先日のニューヨークの国連本部で行われた気候行動サミットのグレタ・トゥンベリさんの演説が記憶に新しい人も多いのではないでしょうか。
スウェーデンで環境活動家として活動する16歳の彼女が注目を集めていますが、環境先進国スウェーデンでは移動に飛行機は使わないという意味の合言葉「飛ぶことは恥だ Flugskam」が流行語に選ばれるほど、環境についての関心が高まっています。
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ヨーロッパで流行する「フライトシェイム」
スウェーデンで流行語になった「飛ぶことは恥だ Flugskam」=フライトシェイムは、現在、広くヨーロッパにも広がり始めています。グレタ・トゥンベリさんの演説
グレタ・トゥンベリさんは、2018年8月に地球温暖化に抗議して学校ストライキをお越しました。その彼女の主張に賛同する人はヨーロッパ中に広がり、彼女は、2019年1月のダボス会議、さらに、9月に行われた気候行動サミットで演説を行いました。「大人たちが、若者の未来を奪った」と強い口調で訴えるその姿は、世界中で話題となりました。
ヨーロッパの若者の傾向
グレタさんの影響もあり、ヨーロッパの若者の間では、環境に対する意識が高まっています。スウェーデンでは、2019年4月の空港利用者数が前年同月に比べ8%減少しました。今年5月にスウェーデンの鉄道会社が実施したアンケートでも、環境を考慮し、航空利用をやめて鉄道を利用したという意見が全回答者の37%にも上りました。
飛行機が環境に及ぼす影響と現実
飛行機を辞めて鉄道で移動するといっても、いったいどれほどの効果があるのか疑問に思う方も多いと思います。飛行機での移動はいったいどれほどの温室効果ガスを生み出すのでしょうか。飛行機を利用した際の二酸化炭素排出量
旅行ジャーナリストのManchan Magan氏は、航空機が1km移動するのに排出する二酸化炭素の乗客一人あたりの量は、鉄道で同じように1km移動する際の20倍排出するとしています。航空業界が排出する二酸化炭素量は、毎年約9億トン。全世界の二酸化炭素排出量のほぼ3%を占めており、今後もその割合が増えていくだろうと考えられています。
欧州各国の対応
このような状況に伴い、オランダ航空は、地元のオランダ鉄道および高速列車のタリスと連携し、航空便を鉄道便に置き換えるという発表をしました。今後もヨーロッパ各国で、このような流れが増えていくと予想されます。特に若者の中で、SNSなどによる拡散が注目され、意識調査でも温室効果ガスの排出を抑える移動方法を検討したい層は増えています。
しかし、実際に数値として効果が見えるのはまだ先のようです。ドイツでは環境保護関係者が航空機から鉄道へ乗り換えるなどしていますが、同時に航空機利用者の数は年々増え続けています。
環境を考えた観光とは
フライトシェイム現象を日本のインバウンド市場への影響という観点から考えてみると、日本は島国なので「航空機の利用を制限する」ことに限界があるようにも感じられます。ただし、日本には世界に誇る鉄道網があり、これを活かしたインバウンドへの訴求は有効と考えられます。
飛行機を使わない旅行、鉄道旅の魅力
飛行機を使わないで旅行をするとなると、車か鉄道という選択肢があります。車も飛行機よりは二酸化炭素排出量が少ないとはいえ、電気自動車でない限り温室効果ガスが発生します。一方で、鉄道での旅行であれば環境にやさしい移動としてとらえられます。特に日本は、鉄道でカバーされている範囲がとても広く、鉄道だけで行ける魅力的な街がたくさんあります。
新幹線など特急はもちろんですが、1日乗り放題パスやJRの青春18きっぷなど、使い方によっては安く楽しい旅をできる商品も十全です。途中下車をしながら、駅弁を楽しんだり、車窓から見える季節の風景を楽しんだりしながら、ゆっくりと鉄道旅を楽しむことの魅力を伝えていくことが重要になってくるでしょう。
環境になるべく負荷をかけない旅をアピール
完全に飛行機に乗らない、二酸化炭素を排出しないというのは、日常生活や旅行では現実的ではありません。ただし、日常生活でも旅先でも、環境保護を念頭に置いた取り組みはいくらでも可能です。使い捨てのペットボトルやプラスチック容器は使わず、再利用できる水筒やお弁当を利用するよう心がけたり、マイ箸を持ち歩くといったことがこれに含まれます。
旅行中にこうした行動が実行できるよう、環境負荷の低い旅程を組めることを訴求することも、今後のインバウンド市場拡大には有効となってくるはずです。
日本は「もったいない」という文化が昔からあり、そういった古くからの日本らしい「丁寧な暮らし」がこれからのインバウンドで注目されるコンテンツとすることができそうです。
環境目線で考える観光にもたくさんの魅力が詰まっている
飛行機が排出する二酸化炭素やプラスチックなどのごみ問題は、長らく言われてきたことですが、最近はさらに広く伝えられるようになってきました。効率的な旅は快適ですが、環境負荷を下げ手間がかかる中でこそ手に入る旅行もあるはずです。また環境に配慮した行程だからこそ旅行したいと考える人も今後は増えていくことも考えられます。「丁寧な暮らし」の信念に寄りそうことのできる旅行が、今後新たなインバウンド市場を開拓してくでしょう。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
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2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
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