訪日外国人客数の増加に伴い注目の集まるインバウンド市場ですが、中でも将来性が期待されているのが訪日インドネシア人観光客です。 インドネシアの人口はアメリカに次ぐ世界第4位で、高齢者の人口比率も高くありません。今後も経済成長が期待されています。
2016年のデータによれば2012年以降、5年連続でインドネシアからの訪日客数は増加しており、それに伴ってインバウンド消費額も右肩上がりの成長を見せています。
この記事では、インドネシア人の特徴や国民性、インドネシアにおけるマナーやタブー、インドネシア人向けインバウンド対策について解説します。
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インドネシア人の国民性
インドネシア人は、社交性が高く、話好きな傾向があります。
また、明るくユーモラスな人が多いため、会話が弾むことも多いと思われます。
以下では、インドネシアでよく使用される言葉からインドネシア人の特徴、国民性について解説します。
Tidak apa apa(なんくるないさ)
インドネシアでは、”Tidak apa apa”という言葉がよく使われます。
和訳すると「大丈夫」や「気にすることないよ」となり、ニュアンスとしては有名な沖縄の方言である「なんくるないさ」と近い意味合いを持っています。
インドネシアでは、小さな悩みや不安を抱えずに前向きにいこうという姿勢が大切であると考えられており、あまりものごとを深く考えない人が多いようです。
そのため、些細なことは気にせず、悠長に構えているインドネシア人が少なくありません。
jam karet(ゴム時間)
“jam karet”は直訳すると「ゴム時間」となり、時間にルーズなインドネシア人の国民性を表す言葉です。 インドネシアに限らず、東南アジア圏では特に時間にルーズな傾向があると言われています。
そもそも待ち合わせの時間に遅れることに対して大きな罪悪感を持っていないため、遅刻した際にも厳しく接してしまうと、なぜ起こっているのか理解されない可能性もあります。
日本は世界的に見ても非常に時間に厳しい国民性だと言われています。こうした相対的な価値観を意識して海外の人々との待ち合わせの際には寛容な姿勢をとるよう心がけると同時に、マナーやモラルは国によって大きく異なることを理解して歩み寄ることが大切です。
何をされても怒らない?
インドネシアでは、物事を荒立てず穏便に済ませたいという考え方が根底にあり、穏やかな性格の人が多くいます。 そのため、怒ることや叱ることに対する拒否反応が強く、全く叱られたことのない人も少なくありません。
日本では相手のことを思っているからこそ叱るという文化が根付いていますが、インドネシア人はミスを指摘されるとひどく怒られたと感じてしまいます。 インドネシア人に対して指導や指摘をする際には接し方を工夫する必要があります。
敬虔なイスラム教徒であるインドネシア人の性格
日本は、世界的に見ても宗教に対してドライな国だと言われています。教義に忠実な振る舞いを大切にする、いわゆる敬虔な教徒が周りにいないという人も少なくありません。
一方、インドネシア人は信教に対して真剣に向き合っている人々が多く、また個々人が確固たる宗教観を持っています。
以下では、インドネシアの宗教について解説します。
ほとんどががイスラム教徒
インドネシアで政府が認めている宗教は、イスラム教、キリスト教、ヒンドゥー教、仏教、儒教で、キリスト教はプロテスタントとカトリックが認められています。 国民の9割ほどはイスラム教徒であり、特に敬虔な教徒が多い国として知られています。
日本にはイスラム教徒が少ないため、あまり馴染みがないかもしれませんが、イスラム教には日常生活に密接した戒律が数多くあり、メッカの方角に向かって行う礼拝、女性の髪や肌を隠すヒジャブ、豚肉やそれらとともに調理された料理の禁食などはほんの一例です。
イスラム教徒であるムスリムについては、以下の記事で詳しく解説しています。
イスラム教の食習慣にも対応する「ムスリムフレンドリー」 │ ハラールフード・ハラール認証・事例2件を解説
近年、東南アジアからの訪日観光客が増加しています。今も人口が増加し続けている地域なので、今後さらなる訪日観光客の増加が期待されています。 そんな中、インドネシアやマレーシアで非常に多くの人が信仰しているイスラム教への対応が必要となってきています。 しかし日本では
ムスリムとは
ムスリムとは、アラビア語でイスラム教徒を意味します。世界中に1...
【事例アリ】ハラル認証は絶対必要?ハラルフードの実態・注意点・禁止される食材
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左手は汚い、不浄の手
インドネシアをはじめ、フィリピンやインドなどの南アジアから東南アジアにかけての諸国において、左手は「不浄」であると考えられています。 そのため、食事の際には右手を使い、トイレでは左手を使います。
不浄である左手を他人に差し出すことは大変な失礼とされており、物の受け渡しや握手に左手を使うことは厳禁です。
気を付けておきたいマナー
日本では、茶碗や皿を持ち上げて食事をしても問題ありませんが、インドネシアでは食事の際に器を持ち上げる行為は野蛮で、慎むべき行為とされています。
また、両手を腰に当てる姿勢は不機嫌な様子を表すポーズと広く認知されています。
たとえ、こちら側が意図していなくても、相手に不快な思いをさせてしまう可能性があるため、意識して控えるよう心がける必要があります。
世界最多の島嶼(とうしょ)をもつ国インドネシアからの訪日客の特徴
上記ではインドネシア人の国民性や宗教についてまとめました。 続いては、ここまでの内容を踏まえてインドネシアのインバウンド事情や対策について解説します。
ハイシーズンは12月だが、年間通じて需要がある
インドネシアからの訪日客数について、月別の統計を見ると、例年12月が最も訪日客数が多いという結果になっています。 その他には4月や7月にも訪日客数が増える傾向にあるため、年間を通してプロモーションに取り組んでいく必要があると思われます。
春、夏、冬と季節の異なる月に訪日客が増えるため、季節感を重視したプロモーションも可能で、時期によってさまざまな楽しみ方を提案することができればリピーター獲得にもつながります。
2018年は35万2,330人が来日
2018年には、1年間で35万2,330人のインドネシア人が日本を訪れており、5年前の2013年と比べると2倍以上となっています。
その内、84.5%の人々は東京を訪れており、大阪、京都には約50%前後の人々が訪れています。 他には、千葉県や山梨県なども人気の旅行先となっており、ゴールデンルートが人気を集める状況はまだしばらく続きそうです。
また、2017年度に観光庁が発表したデータによればインドネシアからの訪日客の内、約6割が初訪日の観光客で、訪日外国人客全体では約4割ほどが初訪日であることを考えると、比較的初訪日の観光客が多いと言えます。
今更聞けない「ゴールデンルート」とは/東京〜大阪を巡るインバウンド王道観光ルート・日程例・ルート外地方に誘致する事例は?【インバウンド用語基
多くの訪日外国人観光客...
Diamond Route Japan(ダイヤモンドルート)とは?美しい動画が世界で話題に
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リアリティのある口コミや、有名人・インフルエンサーの影響を受けやすい
インドネシアからの訪日客が旅行前に利用した情報収集手段を調査すると、YouTubeやその他の動画媒体から情報を得ているケースが多いです。
YouTubeについては、”Digital2019”が発表した、インドネシアで人気のあるSNSランキングにおいて1位を獲得しており、インドネシア国内で非常に影響力の大きなプラットフォームとなっています。
YouTubeの後にはFacebook、Instagramがランクインしており、これらのSNSの台頭に伴って有名人、インフルエンサーの影響力が強まっています。
インドネシア人のスタイルにあった対策で成長市場を取り込む
2012年以降、インドネシアから日本を訪れる観光客の数は年々増加しており、インバウンド消費額も右肩上がりに上昇を続けています。東南アジアや中東、東アジアは、インドネシア人にとって人気の旅行先ですが、経済成長と相まってインドネシア人の海外旅行への関心は引き続き高まっていくと考えられます。
日本は相対的に近距離の目的地に分類でき、また同じアジア圏であることから金銭的、心理的ハードルも比較的低いと考えられます。今後はさらなる訪日インドネシア人観光客の増加も期待できるでしょう。
インドネシアは実は世界の人口ランキングではアメリカの次に多い第4位です。人口構成比でも高齢化者はまだ少数派で、こうした社会要件からも注目されいるマーケットです。インバウンドインドネシア市場をターゲットとした取り組みは、日本国内、そして世界でも激化していく可能性もあるでしょう。
他者に先んじた、ターゲット層の需要にしっかり合致した取り組みで、大きな市場における優位性を確立することができるはずです。
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