複雑すぎる日本の鉄道「駅名変更」で不便解決なるか?関西で10か所の駅名を変更する理由は「わかりやすさの向上」と「周辺地域の活性化」

公開日:2019年12月16日

2019年10月1日、阪急電鉄と阪神電鉄が「梅田駅」を「大阪梅田駅」へと変更しました。ほかにも「河原町」が「京都河原町」になるなど、京都、大阪、兵庫で合計10の駅で名称変更がありました。

「梅田駅」は、阪急や阪神だけでなく大阪メトロ御堂筋線にも同駅名があったり、四ツ橋線「西梅田駅」や谷町線「東梅田駅」といった似た駅名があり、しかもJR大阪駅周辺に集中していることもあり、分かりづらい実情があります。

関西以外の利用者や、訪日外国人にも分かりやすくすることが駅名変更の狙いのようですが、今回の駅名変更を現地の人はどう捉えたのでしょうか。

訪日観光客が日本の駅名について抱いている印象を探りながら、駅名とインバウンドの関係を考察します。


10の駅で名称変更

10月1日に大阪周辺の駅名変更を実施したのは、阪急電鉄と阪神電鉄のほか、京阪電鉄と大阪モノレールで全10駅です。

京阪電鉄の京阪本線「八幡市駅」が「石清水八幡宮駅」に、鋼索線「八幡市駅」が「ケーブル八幡宮口駅」になるなど、観光で訪れた人にわかりやすく改名した形です。

同日には長崎県の島原鉄道でも駅名の変更を行っており、「諫早駅」を「諫早(雲仙・島原口)駅」にするなど、こちらも地元の人以外にも具体的な場所がより伝わりやすい駅名となりました。

梅田駅について言えば、例えば阪急梅田駅はJR大阪駅と接続している西日本最大のターミナル駅ですが、以前から「梅田駅は大阪駅に近いのか」「大阪駅と接続していないと勘違いする」などの声も寄せられていました。

駅名の変更により、駅の所在地や他の施設等の位置関係をイメージやすくなったと言えるでしょう。



駅の利用者は駅名変更をどう受け取ったのか

観光客や訪日外国人に対してわかりやすくなったという意見がある一方で、日頃から駅を利用する人の中には、「大阪梅田駅を大阪駅と略す人が出てきたら、どの大阪駅かわからなくなる」といった意見もあるようです。

梅田駅はこれまで「阪急の梅田」といったように、利用者の中で次第に形成された俗称のようなものがありました。今回の変更された駅名は定着するまでには時間が必要かもしれません。

さらに今回の一連の改名で「京都河原町駅」が誕生したことに触れ、JR大阪駅と大阪梅田駅が至近距離であるのに対し、JR京都駅と京都河原町が離れていることで混乱が起こるのでは?と懸念する声もあがっています。



こんな狙いも

今回の駅名変更では、大阪モノレール「柴原駅」を「柴原阪大前駅」へ、阪急電鉄は「石橋駅」を「石橋阪大前駅」へ、阪神電鉄は「鳴尾駅」を「鳴尾・武庫川女子大前駅」へと変更しており、観光資源ではない学校を駅名に使用していますが、いずれも周辺地域の活性化が目的のようです。

大阪大学は「これを機に、地域の皆様と大阪大学との絆が一層強固なものとなり、大学と地域双方の活性化につなげていきたいと考えております」とコメントしています。電車を利用して目的の施設に行く際にわかりやすくなるという面もあるでしょう。

日本の鉄路についてインバウンドはどうとらえている?

日本の鉄道については、駅が清潔かつ安全であることや、電車の遅延がほとんどないことなどが、訪日観光客をしばしば驚かせています。

駅利用者の多さも話題です。新宿駅の乗降者数が、世界一としてギネスに認定されるほど日本は電車大国です。


世界的に見て鉄道利用者が飛び抜けて多い日本にあって、電車が遅れずにやってくることは訪日観光客を感激させるようで、ラッシュ体験を目的に来日する外国人もいるといいます。

一方、日本の複雑な路線網は多くの訪日観光客を悩ませてもいるようです。

2014年に三菱UFJリサーチ&コンサルティングが発表した「外国人観光客の首都圏交通インフラ利用調査結果のお知らせ」によると、地下鉄やJRについて利用者が多く満足度も高い一方、「分かりやすさ」についての評価が低いという結果もありました。

具体的には、全体の約25%の人が「地下鉄が2種類ある」「路線網が複雑すぎる」の2点について、分かりづらいと感じているようです。

困っている人がいたら?翻訳ツールや画像検索も利用して案内

駅内で路線図を前に立ちすくむ外国人を見かけることがあります。両脇に大きな荷物を置き、何度もスマートフォンの画面をのぞいて確認している姿です。

こんな時にすぐ手助けができれば、外国人の抱えている不満が解決できるだけでなく、日本での滞在をより満足してもらうきっかけになるかもしれません。

言葉が通じない場合でも、翻訳アプリやデバイスを利用すれば手助けが可能になることもあります。その際、相手がどういった名称で駅や施設を呼称しているかを把握できていれば、コミュニケーションがスムーズでしょう。

相手が利用している呼称を把握していない場合には、地図を見せあいながら、あるいは目的地を画像検索して写真で共通認識を確認しながらやりとりすれば、相手の求める情報にたどりつきやすくなるはずです。

また駅などをはじめとした公共施設では、タッチパネル式のデジタルサイネージといった、言語を選択して利用できる設備で情報提供を行うことも重要でしょう。

わかりやすい情報展開とおもてなしのリレーを

来る2020年オリンピック・パラリンピックを前に、訪日外国人が利用しやすい交通システムの整備はインバウドにおける重要な課題です。

駅名の変更はできても、地下鉄の多さは変わりません。駅名の変更だけでなく、目的地へのアクセスをいかにわかりやすく伝えるかが課題解決のポイントとなるでしょう。


関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!