2019年11月8日から公開が始まった『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』は、SNSなどでじわじわと話題を集めました。
中国でもすみっコぐらしは大変人気で、ファンから映画への注目が集まっています。大人にも受けるその魅力は、日本のサブカルが大人気の中国でも通用するようです。
映画の人気と中国での反応を探りました。
【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】
子供向けキャラクター「すみっコぐらし」7周年
すみっコぐらしは、「リラックマ」や「たれぱんだ」で知られるサンエックスのキャラクターです。2012年にデビューし、今年で誕生7周年となります。
メインキャラクターは5匹の丸い生き物で、パステルカラーの体をしています。自分に自信がなかったり、コンプレックスがあったり、隠し事があるといった影の面をもちあわせているのが特徴です。
メインキャラクター以外にも細かいキャラクター設定のサブキャラクターが存在します。シーズンごとに新しいテーマで展開されるグッズには、異なる性格の生き物が互いに関心を持ちながら生活するさまが読み取れるデザインも多くなっています。単なる表面上の可愛さにとどまらない魅力に、長きにわたりファンとなる場合が少なくないようです。
映画「すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」の魅力は?
封切りされた当日、都内劇場では大人のための上映回と銘打って19時台の上映も予定されていました。キャラクターも来場するイベントも兼ねたこの回は、そうそうにチケットが売り切れており、子供だけではなく幅広い年代に愛される作品であることがうかがえます。
その後の集客も好調で、翌日の11月9日、10日の週末にかけて国内映画ランキングで動員数、興行成績ともに邦画1位を獲得しました。洋画も含めた動員数ランキングでは「ジョーカー」を上回る3位にランクインしたことも報じられています。
13日には男性限定の上映イベントも開催されています。日本の伝統的価値観では、男性はこれまで「強さ」を求められがちでした。すみっコぐらしのような優しい雰囲気をまとった作品を好む男性は、以前ならば「男性らしくない」というレッテルを貼られていたことでしょう。こうした男性に対し、世間の目を振り切ることではなく、人の目を気にしながらでも打ち解けられる相手を大切にすることを訴えているようなこの企画は、キャラクターの世界観を現実に呼び込んだ画期的な取り組みともいえるでしょう。

Twitter:「すみっコぐらし」男性限定上演イベントに関する投稿(https://twitter.com/ryu19_sfc/status/1194595214893056000)
映画化に際しては「その世界観が損なわれるのではないか」と懸念するファンもいたかもしれません。こうしたファンの不安をあっさりと吹き飛ばす完成度の高さも、今回の映画作品の高い評価につながっています。
作品は作者のよこみぞゆりさんの「キャラクターに声はつけたくない」というこだわりと、物語の自然な展開を両立するコンテンツとなっており、思いやりにあふれたキャラクターの世界観をそっくりそのまま映像化することに成功しています。
中国にも「すみっコぐらし」の魅力が伝わる
日本のキャラクターは古くから中国にもファンを作ってきました。すみっコぐらしも例外ではありません。
すでにWeiboにはすみっコぐらしの情報を配信するアカウントが非公式ですが存在しており、こうした発信に反応するファンは少なくありません。
![▲[すみっコぐらしの情報を配信するWeiboアカウント/非公式]:筆者キャプチャ ▲[すみっコぐらしの情報を配信するWeiboアカウント/非公式]:筆者キャプチャ](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/5147/main_cdca6cd627a697577274a4e84405aabe.png?auto=format)
こちらのアカウントでは「Twitter情報を転載する」としており、公式アカウントであるかどうかは明言されていません。
フォロワー数は1万を超えた程度で、Weiboのアカウントの中ではまだまだ成長途中と分類されそうですが、一日に1万ビュー以上を稼いでいること、また関連したコメントも活発につけられていることなどから、今後も関連情報の集約地となり、キャラクターのファンとの重要なコミュニケーションチャンネルとなることが考えられます。
またハッシュタグによりファンが最新情報や口コミをチェックしやすくなっています。
映画公開にファンは「中国では上映しないよね」がっかり
映画公開の情報には「本当に観たい、すごく観たい」「中国ではやらないよね‥」「映画チケットの前に飛行機のチケットが必要」「観たい(泣き顔)」といったコメントがついており、すぐに鑑賞できない悔しさが読みとれます。
![▲[映画公開の情報に寄せられたコメント]:筆者キャプチャ ▲[映画公開の情報に寄せられたコメント]:筆者キャプチャ](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/5150/main_9a77a650d738b1a4db13bb73167a0621.png?auto=format)
![▲[映画公開の情報に寄せられたコメント]:筆者キャプチャ ▲[映画公開の情報に寄せられたコメント]:筆者キャプチャ](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/5148/main_e58a8215b48ddaa11ddee71988d1300e.png?auto=format)
サンエックスはWeChat公式アカウントも開設
すみっコぐらしを展開するサンエックスでは、WeChat公式アカウントを開設しています。
![▲[すみっコぐらしを展開するサンエックスではWeChat公式アカウントを運用している]:公式サイトより ▲[すみっコぐらしを展開するサンエックスではWeChat公式アカウントを運用している]:公式サイトより](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/5146/main_2ebe267bb5890106e704b72cd78e045c.png?auto=format)
公式サイトでは日本語、英語、中国語を併記して公式アカウントの案内をしています。一見すると日本の公式サイトでの案内は不親切なようにも感じられますが、日本関連の商品のファンの中国人は、日本に住む中国人の友人や親族に情報を持っていないか呼びかけることも少なくないため、こうしたアプローチも間違いとは言えないでしょう。
実はWeChat公式アカウントは、Weiboと異なりフォロワー数が見えません。外から見ただけではどの程度のファンがこのアカウントの情報をキャッチできているかは判然としませんが、更新頻度にはサンエックスが本気で中国展開を検討していることがうかがえます。
中国では経済発展にともない、休日を返上してまで仕事に取り組むような人も少なくありません。日々の緊張を解きほぐしてくれるようなモチーフや人物を形容する「治癒系」という言葉もこの数年存在感を増しています。
こうした社会の中、かわいいだけでない、人間らしさすら感じる緻密な性格設定を背景にキャラクター同士の人物関係を描く「すみっコぐらし」が、癒しとともに中国人の心をさらっていくのかもしれません。
<参照>
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1218077.html
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!