「中国の若者」に横たわる世代間ギャップ:80後(バーリンホウ)90後(ジウリンホウ)95後・00後を解説

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インバウンド市場でも観光客の目的や国籍の多様化が進んでいますが、それでもなお、地理的要因やこれまでの文化交流を理由に、中国市場は重要な市場と言えます。

今回は、中国の年代別のライフスタイルや消費傾向について、中国の世代区分「80後(バーリンホウ)」「90後(ジウリンホウ)」「95後」「00後」それぞれを解説します。



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人口ピラミッドを中国と日本で比較、中国では多数派のアラサーたち

まずは中国と日本の人口ピラミッドを比較してみましょう。まずは中国の人口ピラミッド(2019年)です。

赤で囲った部分がおおよそ80年代生まれ、青が90年代生まれ、緑が00年代生まれとなります。

▲2019年中国の人口ピラミッド。囲みはおおよそ80後、90後、00後を表す:世界の人口ピラミッド
▲2019年中国の人口ピラミッド。囲みはおおよそ80後、90後、00後を表す:世界の人口ピラミッド


同じく2019年の日本の人口ピラミッドを見てみると、赤で囲った部分がおおよそ80年代~00年代生まれとなります。

▲2019年日本の人口ピラミッド :世界の人口ピラミッド
▲2019年日本の人口ピラミッド :世界の人口ピラミッド

日本の場合は10~39歳を積み上げても男性で15.5%、女性で14.7%です。一方中国は、それぞれ21.4%、19.3%と日本よりも多くなっています。

特に中国の30~34歳は、全世代の中で最も多い割合を占める層でもあります(中国の女性では45~49歳も同率で全世代のうち最も高い割合。)一方日本は男女ともに45~49歳の構成比が最も高くなっています(日本の女性では70~74歳も同率で全世代のうち最も高い割合。)社会の多数派が違うという点は、その社会で売れる商品の動向にも小さくない影響を与えているでしょう。

80後~娯楽小説・ゲーム・日本アニメを楽しみ、家庭のコストに悩む~

80後(バーリンホウ)は80年から89年生まれの世代を差し、アメリカでは「Y世代」と呼ばれる世代と重なります。2019年現在、30歳~39歳の人々であり、アラサー後半~アラフォー前半に当たります。

中国の「一人っ子政策」の時代に生まれた人たちであり、改革開放の政策のもと「個人化」の進んだ世代ととらえられ、この点で後述する90後(ジウリンホウ)と同様の性質を持つととらえられることも多くあります。

中国産の武侠小説である「金庸」に親しみつつ、大学時代にW杯とハリーポッターに夢中になった人も少なくありません。上の世代と異なり、ハーゲンダッツとクレジットカードが身近です。幼少時に日本アニメのドラえもん、聖闘士星矢、北斗の拳、キャプテン翼、スラムダンクを視聴していたのもこの層です。

親戚の中では彼らの上の代よりも良い学歴を修めている場合も多いですが、就職率の低さと住居の購入が主な悩み事で、物価の上昇に昇給が追い付かず、気をつけても月給をすぐに使い切ってしまう場合もあったようです。

現在の中国では30歳で結婚することも珍しくなく、年々晩婚化の傾向は強まり、子供を持つ時期も遅くなっています。結婚して家のローンを支払うこと、子育てのためにお金を稼ぐことへの抵抗感がその理由の一つとなっているそうです。ただし親戚からの期待もあり、その理想を貫くことのプレッシャーも小さくはないと考えられます。

80後の中では、80年代後半生まれは前半生れよりも金銭的に余裕があるものの、消費に積極的とも言われています。また2009年ごろの食品偽造や食品への有害物混入事件を強く記憶していることもあり、食品化粧品、薬品といった商品の購入に際しより慎重な見方をするとも言われています。

中国であこがれる人の多いバスケットボール選手のヤオミンやモデルのアンジェラベイビーはこの世代です。

90後~グローバル時代を生き抜く、個性的に生きたい楽観的なデジタルネイティブ~

90後(ジウリンホウ)は90年から99年生まれの世代を差します。2019年現在、20歳~29歳の人々となります。彼らが育った時代は、中国ではまさに改革開放政策が成果を上げ始めていた頃にあたります。

インターネットの発展とともに成長した世代でいわゆるデジタルネイティブであり、こういった生育環境から自由な思考と未来への楽観的な観点を持つ人が多いと考えられています。

90年代も中国政府による「一人っ子政策」は続き、彼らも80後と同じく一人っ子である場合が大半です。「近頃の若者は…」という言説にさらされることも多いこの年代ですが、同じ一人っ子の世代といってもその思考は80後やそれ以前の中国人とは大きく異なります。上述したような前向きな姿勢はこれまでの中国人と異なるものとして評価されています。

上の世代と比べ、親戚づきあいに淡白な一面があります。一人っ子であり人付き合いそのものにあまり固執しない傾向もあります。グローバル化の進む社会で育っており、これまでの中国人とは異なる価値観や審美基準を身に着けています。特に世界的な経済競争といった環境を育ちながら理解してきたため、こういった困難を冷静に受け止め立ち向かう傾向にあると言われています。

欠点として指摘されるのはストレス耐性のなさ、集中力の弱さ、他人との共同作業が不得手といったところです。上の世代と比べ比較的落ち着いた生活を享受できたため、恋愛における打たれ弱さを指摘する声もあります。

娯楽の産業化を担う

90後は中社会が多様化していくのを担う存在であり、ファッションや生活スタイル、価値観の多様化を体現している人も多いのが特徴です。「90後」とひとくくりにされることに対する抵抗感を表明したブログなどもみつけることができますが、他人から理解されたい孤独感を抱いているとも言われます。

ライブ配信やショートムービーのような「娯楽」が産業化してくのを担ったのもこの年代で、彼らにとって娯楽は消費するだけではなく自分自身が表現者として参加するものです。インターネットサービスを利用し有名人となり、広告収入や視聴者の投げ銭でお金をかせぐKOLという存在も、彼らにとっては当たり前に職業の一つです。

80後同様、生活には初期からアニメが存在していました。幼いころに楽しんだ作品は一部80後とも共通していますが、ミッキーや一休さん、ガンダム、スラムダンクなどです。

ネット通販が非常に好きな年代でもあり、自分の好み、価格、友人のおすすめ、口コミを参考にしており、自分の感性を大切にする層だと言えます。また公益活動に対する関心がほかの世代よりも高いとも言われています。

フィギュアスケーターの羽生結弦選手をほうふつとさせる俳優の鹿晗(ルー・ハン)、バレーボール選手の朱婷や、リオ五輪に出場しアジア記録を打ち立てた寧澤涛が90後の世代にあたります。

95後と00後~中国ブランドを愛し、愛情に不自由しないスマホ族~

90後のうち、後半に生まれた世代を95後と区切って表現することがあります。2019年現在20歳~24歳の人々がこれに含まれます。また00後(リンリンホウ)は2000年から2009年生まれの世代を差します。2019年現在、10歳~19歳の人々となります。70後(チーリンホウ、70年代生まれ)と80後が親である場合が多く、やはり通常は一人っ子です。

95後と00後では育った環境が比較的類似しており、共通の話題や好みがあると考えられています。00後は90後全体と比べてさらに大きく外来文化の影響を受けており、多元的なアイデンティティや創造力が特徴です。

00後はわがまま?背景に両親の忙しさとネット利用

00後の生活水準はこれまでのどの時代の中国よりも良いものになったととらえられています。ですが、4人の祖父母と両親がそろって彼ら一人っ子の面倒を見るケースが多く、わがままな性格に拍車をかけると懸念する声もあります。

また同様に問題視されているのが00後のインターネット利用です。両親の仕事の忙しさは00後のインターネット利用への管理を甘くさせ、結果として00後のリアルな他者との交流の機会は減少し、彼らは承認欲求をネット上で満たすようになった面があると指摘する声もあります。

消費傾向としては、90後のように自分自身が好きかどうかという一点が非常に重要です。また00後を対象としたアンケートでは、同じ価格の商品ならば中国ブランドの商品を選ぶという回答が最も多くなりました。

まとめ

世界における巨大なマーケット中国で、圧倒的な存在感を見せる80後以後の若者たちの生育環境や思考の特徴、消費傾向を紹介しました。訪日中国人をターゲットとした商品の訴求には、ターゲットとなる年代の設定と、その特性を理解することが重要です。

それぞれ世代の人々についてさらにもう一歩具体的なイメージを描くことができれば、中国市場における自社商品の存在感をもう一つ上の段階に引き上げることができるかもしれません。


<参照>

世界の人口ピラミッド:中華人民共和国2019

世界の人口ピラミッド:日本2019

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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