日本でも拡大の兆しを見せている新型肺炎により、7月の東京オリンピック開催を前にテレワークの導入が急ピッチで進められています。
職場以外の場所で働く「テレワーク」は多くの先進国で広まっている働き方ですが、日本では取り入れる企業はあまり多くありませんでした。
今回は、日本のテレワークのこれまでを紹介します。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
政府によるテレワーク推進、理由は「1,000万人の観光客」
テレワークを日本にも一般的にするために、最も活発に動いているのが日本政府です。その背景にあるのは、今年7月に開催される東京オリンピックです。このオリンピック期間には1,000万人規模の観光客が日本を訪れることが予想されています。この時期の公共交通機関の混雑を解消することが、政府の重要課題となっています。
そのため日本政府は今年の7月20日から9月6日まで「テレワーク・デイズ2020」と銘打ち、企業や自治体にテレワークの推進を呼びかけています。
去年のほぼ同じ時期に行われた同様のキャンペーンでは、全国で2,887団体、約680万人が参加しました。本番となる今年には、政府は3,000団体以上の参加を目標としており、都内の企業を中心に従業員の1割をテレワークにするよう働きかけています。
新型肺炎で大手企業がテレワーク推進
すでににテレワークを導入している企業もあります。人材派遣大手のパソナグループは契約社員などを含む約1万3,000人を対象に、時差出勤や在宅でのテレワークを推奨しています。
最近の新型肺炎への対策のひとつとしても、テレワークの有効性が見直されています。野村ホールディングスは、2020年1月15日以降に中国から帰国した社員に対し、中国出国から14日間は在宅勤務をするよう求めています。
日本のテレワークの現状:3つのスタイル
2018年の通信利用動向調査によると、現在の日本でテレワークを実施している、あるいは実施予定の企業は、全体のわずか26%です。
また、テレワークといっても、モバイルワーク・在宅勤務・サテライトオフィス勤務という3種類の形態があり、特にテレワークを導入している11%の企業がサテライトオフィス形態で業務をしているとのデータもあります。。
テレワーク導入の理由「非常時の事業継続」15.1%
また、テレワーク導入する理由として全体の56.1%の企業が「定型的業務の効率性(生産性)の向上」を挙げました。
次いで「勤務者の移動の短縮」が48.5%、そして「通勤困難者(身障者・高齢者・介護育児中の社員等)への対応」が26%となっています。
また、15.1%の企業がテレワークの導入の目的として「(新型インフルエンザなど)非常時の事業継続」を挙げています。
一方、労働者側としては、過去1年間にテレワークをしたことがある、あるいはしてみたいと思っている労働者の割合は、全体のわずか24,5%です。テレワークに関心があるが実行に移していない最も大きな理由が「勤務先にテレワークできる制度がないため(56%)」、そして「テレワークに適した仕事ではないため(51%)」となっています。
多くの企業ではいまだにテレワークが導入されず、そのため労働者自身もテレワークに踏み切れないのが、日本の現状のようです。
テレワークのメリット・デメリット
テレワークのメリットとしては、通勤コストの削減・介護や育児中の社員が仕事を続けやすくなる効果、そして無駄な会議などが減ることによる業務の効率化などが挙げられます。
このようなメリットは企業の生産性を向上させ、その結果として企業の利益を増益する効果があると考えてもよいでしょう。
しかし、その一方でデメリットとして、従業員同士のコミニュケーションが取りづらくなる可能性がある(テレワークしているのか、それとも休みなのか、他の人が判断しづらい)こと、そして、現状ではテレワークが可能な仕事がIT端末を使った仕事に限られることにあります。
すべての業務をテレワークで対応できるわけではないため、メリットを享受できる職種とそうでない職種で不公平感が出ないような制度設計が必要となってくるかもしれません。
テレワークを一般化するためには
IT端末で終了できる業務を増やすことは、日本でのテレワーク普及の後押しとなるでしょう。
IT端末で終了できる業務の増加にあたっては、どこまで業務をIT化するのか、どこからが実際に対面でしなくてはならない業務なのかを、各企業が明確に分類する必要が出てきます。
同時に、テレワークをしている従業員がスムーズにコミニュケーションできるための連絡方法を備えることも、企業にとって必要です。
また、政府や地方公共団体は、より一層IT関連のインフラの充実を図ることが必要条件になります。
労働者個人のレベルでは、労働時間をはじめとする自己管理を上手にすることが必要になってくるでしょう。
日本のテレワークの将来、非常時を体験し加速
テレワークは通勤の混雑解消に関しては大きなメリットとなります。新型ウイルスの感染拡大が伝えられる中、都市圏の通勤電車は、社会全体のリスクを高めてしまいます。
これまでは混雑緩和による交通機関の問題解消の面に焦点を当てられてきたテレワークの効能ですが、今回の出来事を受け、災害など非常時の対策にもなるということにも注目が集まったと考えられます。
日本の伝統的企業の代表格であるNTTグループでも、従業員およそ20万人に対して、2月17日から順テレワークや時差出勤を推奨することが報じられています。
仕事は職場でしなければ真価を発揮しない、といった旧来の価値観は現在も根強く日本社会に残っていますが、今回の非常事態を受けて大きく時代が転換するのかもしれません。
<参照>
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/190531_1.pdf
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020020401127&g=eco
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200203/k10012269941000.html
https://news.finance.yahoo.co.jp/detail/20200125-00000040-jijf-bus_all
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!