「東京のとなり」の悩み…山梨県のインバウンド滞在日数・消費単価が低い!打開策は?

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東京都の隣に位置する山梨県は、富士山という大きな観光資源や豊かな自然を武器に観光客を集めています。訪日外客数は全国12位、宿泊者数は10位と、地方としてはかなり高い順位にあると言えるでしょう。

しかし、1人1回あたり旅行消費額は16,369円と少なく、全国45位となっています。

多くの外国人観光客を集めているにも関わらず消費額が少ないのは、滞在日数が少ないためです。この問題を打開していくには、「富士山に頼らない」観光施策が必要であると言えます。

この記事では、山梨県のインバウンド事情・課題・考えられる対策について詳しく解説していきます。

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消費単価は全国最低ランク...山梨県のインバウンド事情

山梨県のインバウンド事情は以下のようになっています。

項目 データ 全国ランキング

訪日外国人観光客の訪問者数

1,436,510人

第12位

訪日外国人宿泊者数

1,961,210人泊

第10位

訪日外国人の平均宿泊数

1.6泊

訪日外国人の1人1回あたり旅行消費額

16,369円

第45位

訪問者数や宿泊者数は上位であるにも関わらず、旅行消費額が低いことがわかります。旅行消費額の低さは、平均宿泊数が1.6泊と非常に少ないことが原因であると考えられます。

ちなみに、山梨県と同じく富士山を県下に収める静岡県の平均宿泊数は3.2泊で、山梨県の2倍となっています。

東南アジア圏からの観光客が多い

▲山梨県に来ている訪日外国人の割合:訪日ラボ作成
▲山梨県に来ている訪日外国人の割合:訪日ラボ作成

山梨県における訪日外国人を国・地域別に見ると、中国、台湾、香港からの観光客が多数を占めます。加えて訪日タイ人や訪日ベトナム人の存在感が強いのが特徴です。

旅行消費額が多いのは香港、タイからの訪日外国人観光客です。

外国人対応は平均程度?

現在、山梨県が取り組むインバウンド対応と、他地域と比べた場合のランキング順位は以下の通りです。

  • Japan Free Wi-Fi登録施設は1,853施設であり、全国第31位
  • 外国人観光案内所設置数は18施設であり、全国第28位
  • 施設内案内表示の英語化率は75%以上
  • おもてなし認証規格登録事業者の数は213件で、全国第31位
  • 免税店の数は258店舗で、全国第30位

全国平均よりは少し下の順位ですが、非常に遅れているというわけではないようです。

ただし静岡県は同様のインバウンド対応において以下のような結果であり、山梨県よりもかなり進んでいることがデータから読み取れます。

  • Japan Free Wi-Fi登録施設は3,731施設であり、全国第13位
  • 外国人観光案内所設置数は53施設であり、全国第3位
  • 施設内案内表示の英語化率は75%以上
  • おもてなし認証規格登録事業者の数は1,593件で、全国第5位
  • 免税店の数は1,025店舗で、全国第11位

山梨県は今後もインバウンド対策に注力していくべきと考えた方が良いでしょう。

なぜ山梨県は滞在日数・消費単価が少ない?

山梨県は観光客の滞在日数や消費単価が少ないという課題を抱えていることがわかりました。

ここでは、山梨県が抱える課題の背景を解説していきます。

「東京から近い」のはメリット?デメリット?

山梨県は東京都に隣接しており、新宿~甲府間が中央線特急で約1時間半と非常に交通の便が良い地域です。特に富士山周辺の地域は世界遺産に登録されている有名スポットも多く、連日外国人観光客が多く訪れています。

訪日外客数が全国12位であることからもわかるように、山梨県の外国人観光客誘致は一定の成果を挙げていると言えるでしょう。

ただし、東京から近いというのはメリットであるようにも見えますが、日帰りや1泊で気軽に行けることから滞在日数の少なさを引き起こす一因であると考えられます。

富士山に頼りすぎ?

山梨県の観光スポットとしては、富士山以外あまり知られていないというのが現状でしょう。

また、山梨県においてはインバウンドに限らず日本の旅行者でも、学生の合宿などあまり消費しない旅行が多いのが特徴です。わざわざ2泊以上かけて山梨県内を回ったり、数日間宿泊しても多くのお金を使うという発想にならないのではないかと考えられます。

対して静岡県では、熱海の温泉や伊豆高原のペンションなど、「富士山以外」のブランディングにも成功しています。山梨県にも「富士山に頼らない」ブランディングが必要であると言えます。

山梨県の1人あたり旅行消費額を上げるには?

山梨県は東京都に近い、富士山以外の観光資源が知られていないといった理由から、観光客の滞在日数が少なくなってしまい、1人あたり旅行消費額が全国最低ランクになってしまっていることがわかりました。

続いて、こうした課題に対する解決策を考えていきます。

消費額が多い香港・台湾・タイからの観光客は何にお金を使っている?

▲山梨県に来ている訪日外国人TOP5のインバウンド消費金額:訪日ラボ作成
▲山梨県に来ている訪日外国人TOP5のインバウンド消費金額:訪日ラボ作成

山梨県におけるインバウンド旅行消費額1位は香港です。項目別の図を見ると、全体的に他国の約2倍であることがわかります。

台湾・タイは中国などと買い物費はほぼ一緒となっていますが、宿泊費・飲食費・交通費が約2倍です。

多く買い物するわけではない旅行客も、宿泊すれば必然的に宿泊費や飲食費が上がります。また、県内の別の場所を訪問すれば交通費も上がります。

多く宿泊してもらうことに加え、県内のいくつかのスポットを訪問してもらえるようなPRが必要です。

消費額UPに貢献?山梨県の観光資源

収穫量全国1位の桃・ぶどう・すももや、落下角度や総回転数などで「世界一」のアトラクションを多く有する富士急ハイランドなど、元々山梨県は富士山以外の観光資源も多く持っています。

また、ジュエリー生産量も日本一なのですが、これはあまり知られていません。富士河口湖町には山梨宝石博物館、甲府市にはジュエリーショップがあります。アクセサリーの手作り体験ができる場所もあり、日本文化と併せた体験に昇華すればインバウンドの集客も見込めると考えられます。

こうした名産品や観光スポットの情報発信を工夫すれば、消費額アップが期待できます。

これからの季節:秋は紅葉・冬は温泉で観光客を呼び込めるか

紅葉が有名なスポットとして富士山周辺はもちろんのこと、甲府市・昇仙峡などが挙げられます。

▲昇仙峡の紅葉:昇仙峡公式サイト
▲昇仙峡の紅葉:昇仙峡公式サイトより引用

また、甲府周辺の地域には湯村温泉石和温泉など、温泉もあります。

温泉は日帰りよりも宿泊して楽しむものというイメージが強いため、ブランディングに成功すれば滞在日数増加を見込めるでしょう。

富士山に頼らずに滞在日数・消費単価を増やす施策が必要

富士山を訪れる観光客が多いことは決して悪いことではありません。むしろ、富士山は今後も活かしていくべき貴重な観光資源です。

しかし富士山に観光客やそれに向けたPRが集中していることで、山梨県に内在する他の素晴らしい観光資源が埋もれてしまっているのも事実です。富士山だけでなく他の観光スポットや名産品に目を向けてもらうことで、滞在日数・消費単価の増加が期待できます。

またインバウンドに向けたPRと併せて、Free Wi-Fiや外国人観光案内所などを増やし、滞在中の満足度向上に努めることも必要になってくるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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