インバウンド中国市場の白タク問題:専用アプリ「皇包車」摘発困難の理由とは?

公開日:2019年10月01日

訪日外国人観光客の増加に伴い、近年はインバウンドが利用する「白タク」問題が明らかになってきました。

特に日本在住の中国人が訪日中国人観光客を乗せる白タクが増加しており、今後は配車アプリによる解決も1つの手段として期待されています。今回は、インバウンドの白タク問題について、訪日中国人観光客のケースに着目し、現在の課題と今後求められる対策について紹介します。


白タクとは

白タクとは、営業許可を受けずに営業するタクシーのことを指します。通常の国からの営業許可を得て営業しているタクシーは、緑色のナンバーを付けているのが特徴ですが、白タクは営業許可を受けず、白色のナンバーをつけて個人が運転しているため、白タクと呼ばれるようになりました。

日本においてタクシー業を営むためには国からの許可が必要なため、営業許可を受けずに行う白タクは違法行為となります。

現在日本では、在日中国人が訪日中国人観光客を乗せる白タク行為が横行しており、警察も取り締まりに乗り出しています。

訪日中国人観光客はタクシーに乗りたがる?

まず中国では、地下鉄やバスといった公共交通機関ではなく、車での通勤が普通であるなど、日常的に移動手段として車を使用する傾向があります。中国の都市部ではひどい交通渋滞が発生している一方で、中国人が車移動にこだわる理由の1つとして、中国では地下鉄は汚くてうるさいといったマイナスのイメージを持っていることが挙げられます。

また、車を持ち車移動をすることで、人並みの経済力を持ち中流以上であることのメンツを保ちたいといった考え方の人もいるとのことです。こうした背景から、とりわけ中流階級以上の訪日中国人観光客は、日本での旅行中もタクシー移動を好む傾向があると考えられるでしょう。

現地在住の中国人が白タク業務を提供「皇包車」アプリ

旅先でタクシー移動をしたいと考える一方で、言葉の面や確実につかまえられるかなど、海外での利用には困難も付きまといます。

こうした問題を解消できるサービスが「皇包車」です。スマホアプリからも利用できるこのサービスでは、海外旅行先で現地在住の中国人が運転する車を手配することができ、乗車した分の利用料金を支払います。

こうしたサービスは日本では白タク業務として違法となりますが、利用客は基本的に「皇包車」アプリ内で支払いを完結しており、金銭の授受があるのかどうかを簡単には確認できません。警察が取り締まるにしても、「知人を無償で送っているだけ」と説明されてしまえばそれ以上追求することは困難です。

▲旅先の地域に住む中国人による送迎サービスを提供するアプリ「皇包車」アプリインストール画面
▲旅先の地域に住む中国人による送迎サービスを提供するアプリ「皇包車」アプリインストール画面

白タク合法化の兆しも?

警察が白タクの摘発に乗り出す一方で、世界的にライドシェアサービスが拡大していることなどを受け、今年に入り「自家用車を用いた有償での旅客運送は、現在の制度を利用しやすくするための見直しが必要」といった声も上がっています。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えて、有償運送業務ができる制度の拡大が見込まれるほか、過疎地域では規制が緩和される可能性もあります。

インバウンド誘客を促進するに当たって、国や地域ごとの文化的背景や習慣を理解し、訪日客のニーズに合ったサービスを提供することが求められます。現在は白タクが違法行為であるため社会問題となっていますが、今後は訪日客のニーズをふまえて規制の緩和や合法化の兆しが見えてくる可能性もあるでしょう。

正規タクシーも中国大手配車アプリ「滴滴出行」と提携、需要取り込みなるか

配車アプリで違法の白タクを利用する訪日中国人観光客の急増を受け、正規タクシーも配車アプリで対抗する動きが見られます。

中国最大手の配車アプリ「滴滴出行は、ソフトバンクと提携し日本でもサービスを開始しました。両社は2018年6月末に合弁会社としてDiDiモビリティジャパン株式会社を設立し、2018年9月には第一交通との提携を開始、大阪でサービス提供を開始しています。その後2019年4月には東京(23区と武蔵野市、三鷹市)と成田空港、京都でも提供を開始したと発表されました。すでに、北海道、兵庫、福岡を含む12都道府県にサービスを拡大しており、今後は2019年中に20エリアでのサービスを開始する予定です。

DiDiモビリティジャパンは、ユーザーがアプリで出発地と目的地を入力することで、タクシーが配車されるサービスを提供します。訪日中国人観光客が中国で使い慣れている「滴滴出行」のアプリを利用して、日本でも自国と同じ感覚で気軽にタクシーが手配できる点が特徴です。

決済もAlipayWeChatPay、クレジットカードなどを通しアプリ上で完結するため、訪日中国人観光客による利用拡大が期待されるでしょう。

ドライバー側はAndroidタブレットに搭載のアプリを使用し、配車依頼を受ける仕組みです。需要予測ヒートマップ機能は2019年中に利用可能になり、効率よく乗客を探すことができるようになります。そのほか、売上の管理に訪日外国人観光客向けの翻訳機など、さまざまなツールをタブレットで利用できるメリットがあります。

今後は白タク需要に対抗し、中国最大手の配車アプリ「滴滴出行」を活用した、インバウンドの正規タクシーの利用促進が期待されます。

中国でUber超えの配車アプリ「滴滴出行」とは?ソフトバンクと提携で日本進出、インバウンド影響は

中国ではライドシェア、配車サービスを提供するアプリ「滴滴出行」(Didi Chuxing/ディディチューシン)が広く普及しています。一方日本ではタクシー業界の抵抗もあり、ライドシェアはまだ法律に抵触するため展開が難しい状況です。中国人含めインバウンド旅行客に人気の京都ですが、2017年のインバウンド旅行客のタクシー利用は数パーセントにとどまっており、路線バスの混雑緩和が課題ともなっています。日本では複数の配車アプリが独自のサービスを展開しており、利便性は高まりつつあるもののインバウンド旅行...


<参照>

・交通事故弁護士ナビ:白タクとは|禁じている法律と解禁のメリット・デメリット

・日本経済新聞:訪日中国人向け「白タク」横行 摘発なぜ難しい

・livedoor NEWS:取り締まり不可能?非合法な白タクが増加の一途をたどる理由

・東洋経済ONLINE:中国人観光客が「白タク」に乗りたがる理由

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!