1964年以来、56年ぶりの東京開催となる2020年東京パラリンピック競技大会の開幕が近づいてきました。
自国開催でどこまで日本の選手たちが活躍できるのか、楽しみな方も多いと思います。ルールを知れば、さらに楽しめるスポーツはたくさんあります。
この記事では、2020年東京パラリンピック競技大会で注目したい競技や活躍が期待される選手についてご紹介します。
※新型コロナウイルスのパンデミックを受け、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックは1年程度の延期が決定しました。詳細な日程、選考基準などは、公式情報が発表され次第、順次更新します。
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パラリンピック開催間近!そもそもオリンピックとの違いは?
パラリンピックがオリンピックと違うのは、アスリートがすべて身体に何らかの障がいを持っているというところです。パラリンピックは障がいを持つ人のみが参加資格のある大会です。
そもそもパラリンピックは、戦争で負傷した兵士の治療と社会復帰を目的に、医師のグットマン卿の提唱によって、ロンドン郊外のストーク・マンデビル病院内で開かれたアーチェリーの競技会が始まりです。
出場者は車いす患者(英国退役軍人)に限られていました。その後、車いす使用者だけではなく、すべての身体障がい者が参加できる「国際身体障がい者スポーツ大会」へと広がっていきました。
最初は、パラリンピックの「パラ」はParaplegia(下肢麻痺者)の頭を取って名付けられていましたが、現在は、Parallel(もうひとつの)という意味で使われています。
パラリンピックとは?
パラリンピックは、障がいのあるトップアスリートが出場する世界最高峰のスポーツ競技大会です。今大会では2020年8月25日の開会式翌日から9月6日の閉幕まで、12日間にわたって開催されます。
パラリンピックには2つの特徴があります。障がいによっては、競技するうえでどうしても安全性や公平性が保てない場合があります。
そのため、必要に応じて「用具・ルールを工夫する」ことと「障がいを分けて公平に競い合う」ことが決められています。
用具やルールの工夫
パラリンピックでは、選手自身の体格や障がいに合わせ、ルールの範囲内で用具をカスタマイズすることが認められています。たとえば車いすテニスの場合、軽量化を図ったり、タイヤを大きくハの字型に傾けて方向転換がしやすいようにしています。
他にも、前や後方への転倒を防止するため、前後に補助車輪を取り付けている選手もいます。
ルール側では、通常1バウンドで返すところを2バウンド以内の返球というルールに変えて競技が行われます。
様々な障がいを公平に競う
ひとことに障がいと言っても、腕や脚、視覚など障がいのある部位や障がいの種類はさまざまです。また同じ障がいだとしても、障がいの程度は人によって異なります。
パラリンピックでは、障がいの「種類」や「程度」によってクラスを分け、公平な条件のもとで競技ができるようにしています。
他にも、車椅子バスケットボールなど、選手の障がいの程度で持ち点が決まる「ポイント制度」を採用している競技もあります。
2020パラリンピック大会は22競技実施!今までの成績は?
2020東京大会では、22競技540種目が21会場で実施され、史上最多4,400人の選手による戦いが繰り広げられます。前回のリオ大会では金メダルこそなかったものの、毎大会、多くのメダルを獲得しています。
「ボッチャ」「ゴールボール」はパラリンピックのみのスポーツ
パラリンピックのみのスポーツには、ボッチャやゴールボールがあります。
ボッチャは、赤と青のボールを白いジャックボール(目標球)にどれだけ近づけられるかを競い合う競技です。
的となるジャックボールも動くので難易度が高く、地上のカーリングとも呼ばれています。前回のリオ大会では銀メダルを獲得しています。
ゴールボールは、視覚障がい選手による団体球技です。
選手はアイシェードを装着して視界を完全に塞いで競技を行います。
攻撃をするときは鈴入りのボールを相手ゴールに投げ、守備をするときは鈴の音や床から伝わる振動を頼りにゴールを守ります。
プレー中は観客も声を出せないので、静寂の格闘技と呼ばれています。ロンドン大会では女子が金メダルを獲得しています。
2016リオはメダル24個も金は0
前回のリオ大会では、24個のメダルを獲得したものの、残念ながら金メダルは0個という結果になりました。
しかしながら銀メダル・銅メダルはその前のロンドン大会にく比べ、2倍以上獲得しました。
前回のリオ大会で4つのメダル(銀2、銅2)を手にした全盲の木村敬一選手や、銅メダルの日本車椅子ラグビーチームには、今回金メダルが期待されます。
2018年平昌では3つの金メダル
2018年平昌大会では、冬季大会では史上3番目に多い計10個のメダル(金3、銀4、銅3)を獲得し、目標としていた前回ソチ大会の6個を上回る「7個以上」を達成しました。
中でもアルペンスキーは、金1、銀2、銅2を獲得した村岡桃佳選手、4大会連続銀メダルの森井大輝選手など、アルペンスキーの強さが目立った大会となりました。
2020パラリンピック大会の注目選手3名紹介
2020東京大会での活躍が期待できる選手やチームの中から、3選手をご紹介します。
1. 岩渕幸洋選手(卓球)
卓球は、障害にあわせて一部ルールを変更していますが、使用する卓球台のサイズ、ラケット、球はオリンピックと同じです。
障害の程度によって、口でラケットをくわえたり、杖をついたりと多種多様なプレースタイルや粘り強いラリーの応酬、多様な戦略などが見どころです。
岩渕 幸洋選手は、2019年アジア選手権で男子シングルス2位、男子団体3位を獲得していて、日本代表チームで唯一、実業団チームに所属しています。
前回のリオ大会に続く出場となり、メダルが期待されます。得点した時の『ガッツポーズ』にも注目です。
2. 上地結衣選手(車いすテニス)
車いすテニスは2バウンドでの返球が認められること以外は、コートやラケット、ボールなどオリンピックとほぼ同じルールで行われます。
下肢だけでなく上肢にも障がいがあるクァードクラスでは、ラケットと手をテーピングで固定してプレイすることが認められています。
2020パラリンピック代表内定第1号の上地結衣選手は、日本の女子車椅子テニス界のエースと言える存在です。
143cmととても小柄ですが、車いす操作のスピードが卓越しています。
ダブルスのグランドスラムにおける最年少ギネス記録を持ち、2017年のシングルスで5回優勝の経験者でもあります。前回のリオ大会に続くメダルが期待されます。
3. 今井大湧選手(バドミントン)
東京大会で採用された新競技で、ラケットやシャトル、ネットの高さはオリンピックと同じです。
車いすや義足など障がいに応じたスタイルで、激しいラリーが繰り広げられます。スピード、パワー、駆け引きにも注目です。
世界ランキング3位の今井大湧選手は、2017アジアユースパラゲームズの日本選手団主将でもあり、シングルスで金メダルも獲得しています。
177センチの長身から繰り出される角度のあるスマッシュを武器に、今大会でもメダルが期待できます。
選手を知って2020パラリンピックを盛り上げよう
2020年東京パラリンピック競技大会で活躍が期待される選手を紹介してきました。
パラリンピックならではの競技ルールや選手が使用する用具などに対する理解を深めれば、パラリンピックがより身近になり新しい発見につながるでしょう。
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