新型肺炎で「テレワーク」も急拡大、緊急事態が日本の旧習をぶち壊す?オリンピック開催期間の政府計画とは

公開日:2020年02月17日

日本でも拡大の兆しを見せている新型肺炎により、7月の東京オリンピック開催を前にテレワークの導入が急ピッチで進められています。

職場以外の場所で働く「テレワーク」は多くの先進国で広まっている働き方ですが、日本では取り入れる企業はあまり多くありませんでした。

今回は、日本のテレワークのこれまでを紹介します。

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政府によるテレワーク推進、理由は「1,000万人の観光客」

テレワークを日本にも一般的にするために、最も活発に動いているのが日本政府です。その背景にあるのは、今年7月に開催される東京オリンピックです。このオリンピック期間には1,000万人規模の観光客が日本を訪れることが予想されています。この時期の公共交通機関の混雑を解消することが、政府の重要課題となっています。

そのため日本政府は今年の7月20日から9月6日まで「テレワーク・デイズ2020」と銘打ち、企業や自治体にテレワークの推進を呼びかけています。

去年のほぼ同じ時期に行われた同様のキャンペーンでは、全国で2,887団体、約680万人が参加しました。本番となる今年には、政府は3,000団体以上の参加を目標としており、都内の企業を中心に従業員の1割をテレワークにするよう働きかけています。

新型肺炎で大手企業がテレワーク推進

すでににテレワークを導入している企業もあります。人材派遣大手のパソナグループは契約社員などを含む約1万3,000人を対象に、時差出勤や在宅でのテレワークを推奨しています。

最近の新型肺炎への対策のひとつとしても、テレワークの有効性が見直されています。野村ホールディングスは、2020年1月15日以降に中国から帰国した社員に対し、中国出国から14日間は在宅勤務をするよう求めています。

日本のテレワークの現状:3つのスタイル

2018年の通信利用動向調査によると、現在の日本でテレワークを実施している、あるいは実施予定の企業は、全体のわずか26%です。

また、テレワークといっても、モバイルワーク・在宅勤務・サテライトオフィス勤務という3種類の形態があり、特にテレワークを導入している11%の企業がサテライトオフィス形態で業務をしているとのデータもあります。。

テレワーク導入の理由「非常時の事業継続」15.1%

また、テレワーク導入する理由として全体の56.1%の企業が「定型的業務の効率性(生産性)の向上」を挙げました。

次いで「勤務者の移動の短縮」が48.5%、そして「通勤困難者(身障者・高齢者・介護育児中の社員等)への対応」が26%となっています。

また、15.1%の企業がテレワークの導入の目的として「(新型インフルエンザなど)非常時の事業継続」を挙げています。

一方、労働者側としては、過去1年間にテレワークをしたことがある、あるいはしてみたいと思っている労働者の割合は、全体のわずか24,5%です。テレワークに関心があるが実行に移していない最も大きな理由が「勤務先にテレワークできる制度がないため(56%)」、そして「テレワークに適した仕事ではないため(51%)」となっています。

多くの企業ではいまだにテレワークが導入されず、そのため労働者自身もテレワークに踏み切れないのが、日本の現状のようです。

テレワークのメリット・デメリット

テレワークのメリットとしては、通勤コストの削減・介護や育児中の社員が仕事を続けやすくなる効果、そして無駄な会議などが減ることによる業務の効率化などが挙げられます。

このようなメリットは企業の生産性を向上させ、その結果として企業の利益を増益する効果があると考えてもよいでしょう。

しかし、その一方でデメリットとして、従業員同士のコミニュケーションが取りづらくなる可能性がある(テレワークしているのか、それとも休みなのか、他の人が判断しづらい)こと、そして、現状ではテレワークが可能な仕事がIT端末を使った仕事に限られることにあります。

すべての業務をテレワークで対応できるわけではないため、メリットを享受できる職種とそうでない職種で不公平感が出ないような制度設計が必要となってくるかもしれません。

テレワークを一般化するためには

IT端末で終了できる業務を増やすことは、日本でのテレワーク普及の後押しとなるでしょう。

IT端末で終了できる業務の増加にあたっては、どこまで業務をIT化するのか、どこからが実際に対面でしなくてはならない業務なのかを、各企業が明確に分類する必要が出てきます。

同時に、テレワークをしている従業員がスムーズにコミニュケーションできるための連絡方法を備えることも、企業にとって必要です。

また、政府や地方公共団体は、より一層IT関連のインフラの充実を図ることが必要条件になります。

労働者個人のレベルでは、労働時間をはじめとする自己管理を上手にすることが必要になってくるでしょう。

日本のテレワークの将来、非常時を体験し加速

テレワークは通勤の混雑解消に関しては大きなメリットとなります。新型ウイルスの感染拡大が伝えられる中、都市圏の通勤電車は、社会全体のリスクを高めてしまいます。

これまでは混雑緩和による交通機関の問題解消の面に焦点を当てられてきたテレワークの効能ですが、今回の出来事を受け、災害など非常時の対策にもなるということにも注目が集まったと考えられます。

日本の伝統的企業の代表格であるNTTグループでも、従業員およそ20万人に対して、2月17日から順テレワークや時差出勤を推奨することが報じられています。

仕事は職場でしなければ真価を発揮しない、といった旧来の価値観は現在も根強く日本社会に残っていますが、今回の非常事態を受けて大きく時代が転換するのかもしれません。


<参照>

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/190531_1.pdf

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020020401127&g=eco

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200203/k10012269941000.html

https://news.finance.yahoo.co.jp/detail/20200125-00000040-jijf-bus_all

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訪日ラボ編集部

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