日本の宿おもてなし検定とは?2級、3級の合格率は60%前後、問題傾向と企業導入メリットも紹介

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※2020年度から各級の名称が変更されました。

2013年の流行語大賞に選ばれた「おもてなし」は、インバウンドの重要なキーワードです。

日本各地には多くの観光地があり、そこを訪れる外国人観光客の数は年々増加しており、今この日本独自の「おもてなし」の文化が再度注目さています。

現在はラグビーワールドカップの開催真っ只中ですが、この大会を目的に訪日する外国人を念頭に大会公式サイトではカタカナで各国国歌を公開しています。開幕戦直前に対戦相手ロシアの国歌を日本のサポーターが練習する姿も見られ、訪日外国人から「すばらしいおもてなし」と感心の声も上がっているそうです。

今回は、日本のインバウンド受け入れでも注目される「おもてなし」をテーマに、おもてなしのスペシャリストのための資格「おもてなし検定」の概要、試験内容などについてご紹介したいと思います。

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日本の宿おもてなし検定の1級合格者は全国に17名のみ

「日本の宿おもてなし検定」とは、主に旅館・ホテル従事者に向けて2009年から開始した資格試験のことです。

2018年、最も難しい1級(旧:上級)の合格者は6名となり、彼らを加えても日本国内での上級保持者はわずか17名です。ちなみに3級は1万8,551名、2級は4,850名が資格を保有しています。

同年12月には1級合格者の6名が観光庁長官を訪ねました。田畑長官は彼らに向けて、「旅館で働く人の模範となり、(後輩を)育成すると同時に、日本の宿を世界に発信するけん引者になってほしい」と言葉を送り、合格者たちはそれぞれの抱負を述べ、さらなる躍進を約束しました。

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日本を訪れる外国人観光客の多くは、日本のレストランやホテルなど、様々な場所で受ける接客サービス

日本の宿おもてなし検定とは?

日本の宿おもてなし検定」は、主に旅館やホテルの接客業従事者に向けて試験が行われます。

接客サービスは「スタート!」「3級(基礎/旧:初級)」「2級(応用/旧:中級)」「1級(指導/旧:上級)」の4段階に分けられ、3級以上に試験が行われます。

受験級は自由に選べるわけではなく、3級合格後に2級、2級合格後に1級と、段階的に受験資格が得られる仕組みになっています。

3級と2級は2009年に開始し、2016年からは「おもてなし」のスペシャリストに向けた1級の試験がスタートしました。

2~3級の資格はWeb試験にて行われるのに対し、1級では実技・作文・面接の3部にわたる試験が行われます。

試験は年に一度で、毎年9月下旬に行われています。

日本の宿おもてなし検定の受検者の8割以上が宿泊業従事者

受験者の多くは旅館やホテルで働く人です。2020年では3級の受験者の79.3%、2級受験者の82.4%が宿泊業従事者でした。

男女比は女性の方がやや高く、3級受験者の44.3%、2級では41.8%が20代でした。いずれも20代が受験者の中でもっとも多かった年代であり、「日本の宿おもてなし検定」を接遇力向上、スキルアップの目的で利用する人が多いようです。

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日本の宿おもてなし検定、2~3級の合格率は60%前後

2020年の試験では、3級の合格者は1,522名、2級の合格者は536名でした。1級の合格者数は公開されていませんが、2018年時点で、現在の1級にあたる「上級」の合格者数は6名でした。

気になる合格率ですが、3級59.3%、2級62.7%と比較的高めです。しかし試験に合格するためには、設問全体の80%以上の正答率が必要となります。いずれも60点満点の試験なので、合格には48点以上が必要ということになります。

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おもてなし検定、実際にはどんな問題が出題される?

それでは、実際にどのような問題が出題されるでしょうか。例題とともにご紹介していきます。(例題はすべて公式サイトより引用)

おもてなし検定」の出題範囲は、以下の通りです。

3級:「日本の宿 おもてなし検定」初級公式テキストの【おもてなし知識編】【おもてなし実務編】より出題

2級:「日本の宿 おもてなし検定」中級公式テキスト及び初級公式テキストの【資料編】を除く本文より出題

3級

お客様をお部屋にご案内する際のポイントとして、不適切なものを1つ選びなさい。

a.フロントから鍵を受け取り、部屋番号をしっかり確認する。
b. 廊下は右側通行が一般的であるが、景観のよいところや絵画・骨董などが展示されている場所では、それらが見やすい側をお客様にお通りいただく。
c. お客様の2~3歩前、左前方をお客様の歩調に合わせながら歩く。
d. お部屋へのご案内中に他のお客様とすれ違うときは、歩みをややゆるめて黙礼をする、あるいは「いらっしゃいませ」などの言葉をかけて軽く会釈をする。

正解→ bが不適切。廊下は左側通行が一般的のため、この「右側を」という部分が誤りとなります。

2級

次の文章が正か誤か選びなさい。

「イスラム教のお客様の場合、豚肉の摂取は厳しく禁じられているが、ブイヨン、肉エキス、ラード等の形であれば問題ない。」

正解→ 誤り。イスラム教徒は肉そのもの以外でも、ブイヨンなどを含む加工食品の摂取を禁じられている場合が多いです。

このように訪日外国人を念頭においた問題も出題されます。

2~3級共通:言葉づかい問題

お客様に対する言葉づかいとして適切なものか不適切なものを判断し選びなさい。

✖お連れ様がご到着になられました。
〇お連れ様がご到着になりました。

「ご到着」と「なられる」の二重敬語になっている点が誤り。

✖お飲み物はコーヒーまたは紅茶、どちらにいたしますか?
〇お飲み物はコーヒーまたは紅茶、どちらになさいますか?

「いたす」は謙譲語なので、お客様が主語の場合は「なさる」を用いるのが正解。

✖ご注文は以上でよろしかったでしょうか?
〇ご注文は以上でよろしいでしょうか?

過去形を使う必要のない場面なので、「よろしいでしょうか」が正解。「よろしかったでしょうか」はいわゆる「バイト敬語」と言われる誤った敬語表現。

日本の宿おもてなし検定の導入メリットと事例を紹介

では、実際に日本の宿おもてなし検定を従業員に受けてもらったり、人材育成の工程に取り入れることで得られるメリットとはどのようなものがあるのでしょうか。導入をすでにおこなっている企業の事例をいくつかご紹介します。

1. ホテルスタッフ全員の接客レベルを底上げできる:札幌全日空ホテル

直接お客様と触れ合う接客スタッフのみならず、キッチンスタッフや管理部門を含む全員に日本の宿おもてなし検定の受験を勧めることで、全体の接客レベルがあがったようです。

他の部門の仕事内容や、どのようなルールがあるのかを知る機会は多くはありませんが、検定の受験を通して他部門の標準的な接客の内容を知ることで、業務を円滑がすすめられるようになったという意見もあります。幅広い基礎知識を身に着ける機会として、おもてなし検定を活用している例といえます。

2. テキストをマニュアルとして活用できる:大沢温泉山水閣

日本の宿おもてなし検定の公式テキストは、そのまま接客のマニュアルにもなります。旅館やホテルごとにルールが決まっていても、まずは接客の基本・標準を身に着けることが何よりも大切です。

その場合、個別に対応していく場合もありますが、人によって判断が異なることのないようマニュアルが必要となります。

日本の宿おもてなし検定の公式テキストをマニュアルとして活用すれば、標準的な接客方法が網羅されている上、すべてのスタッフに一定レベル以上の接客ノウハウが身に付いたそうです。

3. 採用活動で資格取得者数をアピールできる:まつや千千

日本の宿おもてなし検定の資格取得者を従業員に多く持つことは、単純に接客の質をあげるためだけではありません。

採用活動をする際に、資格取得者の人数をアピールすることで、就職に興味を持ってくれている人にいい影響を与えられます。

例えば、この会社で働けばスキルアップにつながるという印象を与えたり、同僚となる他の従業員が意識高く働いていることを数字として感じてもらえたりします。そのため、自然にやる気のある意識の高い就職希望者が集まってくることになったそうです。

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接客サービスのレベル向上が見込める「日本の宿おもてなし検定」

資格の取得を通じて、個人的な見解での対応ではなく、マニュアルに沿った対応をすることでお客様からのクレームを減らし、気持ちよく過ごしてもらえる環境作りにもつながるでしょう。企業によっては、従業員全員に初級の取得を勧めるところもあるほどです。

「日本の宿おもてなし検定」を受けるメリットは、単純に接客の基礎を学ぶことだけに留まりません。他の分野に関する知識を増やすことで、業務を円滑に進めるための視野が広がることにもつながります。インバウンドの増える今、導入を検討するに値する資格と言えるでしょう。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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