「トリップAIコンシェルジュ」とは、2019年7月よりリクルートライフスタイルが提供する業務支援サービスです。AI(人工知能)を活用し、宿泊施設に代わって顧客からの問い合わせに多言語で対応できるサービスです。
この記事では、「トリップAIコンシェルジュ」の概要や、同サービスの導入メリットなどを解説します。
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トリップAIコンシェルジュとは
トリップAIコンシェルジュとは、AIを活用し宿泊施設の従業員に代わって顧客の問い合わせに対応するサービスです。リクルートライフスタイルが2019年7月より業務支援サービスとして開始しました。 このトリップAIコンシェルジュの特徴は、多言語対応が可能な点です。
同時に、施設利用者にとっても利便性の高いサービスといえるでしょう。宿泊施設の公式ホームページに専用窓口を設置することで、旅マエの予約検討者にも対応できるメリットもあります。
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トリップAIコンシェルジュの背景
訪日外国人旅行者の増加・人材不足・予約チャネルの多様化など、旅行を取り巻く環境の変化によって、宿泊施設の業務が急増しています。そのような状況のなか、リクルートライフスタイルの関連媒体に掲載する宿泊施設からは、「本来の業務に時間や費用を投資できない」、「このままでは、疲弊して宿泊業界の価値が低下してしまう」といった不安の声が寄せられたといいます。
こうした背景から、リクルートライフスタイルは、宿泊施設の「問い合わせ対応業務」負荷軽減のため、「トリップAIコンシェルジュ」の業務支援サービスを開始しました。
トリップAIコンシェルジュにより、「従業員の省力化」と「利用客の満足度の向上」を両立させ、宿泊施設が本来の業務である「付加価値の提供」に注力できます。
トリップAIコンシェルジュの利用価格は?
トリップAIコンシェルジュの利用価格は次の通りです。
宿泊施設の客室数に応じて、10,000~30,000円(税抜)の月額制となります。
- 50室以下:月額10,000円
- 51~100室:月額20,000円
- 101室以上:月額30,000円
外国語応答サービスの「多言語版」が登場
トリップAIコンシェルジュは、日本語対応のみのサービスとなります。2019年12月より、オプション機能として「トリップAIコンシェルジュ 外国語応答」のサービスが開始される予定です。外国語応答サービスを利用することで、訪日外国人宿泊客の利便性も向上できるでしょう。
「トリップAIコンシェルジュ 外国語応答」概要
- 対応言語:英語、中国語(繁体字・簡体字)、韓国語
- 申込受付開始:2019年7月1日(月)
- 提供開始:12月より順次(予定)
- 価格:月額5,000円(税抜)
※「トリップAIコンシェルジュ」を利用する宿泊施設であることが申込条件
トリップAIコンシェルジュを導入する際のメリット・デメリット
トリップAIコンシェルジュは、宿泊施設の問い合わせ対応業務の負荷軽減を目的とした業務支援サービスであることをお伝えしてきました。
次に、トリップAIコンシェルジュを導入する場合のメリットとデメリットについて紹介します。
メリット①:簡単・低コストで導入
1.準備が簡単
トリップAIコンシェルジュの特長として、導入作業が簡単であるという点が挙げられます。初歩的な質問回答を入力するだけで、あとはAIが自動的に質問の蓄積データを分析し、回答の精度を高めてくれます。
2.高精度のサービスを低コストで導入
AIに学習させる高精度のサービスとしては低コストであるというのも大きなメリットです。これまで、コストの問題で同様のサービスを導入できなかった中小の旅館や家族経営のペンション、大規模ホテルまで、幅広い宿泊施設が導入できます。
3.「じゃらんnet」との連携で効果を図る
リクルートライフスタイルのサービスの1つであるじゃらんnetに掲載している宿泊施設の場合、連携することで、予約前から予約後・宿泊施設に来訪するまでの利用者との接点を増やせます。また、AIがじゃらんnetのデータも活用するため、回答精度がより向上していきます。
メリット②:サービス改善やマーケティング活用に役立つ
トリップAIコンシェルジュを利用することで、宿泊施設はデータを活用できます。
問い合わせ自動化による業務効率の向上だけでなく、問い合わせ内容を参考にサービス向上に役立てる宿泊施設もあります。
また、マーケティング活用にも役立てられます。蓄積した問い合わせデータを管理画面で可視化できるうえ、潜在的な要望をレポートで顕在化することが可能です。
デメリット:「トリップAIコンシェルジュ」の存在が認知されづらい
宿泊施設は、トリップAIコンシェルジュのサービス導入にあたり、自社ホームページにトリップAIコンシェルジュの窓口を設置することが可能です。とはいえ、それだけでは、サービス自体が宿泊施設利用者に認知されづらいデメリットがあります。
宿泊施設は、じゃらんnetの宿ブログ機能やSNSなどの活用・施設内POPを施すなど、主体的にトリップAIコンシェルジュの利用をPRすることが重要であるといえるでしょう。
トリップAIコンシェルジュの導入事例
前述では、トリップAIコンシェルジュのメリット・デメリットを紹介しました。PRの観点で主体的に動く必要性はあるものの、低コストで高精度のサービスといったメリットがあります。
実際に、トリップAIコンシェルジュを導入している宿泊施設の事例をみてみましょう。
箱根ホテル
トリップAIコンシェルジュの導入施設として、箱根ホテルがあります。箱根ホテルとは、富士屋ホテル株式会社が運営する1923年にオープンした宿泊施設です。
箱根といえば、温泉の観光名所として、多くの国内外の観光客に人気があります。とりわけ箱根ホテルは、芦ノ湖(あしのこ)でのアクティビティや、富士山といった絶景が楽しめます。
箱根ホテルの公式ホームページの通り、左下に「トリップAIコンシェルジュ」の専用窓口から問い合わせが可能です。たとえば、アメニティなどの備品や設備、駅からホテルまでの送迎車などアクセスや駐車場、旅館近くのお出かけスポットなどがあります。
ただし、トリップAIコンシェルジュからは、宿泊予約はできません。
箱根ホテル専用の「トリップAIコンシェルジュ」を利用してみた
箱根ホテル専用の「トリップAIコンシェルジュ」を実際に利用してみましょう。
たとえば、「チェックインはいつからですか?」との問いに対し、AIが自動的に質問内容を、「チェックイン時間、チェックアウト時間を教えてください」と認識し、「チェックイン15:00、チェックアウト11:00」といった情報を回答してくれます。
しかしここで、「チェックインはいつまでにすればよいか」という情報を知りたい場合、「AIの認識の間違いを指摘」ボタンを押すると、想定質問と回答がいくつか提示されます。こうしてAIの蓄積データをもとに、回答の精度を高めていきます。
トリップAIコンシェルジュを導入して人手不足解消へ
今回は、リクルートライフスタイルが提供するトリップAIコンシェルジュについて紹介しました。トリップAIコンシェルジュを導入する箱根ホテルは、観光名所として多くの観光客が訪れます。
トリップAIコンシェルジュの導入によって業務負荷を軽減することで、本来の宿泊施設の業務である付加価値の提供に注力し、顧客の満足度向上を図ることが可能になります。少子化などにより問題となっている人手不足解消も期待できるでしょう。
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