空港はもうこんなに未来になっていた:成田空港で70台稼働開始「顔認証ゲート」

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これまで、日本から出国、あるいは海外から帰国する際、必ず出入国審査場のカウンター前に並び、パスポートに出入国スタンプを受ける必要がありました。

しかし2017年10月に「顔認証ゲート」が羽田空港の出国審査場で先行導入され、その後日本国民向けの出入国手続きにおいて本格的にスタートされました。初めてでも簡単に時間短縮して審査を通過できるということで、利用者からも好評です。

そして今年7月2日には、「顔認証ゲート」を全国の7空港における外国人の出国手続きに導入することが発表され、同月24日には羽田空港で導入が開始されました。8月以降、成田・関西・福岡・中部・新千歳・那覇の計7空港でも順次運用される予定です。

この記事では、顔認証ゲートについて詳しく解説していきます。

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顔認証ゲートとは?日本国籍→外国人出国手続きにも拡大

「顔認証ゲート」とは、一人で機械操作ができない場合や身長135センチ以下の場合を除いて、ICチップ内蔵のパスポートをかざすと、ゲートのカメラで撮影した顔とパスポート上の顔写真データが照合され、これが一致すれば審査完了となり、通過できる仕組みです。

これまでは、羽田、成田、中部、関西、福岡の5空港で日本人の出入国の手続きで使用されてきました。しかし今回の発表によれば、外国人の出国手続きに「顔認証ゲート」を7月24日の羽田空港で導入開始し、続けて8月以降に他6空港でも運用が始まります。

観光立国の実現に向けた施策の一環として、顔認証技術を取り入れることで日本人・外国人の出入国を合理化し、入国審査官を外国人の審査に充て、円滑化を図ることを目的としています。

また同システム導入により、対象者のパスポート写真と空港ゲートで撮影された写真が機械で比較されるため、セキュリティ強化が期待されています。

主要空港に順次導入、最多は成田

外国人の出国手続きに導入が決定した「顔認証ゲート」は、7月24日羽田空港を皮切りに、8月成田、9月関西、10月福岡、11月中部、11月新千歳、来年7月那覇の計7空港で順次運用が始まります。

各空港への導入数を見てみると、上陸・出国ゲート合わせてそれぞれ、成田70台、羽田37台、中部25台、関西41台、福岡13台、新千歳9台、那覇8台が外国人出国手続きに活用される予定です。国際線を多く持つ成田空港での導入数が群を抜いて多くなっています。

事前登録不要、たった10秒

日本初の「顔認証ゲート」導入は、2017年に羽田国際空港日本人向けに利用が開始され、その後も成田、中部、関西、福岡を含め計5空港で日本人限定で出入国の手続きで運用されていました。

顔認証ゲート導入以前には、指紋認証による自動ゲートの利用が可能でしたが、事前に指紋登録を済ませておく必要があり、年に数回の利用のために登録するのは面倒と考える人も多かったと考えられます。

しかし、この顔認証ゲートの利用に事前登録は不要です。所要時間も、パスポートを開いて載せて画面に向かう、およそ10秒と短くなっており、長蛇の列で順番を待つストレスから解放されるでしょう。

世界の「出入国の審査自動化」導入事例も様々

観光立国の代表であるフランスでは、2年ほど前にシャルル・ドゴール空港にて、出入国審査に顔認証システムを試験的に導入しています。パリ同時多発テロ事件以降、セキュリティーが強化された影響で待ち時間が大幅に増加したため、混雑緩和を目的に導入されました。

2018年には「PARAFE」と呼ばれる出入国審査自動化ゲートが、シャルルドゴール空港で約20台導入され稼働しています。このシステムはフランス人だけが対象で、指紋認証も必須です。顔だけの認証は試験段階のようです。

イギリスの空港では「eパスポート・ゲート」という顔認証システムにより、利用者とパスポートの証明写真を比較して入国管理する制度を導入しています。

このシステムはEU加盟国の28ヶ国とノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインの3ヶ国、合計31ヶ国の国民が対象となっていました。今年2019年5月に、日本、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、シンガポール、韓国、米国の7ヶ国が新たに入国管理の緩和対象となっています。

国境の安全を確保しつつ、入国する乗客のストレスを緩和し、満足度向上を目指しているようです。

ゲートの自動化ではないものの、タイでも出入国審査の円滑化に取り組んでいます。2018年夏、タイ国内主要5空港に中国人専用の入国審査レーンが設置されました。さらに中国語対応可能な出入国審査官を配置するという異例のケースもあるということです。

こうした対応がとられたきっかけは、同年7月にプーケット島沖で中国人旅行者47名がダイビング船沈没で死亡した事件がありました。この事件以降、中国人旅行者のキャンセルが相次ぎ、タイは中国人旅行客の客足を取り戻そうと上述の施策を打ち出したとも言われています。ただし、実際に年間約600万人の中国人がタイに入国しており、混雑緩和策として歓迎されたと考えられます。

テクノロジーの応用で省人力と待ち時間の短縮を実現

世界中の空港が、デジタル技術の導入を急ぐ時代になっています。

現在、観光立国への成長し続ける日本にとって、混雑の緩和などの空港利用者の満足度向上は取り組むべき課題のひとつです。こうしたテクノロジー技術は、今後も人手不足により生じている課題をいくつも解決していくでしょう。

またこうして新しい技術により人による作業時間が減少すれば、本当に必要な業務に人材をあてがうことができるようになるはずです。インバウンド対応においては、訪日観光客が「人によるサービスが欲しい」と考える場所に注力することにもつながり、より良い旅行体験の提供につながるでしょう。

下記の記事では、空港に関するニュースについて詳しく解説しています。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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