気が回らないこともあるでしょう。ベトナムでの起業家の炎上もこうした部類に大きくは分けられるのかもしれません。

一方で、そもそもそのメッセージの受け取り手である外国人がバックグランドとする文化では、どういうものがNGとなるのか、知識がなくて見抜けないこともあります。

プロモーションや広告、また商品デザインにおいては以下のような点に気を配るべきでしょう。

  • 商品コンセプトやサービス名は宗教冒とくや差別、人種差別、ハラスメントにつながるリスクをはらんでいないか
  • 誤解を生む可能性はないか調査・検討する(嘲笑を誘うような表現は、地域や対象を問わずNG)
  • 必ず、ターゲット国のネイティブチェックをかける(またはネイティブチェックを必須にしている専門家へ依頼する)
  • 普段から幅広い国の文化を理解するよう努める

常日頃、炎上を防ぐことは大切ですが、同時に「起きた際の対応策」や、上位の人員へ問題の解決を展開する「エスカレーション方法」についても、同様に重要です。あらかじめ検討し社内で共有しておくべきでしょう。

もし炎上が起きてしまった場合でも、機を逃さず誠実な対応をすることで、最低限の炎上にとどめることは可能なはずです。

先の事例で取り上げたNIKE社も、自主回収後それ以上の非難が続いている様子は見られていません。

様々な発言やデザインがリスクとなることが、インバウンド市場では避けられない可能性でしょう。こうしたリスクも認識したうえでのインバウンド対策は、競合他社に差をつける大きな一歩になるかもしれません。

<参照>

A popular Nike sneaker is facing backlash from Muslims who say its logo looks like the Arabic script for 'Allah'

セレーナ・ゴメス、観光中にモスクで撮影した写真で大炎上

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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