2019年11月4日に岐阜県白川郷で駐車場の小屋2棟が焼き付くされる火災が発生しました。10月31日に沖縄県の首里城では「正殿」など主要な建物が全焼し、相次ぐ世界遺産の火災に、国内外で悲しみ、惜しむ声が寄せられています。
日本全国各地の世界遺産では、これらの火災を受けて「人ごとではない」と緊急会議が開かれ、各点検や防火策についての確認などが実施されています。
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首里城・白川郷、相次ぐ有名観光地での火災
10月31日に発生した沖縄県那覇市の首里城火災に続き、そのわずか5日後の11月4日には岐阜県白川郷でも小屋2棟が火事で全焼する事態となりました。
首里城の火災発生から立て続けに起きた世界遺産での火災に、現場は騒然となったそうですが、白川郷では世界文化遺産に登録されている合掌造りの家に被害はなく、けが人も出ませんでした。
ちょうど数日前に起きた首里城の火災を受け、住民も警戒意識を高めていた矢先の出来事でした。駐車場の茅葺小屋2棟全焼にとどまり大きな延焼も起こらずに済んだことが伝えられています。
白川郷の火災延焼を最小限に収められた理由として、周辺住民の素早い消火活動が消防隊の到着前よりスタートされていたためとされています。合掌造りの茅葺き屋根は、小さな火の粉であっても1軒丸ごと燃え尽くしてしまうほど火災に弱いため、住民たちは日頃から火災に備えた放水訓練を実施しています。
日本国内の反応、沖縄首里城へは4億円以上の寄付金が集まる
日本各地では沖縄県の首里城火災を受け、再建に向けた寄付を募るプロジェクトがクラウドファンディングなどを通じて立ち上げられ、驚異的なスピードで寄付金が集められています。沖縄県那覇市による再建プロジェクトには、現在4億円以上の寄付金が集まっています。
一方、再建寄付のみならず、焼失した首里城をデジタルで3D復元するプロジェクト「みんなの首里城デジタル復元プロジェクト」が東京大学の研究者らによって立ち上げられました。一般人から100万枚を目標に首里城の思い出の写真や動画の提供を求めており、あらゆる角度から撮られた素材が多いほど精密な復元ができるとしています。
全国の文化財管理者は、「決して人ごとではない」として姫路城や法隆寺などでも緊急に防災対策の見直しが実施されています。また、先月31日には京都の世界遺産、二条城にて、消防局や文化庁、神社・寺の担当者およそ40名が集まり、防火対策についての緊急会議が開かれました。
海外での報道
ここからは海外の首里城と白川郷の火災を海外メディアなどでどのように取りあげたのかご紹介します。
【海外の反応】首里城の火災
首里城の火災について、世界中のメディアが大きく報じてられ、一部メディアではクラウドファンディングの首里城再建プロジェクトについても言及され、世界各国からも寄付が集められています。ネット上では、「人類にとって貴重な世界遺産の損失」「昨年私も訪れた場所で、非常に残念」「1日でも早い再建を願う」といった惜しむ声があがっています。
また、台湾の蔡英文総統が自身のツイッターに「多くの台湾人が同じように心を痛めている」と日本語でメッセージを寄せ、話題となっています。
Twitter:首里城の火災に関する英語の投稿(https://twitter.com/kblincoln/status/1189719553481293825)
Twitter:台湾の蔡英文総統の投稿(https://twitter.com/iingwen/status/1189743515447652354)
ツイッターでは、日本国内の反応で記述した「みんなの首里城デジタル復元プロジェクト」についての呼びかけが数多く見受けられます。過去の旅行で首里城に行った人はいないかどうかを尋ね、持っている写真はぜひ提供するようにと呼びかけるツイートも拡散されています。
Twitter:首里城の火災に関する英語の投稿(https://twitter.com/isabelreu/status/1192478513347080193)
【海外の反応】白川郷の火災
大事な被害にならずに済んだ白川郷については、そこまで大きな反応はなさそうです。「被害拡大の前に消されたようだ」といった火災発生に言及する声はあるものの、首里城火災と比較して少ない印象です。
Twitter:白川郷の火災に関する英語の投稿(https://twitter.com/Kamakura_By_Sea/status/1192198314818600960)
観光地からの情報発信は?
今月1日、沖縄県内の観光関連の団体や企業でつくる「沖縄ツーリズム産業団体協議会」により緊急会合が開かれ、これからピークとなる修学旅行への対応や、インバウンド向け情報発信を強化することを確認しました。国内外に他の文化遺産を積極的にアピールしたり、首里城の代替地での観光客受け入れ体制を強化したりなどの対策があげられています。
特にインバウンド向けの情報発信には、SNSを通して多言語発信や首里地区のすべてが焼失したのでないことなど正確な状況を伝える方向で動いています。
インバウンド客には、誤報が拡散される前にしっかりと正確な情報を届けていくことが重要と言えるでしょう。まとめ
首里城の火災に国内外から、早期再建への願いを込めたプロジェクトが活発化しています。世界遺産を管理する側は、関連施設などでの火災・防災体制の再確認を実施していますが、世界遺産に限らずその他の観光施設でも、万が一に備えた準備をしておくべきでしょう。
万が一の際に、どのような手順で対応していけば良いのかを事前に整理し、確認しておくことが大切ということが、白川郷の例からも見えてきます。
首里城の火災については、一部の海外メディアで「もう二度と訪れられない観光地トップ10」のような形で紹介されているものも見られました。周辺には魅力的な観光資源もあるのにもかかわらず、こうした情報をもとに首里城周辺には観光地としての価値がもうないという誤解を抱く外国人もいたかもしれません。
正しい情報の発信が遅れれば遅れるほど、誤った情報や意図しない方向で情報が拡散されてしまう可能性があります。インバウンド向けの情報発信では、正確な情報を迅速に届けることを心がけるべきでしょう。
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