訪日外国人観光客が旅行中に利用する交通手段は都心部では電車を利用し、地方ではバスの利用が多い傾向にあります。
それにも関わらず、ガイドブックや観光サイトの情報だけでは詳細な時刻・経路・運賃まで知ることは難しく、複数のサイトから情報を収集する必要があります。
そのため多くの訪日外国人観光客は、地図・経路検索機能を兼ね揃えたGoogle マップを利用する傾向にあります。
このことからGoogle マップにバス情報を掲載することが、訪日外国人観光客の利便性向上や集客に繋がると期待されています。
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Google マップで経路検索する訪日外国人観光客
ユーザー数は世界で10億人を越え、世界のほとんどの国・地域で使用できるGoogleマップは、日本を訪れる外国人観光客の情報収集にも大きく役立っています。
Google マップは目的地へ行くための地図検索・経路検索ができます。
その他にも、道中でレストランやショッピングスポットなどを探せる周辺検索機能や、バス・電車を乗り換えるタイミングを知らせてくれる通知機能などがあります。
使い勝手の良さ、利便性の高さから世界中から多くのユーザーを獲得しています。
乗り換えを含めた経路検索が重要
訪日外国人観光客がGoogle マップを利用する最大のメリットは、空港や主要駅などの出発地点から目的地までのトータル時間・経路を調べられる点にあると言えます。
ガイドブックや公式サイトで行き方を調べると、最寄り駅・路線からのアクセス方法しか掲載されていないケースが多く、空港など離れた場所からのアクセスを調べることは困難です。
その点Google マップは、現在地から最寄り駅までのルート表示、乗り換え案内、全体経路図など必要な情報が一度に入手できるため、現地を知らない外国人観光客にとって必要不可欠な検索ツールと言えます。
あらゆるバス情報の提供は地方観光にも有効
路線バス・コミュニティバスなどが主要な交通手段となっている地方では、バス情報を容易に検索できるようにすることがインバウンド集客に効果的です。
例えば、岐阜県の中津川市はGoogleマップへバスの情報を提供しており、民間会社の路線バスから市が運営するコミュニティバスに至るまで、時刻・路線検索が可能です。
これにより人気観光エリアの馬籠宿とJR中津川駅を結ぶ「馬籠線」の存在をより広く知ってもらうことができ、訪日外国人観光客の取り込みへと繋がっています。
外国人向け乗換案内アプリとの連携でバス情報の見える化
Google マップを利用する外国人が多いということは、Goole マップに情報掲載をしてい事業者は利用対象外になる可能性があります。
そのため、Google マップの経路検索結果にバスの情報を表示させ、訪日外国人観光客の利用促進を図ることが重要です。
また、現在は訪日外国人観光客向けに多言語対応をしている乗換案内アプリもリリースされています。
こうした経路検索アプリの利用を促すことで、外国人のバス乗車率を上げこれまで足を運びにくかった地方の観光スポットや商業施設などへのインバウンド誘致が可能になるでしょう。
ここではGoogle マップと、訪日外国人観光客向けの乗換案内アプリ2つを紹介します。
1. Google マップ
Google マップは無料の地図検索サービスで、訪日外国人観光客の多くが普段から使用しているツールです。
地図機能や経路検索機能が利用できるだけでなく、ストリートビュー・3D 表示・詳細なルート検索など多様な機能が使えることが特徴です。
なお、Google マップにバスの情報を掲載するには、規定のフォーマットに基づいてデータ整備を行った上で提供する必要があります。
そのため、事業者にとってはデータ整備の手間がかかる作業になりますが、バスを利用しやすい環境を整えることで将来的に訪日外国人観光客の取り込みが期待できるでしょう。
2. NAVITIME for Japan Travel
NAVITIME for Japan Travelは、株式会社ナビタイムジャパンがリリースした経路検索・多言語観光案内アプリです。コミュニティバスや高速バスなどを除き、全国の路線バス情報を掲載しています。
各種交通機関から徒歩に至るまで、すべての移動手段を組み合わせて出発地から目的地までの経路を検索できる「トータルナビ検索」が利用できるほか、時刻表の閲覧・停留所の位置表示にも対応しています。
さらにオフライン状態でも周辺無料Wi-Fiスポットを検索できる機能や、観光情報記事の掲載など幅広い機能が利用できるのが特徴です。
3. Japan Transit Planner
Japan Transit Plannerは、Jorudan Co.,Ltd.がリリースした多言語乗換案内アプリです。アジア・欧米・アラビアの合計13カ国語に対応しており、幅広い利用者が見込めることが魅力です。
鉄道・飛行機のほか、約260社の日本国内路線バスにも対応し、乗換案内・時刻表・路線図等が簡単に検索できるようになっています。さらに、Japan Rail Pass範囲内のみの経路検索も可能です。
訪日外国人観光客が利用しやすい環境整備
平成30年11月~平成31年2月に観光庁が実施したアンケートによると、外国人観光客が旅行中に困ったこととして、「公共交通の利用」と回答した割合が高くなっています。
さらに詳細な場面を訪ねた結果、
- 電車
- バスの構内
- 乗り場
- 車内の利用方法
- 駅での切符
- ICカード購入方法
- ルート検索
で困ったという回答が得られました。
Google マップや乗換案内アプリを利用し利便性向上に繋がっているとは言え、アンケート結果からは公共交通機関を利用する際の乗り方・切符の買い方などを分かりやすく案内することも必要だということが分かります。
「インターネットで乗換検索できる」ことを発信
中津川市のようにGoogle マップにバス情報を提供する自治体・バス会社が増えていますが、整備したあとの宣伝も非常に重要です。
Google マップで検索が可能だということを自治体やバス会社のホームページだけでなく、各種媒体・関係施設のホームページなどあらゆる場所に掲載することが必要です。
そうすることで利用者の認知だけでなく、地域全体の周知ができ困っているまたは聞かれた時にすぐに案内ができるようになります。
訪日外国人観光客が情報収集しやすいよう積極的に発信することで、さらなる利用促進が見込めるでしょう。
乗り方や支払い方法などの外国語表示
バスの乗車に関しては、
- 乗車時の運賃先払い、後払い
- 前後ドアの乗車位置
- 車内の運賃表示
など地域によってルールが異なるため、外国人に混乱を与えやすいというのが一つの課題です。
そのため、外国語での利用案内をインターネットで公開し、バス停・車内に掲示することも有効な対策になります。
現場で駅員や運転手に尋ねても外国語でのコミュニケーションが難しい場面が多く、結果的に双方にとってストレスがかかってしまうでしょう。
そうした事態を避けるためにも、訪日外国人観光客が安心して利用しできる環境を整えることが急務となります。
便利な乗り放題パスの提供
訪日外国人観光客のバス利用率向上には、乗り放題パスを提供することも効果的です。
現状、訪日外国人観光客向けに、新幹線を含むJRの電車や路線バスが乗り放題の「Japan Rail Pass」、高速バス乗り放題チケットの「Japan Bus Pass」といったフリーパスが販売されています。
また、「Mt.Fuji Round Trip Ticket」や「Nikko Pass」など、各観光エリア内で対象交通機関が乗り放題になるパスもあります。
こういった乗り放題パスが利用できれば、都度切符購入や運賃支払をする手間が省け、旅行中の不安要素を取り除くことに繋がります。
バス情報のデータ化・利便性向上によるインバウンド観光の発展に期待
訪日外国人観光客のバス利用が進むことでバス会社の利益増加にダイレクトに繋がることはもちろん、目的地となる観光スポット・飲食店・ショッピングスポット・宿泊施設などあらゆる場所の集客・売上拡大に繋がることが期待できます。
そのためには、バス情報のデータが検索表示されるよう地図・経路検索サービス提供企業と連携し、訪日外国人観光客が情報を得やすい環境を整える必要があります。
さらに、実際にバスを利用する場面で困らないよう、乗り方・運賃の支払い方法などをインターネットで開示したり、車内に掲示するなどの対策も合わせて実施することで、訪日外国人観光客の利便性向上に大きく貢献できるでしょう。
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