「ラグビーワールドカップ2019」に沸いた日本では、各地の試合会場周辺でのラグビー特需がありました。宿泊施設をはじめ、観戦前後に楽しむビールやお土産まで、さまざまな分野に好影響を与えています。今回はラグビーワールドカップ開催によるインバウンド動向の特徴をご紹介します。
【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】
試合会場周辺のホテルはインバウンドで満室
9月20日に開幕した「ラグビーワールドカップ2019」は10月13日まで行われました。公式サイトでは、中止となった3試合を除く37試合での観客動員数は延べ128万人超、1試合の平均観客数は3.4万人超を記録しており、観戦チケットの総販売数は180万枚以上にのぼったという発表がありました。
試合の観戦に合わせて、各地の会場を訪れるラグビーファンが周辺の観光スポットや飲食店に足を運び、インバウンドの周遊観光の活発化しました。
計5試合が開催された大分県の調査によると、9月時点で試合に絡む14日間に少なくとも15万人が宿泊したと見ています。15万人のうち訪日外国人観光客は5.4万人弱とされ、欧米豪からの観光客は約1.3万人を占めます。
準々決勝が行われた10月19~20日の2日間は大分と別府の宿泊施設の客室稼働率が80~90%台となり、そのうち4割超が訪日外国人観光客からの予約でした。
外国人サポーターによりビールの消費量も拡大
試合会場周辺の居酒屋やバーを中心に、ビールの販売量も急増しました。
アイルランドやイングランドなど、8強に残った強豪国・地域では、1人あたりのビールの年間消費量が多いのが特徴です。たとえばアイルランドの成人1人あたりのビール年間消費量は118リットルと、日本の54リットルと比較するとその多さは一目瞭然です。
大会スポンサーのハイネケンの9月の販売量は、前年同月の3.4倍となったほか、ギネスも前年同月比5割増。ラグビーワールドカップを機に日本での認知度アップにつながりました。
地域ならではのクラフトビールもインバウンドのサポーターから注目されています。大阪府箕面市の「箕面ビール」を提供する大阪市の直営店にて、9月以降は欧米人客が急増したとのことです。苦くアルコール度数が高いものが人気で、パイントサイズを3〜4杯飲み干す人も見受けられます。
日本のご当地クラフトビールの情報は、海外のメディアや観光サイトを通じて情報収集し、飲みに来る欧米人観光客が多いようです。
キャンピングカーで各地をまわる観戦客も
ラグビーワールドカップの観戦で、日本各地の試合会場をまわる外国人観戦客の中には、キャンピングカーを利用するケースも見受けられました。開催期間が44日間と長いのに合わせて、欧米豪からの観戦客の滞在期間も長いことから、泊まる場所を気にせず旅ができるキャンピングカーを好むようです。
普段は外国人の利用はほとんどないというオートキャンプ場でも、大会期間中の2週間で80人の訪日外国人観光客が宿泊しました。
目的地は開催都市に限らず、富士山観光など、全国各地の観光スポットを自由にまわるケースも見受けられます。
「和包丁」人気のお土産に
インバウンドのラグビーファンたちから意外な人気を集めたお土産が和包丁です。切れ味が鋭い和包丁はもともと海外でも評判が良く、本場・日本を訪れた際に購入するケースが多いとされています。
和包丁の産地である堺市産の包丁などを取り扱う大阪市内の専門店では、9月の売り上げが前年同月比16%の増加を記録しました。普段は東アジア圏の観光客が多いにもかかわらず、9月はアイルランドやオーストラリアなど、ワールドカップのロゴが入った服を着た欧米豪からの観光客の来店が目立ちました。
「タワーナイブズ大阪 刃物工房」には観戦客だけでなく、ラグビーのイタリア代表の選手も来店しました。店員が全員外国語で接客ができ、試し切りのためのブースもあることから、売り上げの約7割が訪日外国人観光客という結果を生み出しています。
まとめ:東京五輪の特需にも期待!地方でも万全の受け入れ態勢を
「ラグビーワールドカップ2019」の開催により、キャンピングカーで自ら日本各地をまわるインバウンドや、地方都市における宿泊者数の増加、消費拡大といった特需が見受けられました。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックの際も、長期滞在が主流の欧米豪からの観光客を中心に、地方誘客と地方経済の活性化が予想できます。これまでは訪日外国人客数が少なかった地方都市においても、インバウンドの受け入れ態勢強化に向けて、早めの対策が重要でしょう。
<参照>
- RWC公式サイト:ラグビーワールドカップ2019™日本大会 プール戦を終えて
- ラグビーW杯中、15万人宿泊へ 大分県調査
- ビールを切らすな、ラグビーW杯で臨戦態勢-桁違いの消費に対応へ
- ラグビーW杯「ビール決戦」、勝者は誰なのか
- 欧米客、大阪のビールごくり 客単価は2倍
- キャンピングカーでラグビーを=海外から予約殺到-W杯開幕まで1カ月
-
ラグビーファン、相棒はキャンピングカー 各地転戦
- 和包丁の人気キラリ、ラグビーW杯の海外ファン
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!