ロングステイとは?定義・地域へのメリット・インバウンド誘致事例を紹介

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旅行についてさまざまなスタイルが誕生している中、注目されているのがロングステイです。

ロングステイ(長期滞在型休暇)は、長期間滞在することでその土地で生活するように滞在する旅のスタイルを指します。

滞在者にとっては費用を抑えられるなどのメリットがある一方で、地域にとってもリピーターが増えることや経済の活性化などのメリットがあります。

本記事ではロングステイの特徴や定義について触れながら、そのメリットやロングステイにより観光客の誘致に成功した事例について解説します。

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ロングステイとは?

ロングステイ(長期滞在型休暇)とは、その名の通り同じ場所に長期間滞在することで、その土地に住む人と同じような生活を送り、現地の文化、習慣、人にふれる旅行スタイルです。

「ロング」という名前はついているものの、滞在期間について定義づけされておらず、2週間程度の滞在でもロングステイといわれることもあります。

海外のみならず日本国内においても、ここ数年でロングステイが注目されており、地方で町おこしの一環としてロングステイに力を入れている地域もあります。

ロングステイの定義

前述の通り、具体的な滞在期間については明確に定義されていないものの、長期の滞在であることがロングステイの定義として定められています。海外においては、帰国を前提にした2週間以上の滞在を指しています。国内においては、1週間以上にわたる滞在であることを指しています。

また滞在中に居住施設を保有、賃借しているがどうかもロングステイを判断する材料となっています。ホテルを転々とするのではなく、一つの場所で腰を据えて滞在していることがロングステイの特徴です。

また滞在の目的についても定義づけされています。ビジネス目的の長期滞在ではなく、余暇を目的とした長期滞在であることがロングステイの条件のひとつです。

また、現地での生活スタイルも、毎日違う観光地に訪れる旅のようなスタイルではなく、現地の日常生活に近い生活スタイルを目指す滞在であることが、ロングステイだと判断する基準となります。

インバウンドでも注目を集めるロングステイ

ロングステイはこれまでインバウンド集客にも効果的であると注目を集めていました。

ロングステイ財団の発表によると、2018年に日本で2週間以上滞在した訪日ロングステイ人口は、153万8,540人とされています。

国別の訪日ロングステイ人口では、フランスで54.1%、イタリアで50.4%、ドイツで50.1%、オーストラリアで47.8%、イギリスで46.1%でした。

このことから上位5か国において約半分の観光客が2週間以上のロングステイをしていることが分かっています。

なお、観光庁の2019年の発表によると、観光レジャー目的のインバウンドの平均泊数は6.6泊で、インド、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、カナダ、オーストラリアといった欧米豪圏では平均泊数は10泊以上となっています。

このように、訪日外国人の間でも長期滞在型の旅行が人気を集めており、また、滞在が長期であればあるほど消費額も多くなるため、ロングステイは、地域へのメリットも大きい旅行形態といえます。

ロングステイによる地域へのメリット

ではロングステイは、具体的に地域に対しどのようなメリットをもたらすのか、下記に紹介します。

連泊してもらえる

ロングステイでは基本的に同じ場所に長期間滞在するため、長期間の宿泊予約をまとめて一度に販売できるメリットがあります。

それから、ロングステイの予約が増加すれば、宿泊者の入れ替えが少なくなるため、チェックインやチェックアウトの対応、急な予約変更の対応、忘れ物の対応といったオペレーションを削減できます。

さらに、連泊には宿泊施設のみならず、地域にとってもメリットがあります。

ロングステイの旅行者は、地域での生活体験を楽しむことを目的としているため、そこで過ごすために必要な食品や日用品といった商品を現地で調達します。

その結果、観光資源以外の商品にも需要が生まれ、地域の経済活性化につながると考えられます。

リピーターになってくれる可能性がある

ロングステイでは、その土地の観光スポットだけでなく「体験型プログラム」の需要が高まるのも特徴です。

体験プログラムは、スキーやカヌーといったアウトドア体験、酒造見学や伝統文化の勉強会といった見学・学習体験、田植えや果物狩りといた農村体験が挙げられます。

これらの体験は、宿泊以外の消費を促進するだけでなく旅行者の満足度向上にもつながります。

体験プログラムは、観光スポットを見て終わるだけの一過性の観光とは違い、体験することそのものに価値が生まれるため、体験を通して、地域への理解や興味を深め、リピーターになってくれる可能性も期待できます。

リピーターとなり何度も長期間滞在してもらえることで、連泊してもらえたり地域に消費需要が生まれたりするという好循環が生まれます。

ロングステイの代表例「ファームステイ(農泊)」

ロングステイの代表的な滞在スタイルとして「ファームステイ(農泊)」が挙げられます。

ロングステイが注目されるようになってから、農泊も同様に注目されており、需要も高くなってきています。

ファームステイ(農泊)とは?

ファームステイ(農泊)は「農山漁村滞在型旅行」の略であり、宿泊や食事だけでなく農産や漁村の地域資源を活用した体験を提供する旅のスタイルです。

ファームステイには、農家での民宿や古民家を活用した宿泊施設に泊まることで、日本の農村や漁村で伝統的な生活を体験できるという特徴があります。

観光での滞在とは違い、地域の人との交流を通してその土地の魅力を味わえるのがファームステイの魅力です。

インバウンド誘致に成功した山梨・中込農園

日本ではファームステイでインバウンドの誘致に成功している地域があります。

年間に約2,000人の外国人が滞在している、山梨県南アルプス市にある観光農園「中込農園」では、1週間から数か月滞在して無償で農作業を体験するスタイルのファームステイを提供しています。

ここでは、収穫だけでなく、栽培の段階から農作業体験として提供することで長期の滞在を促し、農業を観光資源として有効活用しているのが特徴です。

さらに中込農園は農業体験だけでなく、体験から派生して日本のものづくりや文化を学べる場として外国人に知られており、このことも中込農園がインバウンド集客に成功した要因のひとつとなっています。

ニューノーマルの旅行の形として国内でも人気に

現在、新型コロナウイルスの感染拡大によって、外国人観光客が入国できないことで観光業に大きな影響が現れています。

しかし、国内では徐々に旅行需要が戻りつつあり、さらに、新しい旅行の形として、若年層を中心に農村漁村地域への滞在需要が高まっています。

民泊事業を手掛ける「百戦錬磨」が2020年6月に実施した調査では、対象者の60%が農村漁村地域への旅行意欲があり、20代においては70%以上を占めていました。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、テレワークや「三密」回避という新しい仕事や生活の様式が浸透しつつあるなか、混雑を避けリフレッシュできるファームステイは、このような需要にマッチしているとして注目を集めています。

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大きな経済効果をもたらすロングステイ

ロングステイは、短期間の観光目的の滞在ではなく、長期間その地域の生活を体験する旅行形態です。

2018年には、欧米豪圏からの訪日外国人観光客を中心に、154万人以上の訪日外国人が2週間以上のロングステイを行っていました。

ロングステイは、連泊による宿泊施設の負担軽減や、地域の消費増加といったメリットがあります。さらに一過性の観光とは違い、体験に価値が生まれるためリピーターになってくれるというメリットも大きいです。

日本にはロングステイの一つの形であるファームステイによってインバウンドの誘致に成功している場所もあります。インバウンドの集客を目指す場合には、農業体験ができるだけでなく、日本の文化やものづくりを学べる場を提供するなど、付加価値のある体験を提供することも重要です。

また、インバウンドの足が遠のいているコロナ禍においても、新しい生活様式や需要に対応した旅のスタイルとして、ファームステイをはじめとしたロングステイが注目されています。

今後の地域の旅行需要を回復させるには、「三密」を避けてリラックス過ごせることをアピールし、長期での滞在を促進するような観光コンテンツの造成が重要となるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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