中国には政府によるネット検閲が存在し、検索できないワード(例:「天安門事件」や「くまのプーさん」など)があり、国内でのネット利用には制限がかかっています。
中国では世界中で当たり前に利用されているGoogleやFacebook、YouTubeなどにはアクセスできません。
海外の情報を遮断する体制は、異民族の侵入を防ぐ万里の長城になぞらえてグレート・ファイヤーウォールと呼ばれています。こうした環境は、中国IT企業による検索エンジンやSNS事業の発展を助けてきました。
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中国のネット検閲、検閲ワードとは?
中国国内のインターネット回線を利用したウェブサイトへのアクセスや特定のワードは、中国政府による検閲の対象です。ただし、中国の特別行政区である香港やマカオには適用されていません。
この検閲対象は、中国国内のみならず海外サイトも同様です。他国のサイトで不都合な情報が見つかれば、そのサイトに中国国内からアクセスすることはできなくなります。
ウェブサイトだけでなく、SNSや個人チャットも検閲対象であるため、政府に対して不都合な発言をこうしたサービス上で発信した場合、そのアカウントが凍結されることもあります。
狙いは中国国産産業の保護&政権の安定
中国政府によるこのネット検閲の目的は、インターネット上でユーザーが閲覧可能な情報を操作し、政府や共産党の批判を抑圧、一党独裁体制を保つためこと言われています。大衆の社会的つながりを断ち、集団行動を誘発しそうな情報の拡散起きないようにしている見方もあります。
またこうしたアクセス制限は、中国産のインターネット産業の発展を促してきました。検索エンジンGoogleは百度、FacebookやTwitterなどのSNSはWechatやWeibo等、そして動画配信サイトYouTubeはYoukuのように、中国独自のサービスが誕生、普及しています。
「天安門事件」は検索できない
中国国内で具体的なキーワードには、過去の反政府事件(天安門事件関連)や劉暁波(民主化運動を進めた人物)などがあります。数字であっても、当該事項を連想させるようなもの、例えば8964(天安門事件の日付)も検索できません。
検閲を逃れるために、隠語を用いるような動きもこれまでにはありましたが、こうした隠語も大衆の共同認識があって初めて成立するものであり、結果として新たなNGワードになるという事態も珍しくありません。
例えばディズニーキャラクターの「くまのプーさん」は、中国では国家主席の習近平氏の外貌をなぞらえたものですが、これは国家主席に対する冒とくであるとして、インターネット上では禁止用語となっています。国家指導者をからかう内容は中国では許されません。
1989年の天安門事件は、中国では徹底的に隠されています。毎年、事件のあった6月4日付近になると、事件を連想する単語や表現を徹底的にブロックしようと検閲が強化されます。数年間「今日」という単語すら禁止用語になったとも言われています。
中国のネット検閲はSNS上の「スクショ」「送金金額」も対象に
検閲の対象になるのは、テキストばかりではありません。例えばSNSで、文字の入ったスクリーンショットや、送金金額を通じて意味の伝達を試みていると判断されれば、こうしたデータは送信できません。
スクリーンショットや写真などに文字が含まれる場合、送信までに時間がかかったり、表示されなかったりするのは中国では日常茶飯事です。
また、中国ではWeChatやAlipayを利用した個人間の送金は日常的に行われていますが、こうした機能を利用して89.64元や64.89元などの金額は送金できません。天安門事件を想起させる8964の数字が含まれているためです。
こうしたセンシティブなキーワードの含まれる情報は送信の失敗が通知されると言いますが、SNSが使えなくなる可能性もあります。
中国の特殊な環境を理解したプロモーションを
中国市場を見据えたインバウンドプロモーションにおいて、このような中国の検閲システムを把握した上での情報発信が大切です。インバウンド対策として、単に中国語に翻訳したサイトやSNSも存在しますが、こうした手法ではターゲット層に情報が届かない可能性があります。
中国国内では、中国発のSNSが広く利用されています。中国人向けプロモーションでは、発信ツールや発信コンテンツに十分配慮してアプローチするべきでしょう。
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