ツーリズムとは | 観光や旅行との違い・見聞にとどまらない体験や交流・10のニューツーリズム・オーバーツーリズムについても解説

公開日:2019年10月28日

世界最大級の旅イベント「ツーリズムEXPOジャパン2019 大阪・関西」が、10月24日から27日までの4日間で開催されました。

インバウンド観光客の増加に伴い、観光業界が盛り上がりを見せる近年、旅行の新たな価値を見出すツーリズムが注目されています。 中でもニューツーリズムと呼ばれる人的、文化的交流や体験型コンテンツをテーマとしたツーリズムは訪日客から人気を集めています。 

この記事では、ツーリズムの概要、さまざまなツーリズムについて解説します。 


ツーリズムとは?「観光」との違いは?

ツーリズムとは旅行業や観光事業と訳されますが旅行業界ではさらに広い意味を持つ言葉として使用されており、自由な往来のもとにおける人的交流全般、または観光の促進という意味を持ちます。 

上記の定義をより簡素化すると、ツーリズムは観光を含む旅行全般や観光の促進を目指す取り組みといった意味で使用されています。 

訪日外国人に人気のニューツーリズムとは?

観光庁の定義では、ニューツーリズムは従来の見聞を中心とした観光旅行に対するアンチテーゼであり、体験や交流を中心とした旅行を指します。 

代表的なニューツーリズムには産業観光、エコツーリズム、グリーン・ツーリズム、ヘルスツーリズム、ロングステイ、文化観光などがあり、ニューツーリズムでは新たな旅行のスタイルを提案しています。 

ニューツーリズムのメリットとして新たな旅行分野の開拓、旅行に新たな付加価値を加えることによるリピーターの増加、地域の特性を活かすことによる地方創生が挙げられます。 

以下では、ニューツーリズムの内、代表的なものについて解説します。 

1. インダストリアルツーリズム

インダストツーリズム(産業観光)は歴史的・文化的な価値を持つ過去の産業や最先端の技術を持つ現代の産業をテーマとしたツーリズムです。 

観光を通して古くより人々の暮らしを支えてきた産業や未来の人々の暮らしを支えていく産業についての学びを得ることで、背景にある文化や伝統、将来的な産業発展についての理解を深めることを目的としています。 

2. エコツーリズム

エコツーリズム各地の自然や環境資源、野生の動植物をテーマとしたツーリズムです。 

ホエールウォッチングや植林活動をするツアープランなどがエコツーリズムにあたり、自然環境と触れ合うことで自然との共生、環境問題についての理解を深めることを目的としています。 

エコツーリズムはさまざまな環境問題が世界各地で発生している現代において特に重視すべきツーリズムであるといえるでしょう。 

3. グリーンツーリズム

グリーンツーリズムは農業や漁業が盛んな地域においてその地に暮らす人々との交流をテーマとしたツーリズムです。 

中には農業や漁業、加工品生産などの作業の一部を実際に体験することができるツアーもあり、第一次産業に携わる人々との交流を通した食育を目的としています。 

日常的に関わることの少ない人々との交流は新たな価値観や知見を得られる貴重な機会となるでしょう。 

4. ヘルスツーリズム

ヘルスツーリズムは都会の喧騒を離れて豊かな自然に囲まれた地での静養をテーマとしたツーリズムです。 

森林浴や温泉のリラクゼーション効果に着目したヘルスツーリズムでは心身の疲労が癒されることでしょう。 

医療的効能を重視したものからレジャー的要素を重視したものまでさまざまなツアープランがあります。 

5. ロングステイ(長期滞在型観光)

ロングステイは旅行中の長期滞在により旅行者と地場の住民たちの交流をテーマとしたツーリズムです。 

リタイア後の年配者など時間に余裕のある層をメインターゲットとしており少子高齢化が加速する現代の日本において注力すべきツーリズムの一つです。 

旅行者が長期的に滞在することにより経済効果やそれに伴う地域の活性化が期待されます。 

6. 文化観光

文化観光は歴史や伝統などの文化的側面に対する理解を深めることをテーマとしたツーリズムです。 

文化観光では、インバウンド旅行者に対しては伝統芸能や工芸など日本の伝統的な魅力を伝えることが主眼におかれます。同時に、国内旅行者に対しては、日本の歴史や伝統の魅力を再確認する機会を与えることとなり、これにより日本の文化を守っていく意識の醸成が期待されます。 

その他のツーリズム

観光庁の定義では上記の6つがニューツーリズムとして挙げられていますが、観光業界全体ではその他にもさまざまなツーリズムが提唱されています。 

以下では、その他のツーリズムの内代表的なものについて解説します。 

7. メディカルツーリズム(医療ツーリズム)

メディカルツーリズムとは高度医療や先端医療を受けるための海外渡航をテーマとしたツーリズムです。 

外国人が衛生面や技術面においてレベルの高い日本の治療を受けるため訪日するケースと日本人が国内において未だ認可されていない治療を受けるために海外渡航するケースの双方があります。 

メディカルツーリズムを促進するためには医療機関における多言語対応などのインバウンド対策が必要不可欠です。 

医療ツーリズム・メディカルツーリズムとは?インバウンドで注目の理由・メリット・国内事例

「医療ツーリズム(メディカルツーリズム)」は、簡単に説明すると医療を受けるために海外へ渡航する、渡航してくることです。近年、この医療ツーリズムはインバウンド観光の形態として注目されています。医療ツーリズム(メディカルツーリズム)は日本のインバウンド観光のみならず、中東などアジア圏からの観光客が日本を含むアジアの国に訪れる旅行動機として注目を集めています。台湾の衛生福利部がこのほど発表した統計によれば、2018年に医療ツーリズムで台湾を訪れた外国人は延べ41万4,000人と過去最高を更新しま...


メディカルツーリズムとは

メディカルツーリズムとは、医療サービスの利用を目的に海外を訪れることです。観光と医療サービスをセットにした海外旅行も含まれます。医療分野のサービスでは安心と安全が重要視されており、加えて国内の医療技術の高さから、日本のインバウンド業界では非常にポテンシャルの高い分野と目されています。特に中国では、日本の医療技術の高さ、がん発症者の生存率の高さに注目が集まっています。中国国内のある報道によれば、中国でがんを発症してから5年後の生存率は31%です。一方日本の国立がん研究センターの統計では、08...


8. サスティナブルツーリズム

サスティナブルツーリズムとは環境資源の持続可能性をテーマとしたツーリズムです。 

キャパシティを超える観光客の受け入れや観光産業の過度な促進により自然環境に悪影響を及ぼすことを危惧し、地域文化や自然環境への配慮を重視した観光を産業化していく考え方でインバウンド旅行客が増加する現代の日本において広く認知すべきツーリズムであるといえるでしょう。 

サスティナブルツーリズムの意味・定義

サスティナブルという言葉は「持続可能な」という意味です。多くは地球環境の持続可能性を指し、環境問題を論じる際に用いられてきました。最近では観光の分野でもこの「サスティナブル」という言葉が見られるようになってきました。本編ではインバウンド市場における「サスティナブル」について解説します。目次サスティナブルとは?サスティナブルツーリズムとは?サスティナブルツーリズムでは「観光資源」「居住者の生活」両方が大切サスティナブルツーリズムでできることとは?地元住民への配慮を忘れずにサスティナブルツーリ...


9. スローツーリズム

スローツーリズムとは余裕を持ったプランニングによりゆったりとマイペースに旅程を組むことをテーマとしたツーリズムです。 

スローツーリズムは旅行者の多様なニーズに応えるために生まれたツーリズムで、旅程の効率を重視する傾向にあった従来の旅行とは一線を画す新たな旅行スタイルを提唱しています。 

【事例アリ】スローツーリズムとは?インバウンド観光客の細分化するニーズ・地方創生・石川県の取り組みを紹介

現在、日本全体の人口動態を見てみると、地方では過疎・都心部では過密化が進んでいます。観光業界でもこれと同様の構図があります。東京や大阪、京都といった定番スポットには観光客が集中しており歩くのも大変な状況も出てきている一方で、地方には観光客が少なく収益化が難しくなっています。日本の観光立国や経済活性化を考える際には、どのようにして地方を活性化するかという点が課題となっています。解決策としてゆるキャラや祭りなどを活用した「町おこし」の策が講じられています。同時にインバウンド力客を対象としたアク...


10. スポーツツーリズム

スポーツツーリズムとはスポーツ観戦に伴う周辺観光をテーマとしたツーリズムです。 

スポーツツーリズムはラグビーワールドカップやオリンピックを間近に控えている日本において特に注目されており、スポーツツーリズムをどう活かすかが今後の旅行業界の課題となるでしょう。

スポーツツーリズムが注目集める理由

国内や海外への旅行が一般的になり、旅行の目的も多様化してきています。インターネットの発達により、現地製品の購入がECなどで簡単に行われるようになるにつけ、現地体験を重視する「コト消費」の流行も顕著です。こうした中で最近注目が高まっているトピックの一つが「スポーツツーリズム」です。「スポーツツーリズム」の推進は、これまで以上の旅行者の誘致や地方の活性化の可能性も秘めています。日本では、今年2019年は9月にラグビーワールドカップ、来年2020年はオリンピックが控えており、これまでにないスポー...


【番外編】オーバーツーリズム

オーバーツーリズムは上記に挙げたような観光を促進するためのツーリズムとは異なり、観光地における社会問題として扱われます。 

オーバーツーリズムとはキャパシティを超える観光客の来訪により周辺住民や環境に悪影響をもたらす現象で、具体的な例として京都市において観光客の増加により住民が市バスを利用できなくなってしまう事例などが発生しています。

オーバーツーリズムとは・観光用語集

オーバーツーリズムとは、特定の観光地において、訪問客の著しい増加等が、地域住民の生活や自然環境、景観等に対して受忍限度を超える負の影響をもたらしたり、観光客の満足度を著しく低下させるような状況。


「ツーリズム」にはさまざまな種類がある

ツーリズムは近年観光業界において多く用いられる言葉で多様な意味を持っています。 

中でもさまざまな観点からテーマや意味合いを重視した観光を促進するための取り組みという意味としてのツーリズムは頻繁に利用されます。 

さまざまな観点にフォーカスしたツーリズムによって今後の観光業界はさらに盛り上がることでしょう。 


関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!