世界中には日本に対して好感を抱いている親日国と、日本に対反感を抱いている反日国が存在します。
親日国や反日国というのは、あくまでも国民のうちのマジョリティの意見を抽出したものであるため、国民全員の意見を反映しているわけではありません。
しかし、親日思想、反日思想は対外関係や国際情勢にも影響を与えうる重要なポイントの一つです。
そのため、このような「国民性」はインバウンド対策でも活用できる情報といえるでしょう。
また、似た概念に知日派がありますが、これは日本について深く理解している人物を指す言葉であり、親日とは必ずしも一致しません。
今回は、親日度調査やその他のランキングをもとに、世界の親日国・反日国とそれぞれの国が親日あるいは反日になったきっかけ、そしてインバウンドとの関係を解説します。
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親日国
日本との交流の機会が多い国は、日本に対する理解も深まりやすい傾向にあるため親日国となるケースが多いようです。
これまで日本との関係が深く、親日的だとして代表的なのは台湾、ブラジル、タイの3か国です。
また親日国や反日国というのは国同士の印象やイメージによって生まれる概念であるため、ある出来事をきっかけに親日国となるケースも少なくありません。
日本人の活躍によって親日感情が国内で広まり、親日国となった国についてもまとめます。
1. 台湾:共通する文化も多い
台湾は世界一親日的と言われることもあるくらい日本への好感度が高い、訪日外国人客数の内訳では、中国、韓国に次いで第3の市場です。
過去には日本が統治していた地域でもあり、日本人をルーツに持つ台湾人や共通する文化が多いことも要因の1つであると考えられています。
日本食やアニメ文化、外国人に対するおもてなしといったコンテンツが、こうした歴史を背景に好印象を抱かれる対象となっています。
2. ブラジル:日系人が多い
ブラジルは日系人が世界で最も多い国として知られており、世界的にみても親日感情の強い国の1つです。
日本人については勤勉や礼儀正しいといったポジティブなイメージが定着しており、留学や労働を目的として日本へと渡るブラジル人も少なくありません。
日本という国に対するイメージで言えば、技術大国と感じている人々が多く、ブラジルにおいても二国間の関係は良好であるという意見が多くなっています。
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3. タイ:皇室関係も良好
タイも親日国として有名です。親日度についてのアンケートにおいても、他国に比べて高い結果が出ています。
また、日本とタイは皇室関係が良好なことでも知られており、一般市民だけでなく国際関係においてもその絆を深めていると言えるでしょう。
日本食やアニメ文化がタイ国内においても流行しており、物価が安く治安も良いため日本人の旅行先や移住先としても好まれています。
4. トルコ:沈没船から生存者を救出
1890年にトルコの前身であるオスマン帝国のエルトゥールル号が和歌山県沖で沈没するという事故が発生しました。
その際に日本人が救助にあたり生存者の救出や手当てをした上で、国内で義援金を募り民間大使であった山田寅次郎がトルコへと送り届けました。
困っている人々に手を差し伸べる日本人の姿勢や山田寅次郎の功績はトルコにおいて高く評価され、現在でもトルコには山田寅次郎広場が残っています。
また、1985年のイランイラク戦争の際にはイラン国内に取り残された日本人を救うためにトルコ政府が航空機をイランへ派遣するという出来事も起こり、日本とトルコは互いに助け合った国同士であるといえるでしょう。
5. ポーランド:シベリアに取り残された子どもを救出
第一次世界大戦末期には日本赤十字社がシベリアへと送還されたポーランド人の孤児に対する救護をしました。
日本赤十字社は765人の孤児たちを救い、けがや病気の治療に加えて手厚いもてなしを受けた孤児の中には日本に残りたいと懇願する者もいたと言います。
現在でもこの出来事は語り継がれており、ポーランドはヨーロッパ随一の親日国となっています。
6. フィンランド:オーランド諸島問題の解決に貢献
ロシア革命の発生を機にフィンランド本土では独立運動が、フィンランド領オーランド諸島ではフィンランドから独立を求める運動が活発化しました。
しかし、オーランド諸島の希望はフィンランドから独立してスウェーデン領へと帰属することで、これは両国の関係悪化を招くリスクもある危険な嘆願でした。
この問題の解決に貢献したのが当時国際連盟の事務次長を務めていた新渡戸稲造です。オーランド諸島のフィンランドへの帰属と引き換えに、オーランドの自治権を拡大することを確約する新渡戸裁定を示しました。
島民の求めである自治権を認めた上でフィンランドへと帰属するという結論を示したこの判断は、フィンランドから支持されるものであり、親日国となる大きなきっかけとなりました。
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7. マケドニア:大震災後の再建に尽力
1963年にマケドニアの首都であるスコピエは大地震に見舞われました。
スコピエの市街地の約7割が壊滅状態となり街としての機能を失ってしまうほどの被害を受ける事態となりました。その際に日本の建築家である丹下健三がスコピエの再建に尽力し、やがて街は本来の活気を取り戻しました。
日本人の間では知名度がそう高くない出来事ですが、マケドニアでは教科書にも載っているほどの出来事として扱われています。
8. パラオ:日本政府によるインフラ整備
パラオは西太平洋にあるミクロネシアの島々からなる国です。
1994年にアメリカ合衆国から独立したばかりの比較的新しい国で、公用語はパラオ語、英語の他に、アンガウル州では日本語、ソンソロール州ではソンソロール語、ハトホベイ州ではトビ語が制定されています。
16世紀以降のパラオは欧米による支配のもとにありましたが、スペイン、ドイツの統治を経て、第一次世界大戦の戦後処理パリ講和会議において日本の委任統治領になりました。
パラオにはいまでも日本から影響を受けた文化が多く残るだけでなく、日本による委任統治時代を知る高齢者のなかには、その時代を肯定的にとらえている人も多いそうです。
日本政府による現地への学校や病院設立、インフラ整備がその理由となっているようです。
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反日国は?
世界には親日国がある一方で反日的な感情を抱いている国も存在します。
中には戦争において日本が多大なる被害を与えてしまった国もあり、今後、引き続き有効な関係を保持していくためには、その悲惨さを忘れず悲しみの歴史を二度と繰り返さないという意識が重要になってくると言えるでしょう。
以下では、反日感情が目立つ国についてまとめます。
1. 中国
古くから文化的交流も多い中国と日本ですが日中戦争以降は日本に対してネガティブな印象を抱いている中国人も少なくありません。
また、領土問題も日中関係が悪化した大きな要因であるといえるでしょう。
現在でも10%通達によってテレビドラマの約1割は抗日ドラマが放送されていることなどもあり、中国国民に浸透している反日感情はぬぐいきれていない状況が続いています。
2. 韓国
韓国は第二次世界大戦によって引き起こされた諸問題が現在も尾を引いており、隣国でありながら反日感情の強い国として知られています。
近年ではボイコットジャパンと呼ばれる不買運動も激化しており、両国の経済にも打撃を与えています。
アジア圏における先進国である日韓の国交悪化は世界経済にも影響を及ぼしうる懸念材料で、早急な対応が求められています。
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さらに、両国とも日本とならびアジア圏の経済を先導する主要国であるため、3ヶ国のみにとどまる問題ではありません。
他方で報道で伝えられる中国や韓国における反日感情は、実際の訪日外国人客数や旅行消費額にはそれほど影響を与えていないと見ることもできます。
しかし、今後影響を与える可能性がないとは言いきれないため、国交回復や関係改善に注力していく必要があるといえるでしょう。
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親日の背景を理解してインバウンド市場開拓へ
世界的な経済や消費、政治の動向を理解する上で親日や反日といった国の特性やその背景にある歴史や事情を知っておくことは非常に重要です。
また、親日国は国民性として日本に対して親しみを持っており、多くの国民が親日派であるため、現状ではインバウンド市場でのシェアが大きくない国であっても、今後のプロモーション次第ではインバウンド需要が見込める国であると言い換えることもできます。
インバウンドにおける新たな市場の開拓においては、親日国という要素は大きなアドバンテージとなることを認識するべきでしょう。
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