タイの最新インバウンド動向とトレンド解説【基礎から学ぶタイ市場】

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世界屈指の親日国であり、東南アジア唯一の訪日数100万人超市場としても知られるタイ

秋以降の需要期に向けた施策の準備が本格化する前に、タイ市場の全体感や攻略法をあらためて学んでみてはいかがでしょうか。

本記事では、訪日インバウンド市場全体の動向から訪日タイ人の最新データ、情報収集方法まで一挙に解説します。

この連載の記事:

訪日インバウンド市場全体の傾向は?

まずは、訪日インバウンド市場全体の動向を解説します。

2025年は訪日数、消費額ともに過去最高を更新

日本政府観光局JNTO)が発表した訪日外客統計によると、2025年の訪日外国人数は前年比15.8%増の4,268万人でした。また、観光庁インバウンド消費動向調査によると、訪日外国人消費額は同16.4%増の9兆4,549億円で、いずれも過去最高となりました。

▲訪日外客数推移:日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計より訪日ラボ作成
▲訪日外客数推移:日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計より訪日ラボ作成
▲訪日外国人消費額の推移:観光庁 インバウンド消費動向調査より訪日ラボ作成
▲訪日外国人消費額の推移:観光庁 インバウンド消費動向調査より訪日ラボ作成

2020年以降は新型コロナウイルス感染拡大により訪日外国人数、消費額ともに大きく減少したものの、2023年には消費額が、2024年には訪日外国人数がコロナ前を上回る数値に回復し、2025年はいずれもさらに拡大しました。

背景には、地方路線の増便や新規就航に加え、継続的な円安傾向などが追い風となっていることが挙げられます。

政府は2030年までの目標として、訪日外国人数6,000万人、訪日消費額15兆円を掲げており、いっそうの伸びが期待されています。

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訪日タイ人最新データ

次に、国・地域別の状況を見ていきましょう。

タイの訪日数は6位 2025年は2019年比93%まで回復

国・地域別の状況を見ると、タイの2025年年間の訪日外国人数は前年比7.3%増の123万3,103人で、6番目の多さでした。

タイよりも訪日外国人数が多かったのは、1位から順に韓国(同7.3%増、945万9,711人)、中国(同30.3%増、909万6,455人)、台湾(同11.9%増、676万3,424人)、米国(同21.4%増、330万6,823人)、香港(同6.2%減、251万7,402人)となっています。

▲2025年の国・地域別訪日外客数(2024年比):日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計より訪日ラボ作成
▲2025年の国・地域別訪日外客数(2024年比):日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計より訪日ラボ作成

訪日タイ人数は、コロナ禍前の2019年に過去最高の数値(131万8,977人)を達成して以降、記録が塗り替えられていません。

しかし、2025年は災害にまつわる予言やタイ経済の低迷、中国旅行ブームなどの影響がありながらも、対2019年比93%にまで回復しました。

なお、2026年の訪日タイ人数は、5月時点で累計65万6,500人(前年比4.5%増)となっています。2026年は1月に前年同月比18.9%増の11万5,100人を記録するなど、好調な動きも見られるため、今後の進捗にも注目です。

▲訪日タイ人客数の推移(2016〜2026年):日本政府観光局(JNTO)より訪日ラボ作成
▲訪日タイ人客数の推移(2016〜2026年):日本政府観光局(JNTO)より訪日ラボ作成

消費額は東南アジア最多 コロナ前から1.5倍増

2025年の訪日タイ人消費額は、前年比11.6%増の2,527億円で過去最高を記録しました。東南アジア市場のなかでは最多の額となっています。

2019年と比較すると1.5倍近い伸びを見せている背景には、1人当たり旅行支出の上昇があります。2025年の訪日タイ人の1人当たり旅行支出は、20万5,246円(前年比4.0%増)を記録しました。

訪日タイ人の滞在日数のボリュームゾーンは4~6日間(53.1%)ですが、平均泊数は2024年比で0.6泊長くなっており、滞在期間の長期化もこうした結果につながっていると考えられます。

▲訪日タイ人消費額の推移:観光庁 インバウンド消費動向調査より訪日ラボ作成
▲訪日タイ人消費額の推移:観光庁 インバウンド消費動向調査より訪日ラボ作成

特徴はリピーター率と地方への関心の高さ

年間の訪日者数100万人超の市場として注目を集めるタイですが、訪日タイ人には大きく2つの特徴が見られます。

1つ目は、リピーターの多さです。訪日タイ人は7割以上が訪日旅行2回目以上で、4回目以上の割合が45.4%と約半数を占めています。

2つ目は、地方への関心の高さです。タイの地方部宿泊率は39%にのぼり、これは東アジア4市場に次ぐ高い数値となっています。日本の知らない地を訪れ、ローカルな文化や自然体験したいというニーズが垣間見られます。

また、訪日タイ人は移動の利便性を重視する傾向にあり、12.9%が訪日旅行中にレンタカーを利用しています。車があれば広範囲への移動もかなうため、地方部でも十分に集客の可能性があるといえるでしょう。

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タイ人はいつ日本に来るのか?

インバウンドプロモーションを実施する場合、訪日需要が高まる時期の把握も大切です。

ここでは、タイの祝日や連休、訪日のピーク期間などを紹介します。

訪日ピークは4月 10月から年末も高需要な傾向に

タイ人の訪日ピークは、大きく分けて春(4月)と冬(10~12月)の2つの時期に分類されます。

ソンクラーン(水かけ祭り/毎年4月13日~15日)

タイの旧正月で、水をかけあって楽しむ「水かけ祭り」が行われる日です。旅行需要がもっとも活性化するタイミングで、2026年は土日を合わせて5連休となりました。

実際に、2026年4月は現時点で今年最多の16万4,800人(前年比4.0%増)のタイ人が日本を訪れています。

スクールホリデー(10〜11月)

タイの学校は主に2学期制で、10月中旬から末にかけて「中期休暇」と呼ばれる3週間程度の休みがあります。ここに以下の祝日が重なるため、旅行に行きやすい環境が整います。

  • 10月13日(火)ラーマ9世記念日:前タイ国王が崩御された命日です。
  • 10月23日(金)チュラロンコーン大王記念日:1910年10月23日に崩御されたチュラロンコーン大王を称える日です。

憲法記念日と大晦日(12月)

12月は大晦日に加え、月の前半に以下の祝日があるため、旅行の機運が高まります。実際、2025年の12月にはタイからの訪日者数が単月最高となりました。

  • 12月7日(月)ラーマ9世誕生日(父の日)の振替:タイの近代化を導いたラーマ9世の誕生記念日で、タイの父の日ともいわれます。2026年の当日は土曜日にあたるため、月曜が祝日となり、3連休になります。
  • 12月10日(木)憲法記念日:絶対君主制から立憲君主制へ移行した記念日です。
▲年間イベントと訪日タイ人数の推移、注目のトレンド 訪日ラボ作成
▲年間イベントと訪日タイ人数の推移、注目のトレンド 訪日ラボ作成

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タイ人向け情報発信・プロモ策への理解を深めよう

最後に、タイ人の情報収集スタイルを紹介します。

タイが情報収集で活用する人気掲示板サイト「Pantip」とは

競合分析ツール「Similarweb」のデータによると、タイ人が2025年にもっともアクセスしたWebサイトGoogleが1位でした。このランキングで5位にランクインしているのが、1996年にタイで開設された国内最大規模の掲示板サイト「Pantip」です。

Pantipは、2025年時点で1日あたりのPV数が475万を記録するタイ人のためのオンラインコミュニティで、タイにおいて非常に高い影響力を持っています。

サイト自体は電子掲示板(BBS)のような構造になっており、ユーザーは自分が知らないことについてスレッドを立てて質問したり、知見のある分野のスレッドに回答したりできます。また、さまざまなトピックについて意見を交わしたり、商品やサービスのレビューを書いたりすることも可能です。

▲タイ最大の掲示板サイトPantip(パンティップ)TOPページ
▲タイ最大の掲示板サイトPantip(パンティップ)TOPページ

他のSNSとPantipの違いはどこにある?

今回、PantipのCPOであるアピシルプ・トルンガノン氏に、タイ人のプロモーションのポイントを聞きました。

タイでは、Pantip以外にもFacebookTikTokInstagramLINEなど多くのSNSが浸透しています。アピシルプ氏いわく、それぞれのプラットフォームには異なる特徴があり、使われ方も異なるといいます。

  • Facebook:友人の近況やニュースの動向を追うために活用
  • TikTok:短尺動画を視聴するために活用
  • Instagram:友人や有名人の投稿を見るために活用
  • LINE:友人や家族と連絡を取り合うために活用

ここまで見ると日本と近しい傾向を感じますが、タイ人にとって信頼できる回答や他人の経験から学びを得るための場として浸透しているのがPantipです。

アピシルプ氏は、Pantipのコミュニティについて、「多様性」と「メンバー間での相互チェックの厳しさ(自浄作用)」というキーワードを挙げました。

日本では、「掲示板」と聞くと匿名コミュニティの印象を受けるかもしれませんが、Pantipですべてのサービスを利用するには、国民IDなど個人情報の登録が必要です。

そのため、多様なトピックを扱うなかでも、誇大広告やステマ(ステルスマーケティング)のようなレビューは投稿されにくく、仮にこうした投稿があったとしても、他のメンバーによってすぐに反論や指摘が書き込まれます。

こうした自浄作用が働いていることで、タイ人の間でPantipのコンテンツは「透明性や信頼性が高い」と評価されているのでしょう。実際にPantipに関するGoogle検索のクエリからも、「○○ Pantip」といったように、気になるキーワードの後に「Pantip」をつけて調べているケースが多く見受けられます。

また、一般的なSNSコンテンツが短文かつ一過性のバイラルコンテンツであるのに対し、Pantipの記事やレビューは長文かつコメントの蓄積によって長期間価値が維持される点も特徴です。価値あるコンテンツには1年経過してもコメントが投稿されるため、SEOの観点からもエバーグリーンなコンテンツとして評価を得ることができます。

関連記事:タイの人気掲示板サイトPantip(パンティップ)とは?タイ人向け訪日プロモーションへの効果的な活用法を解説

Pantipを利用した効果的なプロモーション方法

Pantipには、「Blueplanet」と呼ばれる旅行に関心がある人向けのルームがあり、訪日旅行の体験談や質問が「日本への旅行(เที่ยวญี่ปุ่น)」タグにまとまっています。

ここでは旅行プランや交通・移動手段、服装・コーディネート、穴場スポットや攻略情報など、日本へ旅行に行く前の準備について多くの意見が交わされています。ホテル飲食店など旅マエのアプローチが必要な事業者は、上手にプロモーションに取り入れることで一定の成果が得られるでしょう。

ただし、前述したように誇大広告やステマととらえられないような工夫も必要です。アピシルプ氏は、日本の事業者がタイ人から信頼されるための情報発信の仕方について、3つのポイントを挙げました。

課題解決につながる情報を先んじて提供する

Pantipのユーザーは、露骨なセールスを嫌う傾向にあります。そのため、単なる売り込みではなく、有益な情報や解決策を提供するスタンスでいることが大切です。

タイ人は、自分にメリットを与えてくれるブランドを好みます。たとえば、タクシーバスなど移動手段を提供する事業者であれば「大きな荷物を持って移動することなく、空港からホテルへ直行するには?」といったお役立ち情報を提供し、信頼を獲得したうえで自社のサービスを訴求すれば、「利用したい」と思ってもらえるでしょう。

透明性と誠実さを重視して情報発信をする

Pantipで訴求する場合は、強みだけでなくデメリットや注意点を率直に伝えましょう。

こうした情報は、ブランドのイメージを損なう方向に作用しません。むしろ、誠実な印象を与え、誤った期待値から生まれるネガティブなレビューや炎上を防ぐことにもつながります。

適切なスタンスでコミュニティに参画する

また、ブランド側からスレッドの質問に回答する形でのアプローチも効果的だといえます。旅行者の疑問やトラブルに対し、謙虚かつ丁寧に客観的な情報を提供することで、「頼れるブランド」といったイメージの構築も可能です。

ただし、この場合も明らかな売り込みは避けましょう。あくまで「親切な現地の友人」のようなスタンスで接するのが効果的です。これは、タイ人がすでに好感を持っている「日本の丁寧なサービス文化(おもてなし)」とも合致します。

投稿・広告露出はいずれも謙虚なスタンスで

ここまで解説した通り、Pantipで投稿や広告露出を行う際に欠かせないのは「ユーザーの課題解決を手伝う」というスタンスです。有益な情報発信と誠実さを最優先に、発信を心がけていきましょう。

【8/7】PantipのCPOが日本で初のカンファレンス登壇!

PantipのCPOも登壇する訪日ラボ主催「THE INBOUND DAY」が、2026年8月7日(金)に開催されます。

セッションでは、タイ人旅行者が訪日旅行においてPantipをどのように活用しているのかをさらに詳細に解説します。選ばれる観光地・施設になるためのヒントが詰まった内容になっているので、本記事にてタイ向け訪日プロモーションに興味をもたれた方は、ぜひご参加ください。

訪日ラボ主催「THE INBOUND DAY 2026」8/7開催

プロフィール:Apisilp Trunganont(アピシルプ・トルンガノン)

Internet Marketing Co., Ltd. (Pantip.com) Chief Product Officer

タイ最大級のコミュニティサイト「Pantip.com」の最高製品責任者(CPO)。プロダクト戦略およびデジタル行動分析のエキスパート。タイ人旅行者がどのように日本を探索し、体験しているかについて、独自データに基づいた知見を発信している。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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