地方空港のインバウンド事例 │ 免税店の充実・チャーター便増:地域活性化に向けた取り組み

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日本は島国である以上、海外から陸路が利用できない上に船でのアクセスも時間がかかります。そこで日本の玄関口として重要になるのが、空港の存在です。

近年では訪日外国人客数の増加に伴い、羽田空港や成田空港などの主要な国際空港だけでなく、地方空港のインバウンド需要も急増しています。今回は、インバウンドの地方空港の利用状況をふまえ、地方空港におけるインバウンド誘客促進に向けた取り組みを紹介します。

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日本各地の空港の利用者数

2018年に成田・羽田・中部・大阪・関西・神戸の主要6空港以外の地方空港からは、758万人の訪日外国人が入国しました。前年比11.7%増の結果となっており、入国者数全体の25.2%に達しています。いまやインバウンドの4人に1人が地方空港から入国していることがわかります。

地方空港の利用者数は、最も多い福岡が241万人、那覇と新千歳が170万人前後です。その他17空港が5万人を上回っており、そのうち11が西日本地域の空港です。

インバウンドの利用者数が最も伸びたのは山形空港で、2008年にはわずか2人だった利用者数が2018年には6,550人にまで増加しました。台湾からのチャーター便が4年で9倍以上増加したことや、県が航空会社の着陸料減免や旅行会社への助成といった支援策を実行したことが背景として考えられます。

地方空港の存在感UP

近年は自治体の誘致などで地方空港への直行便が増え、特に西日本の空港が存在感を増しています。韓国や中国など東アジアからの便が中心ですが、欧州便が就航する動きもあります。

香川県の高松空港は積極的に路線を誘致した結果、2019年の夏ダイヤでは上海・台北・香港などを結ぶ定期便が週23便に増加しました。特に2019年は3年に1度のアートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」が開催されたこともあり、アジア圏の訪日観光客の利用が大幅に増加しています。

2019年度下半期の取り組みとして、エアライン誘致による路線拡大・利用促進に向けたプロモーションとターミナル施設改修・観光コンテンツの充実・アクセス改善の4つの柱を掲げました。

新規路線は近年訪日需要が急増しているタイ・シンガポール・ベトナムの3市場を開拓し、四国・瀬戸内エリアのPRを実施します。また大学生による「高松外国人観光客お助け隊」との連携や空港からの二次交通の拡充など、地域一丸となり取り組むインバウンド対策の動向に今後も注目が集まるでしょう。

地方空港のインバウンド事例

インバウンドの利用促進に向け、各地方空港ではさまざまなインバウンド対策に取り組んでいます。

訪日客が好きな免税店、地方空港でがっかりさせないために

2019年10月1日時点の免税店の数は全国で52,222店と半年で4%増加しました。三大都市圏では3.8%増、地方では4.4%増と、地方での免税店需要の高まりがうかがえます。地方空港のインバウンド対策として免税店の充実化が重要だといえるでしょう。

中国・天津からの直行便が就航し中国人観光客の利用が目立つ青森空港では、2018年12月に国際線搭乗待合室にある青森空港ビル直営免税売店がリニューアルオープンしました。

青森の特産品であるりんごを使用したお菓子をはじめ、「白い恋人」や「東京ばな奈」といった日本各地で有名なお菓子、日本酒の取り扱いもあります。

茨城空港は春秋航空の上海便や中国南方航空、台湾のタイガーエアの定期便が就航したことから、中国人観光客が多く利用する免税売店を営業しています。炊飯器やドライヤーなどの家電や、お菓子類が充実しているのが特徴です。

一方で日本のハブ空港の1つである関西国際空港は最大規模の品揃えを誇ります。アジア圏の訪日外国人に人気の日本コスメ、ビジネス贈答品用の果実酒やウイスキーなど、幅広い需要に応えられるお土産の数々を取り揃えています。

地方への訪日とはいえ、インバウンドに人気の日本製品や日本の特産品は充実させていくと、訪日外国人の満足度向上ならびに利用促進につながるでしょう。

地方空港と台湾を直接結ぶ「チャーター便」

チャーター便とは、定期便が運航していない路線に、利用者のニーズに合わせて運航する不定期便を指します。

通常の定期便では乗り継ぎが必要な目的地まで直行便でアクセスできるため、地方都市を訪問する際の利便性が向上します。海外の都市から日本の地方空港へ直接アクセスできる例も増えています。

チャーター便は旅行会社がツアー商品として販売するケースが一般的です。

日本の地方空港からは特に台湾へのチャーター便の就航が多く見受けられます。青森空港では花見や紅葉、スキーなどの時期に季節限定でエバー航空と中華航空によるチャーター便を台湾・台北から運航しています。

鳥取県では鳥取砂丘コナン空港と台湾を結ぶチャーター便が3路線就航しました。エバー航空(台北チャーター)、中華航空(台北チャーター)、マンダリン航空(台中チャーター)となっており、全体の平均搭乗率は87.9%で、満席の便もあったとしています。

鳥取―台湾間のチャーター便の最終搭乗実績を発表:台中とつなぐマンダリン航空は25往復、計2,062人に

目次過去最大規模のインバウンドチャーター便で続々と来県満席のインバウンドチャーター便も過去最大規模のインバウンドチャーター便で続々と来県鳥取県は、12月3日、鳥取砂丘コナン空港と台湾を結ぶ「連続インバウンドチャーター便」の最終搭乗実績を発表しました。「鳥取砂丘コナン空港」×「台湾」国際チャーター便満席のインバウンドチャーター便も連続インバウンドチャーター便は、台中チャーター(マンダリン航空)、台北チャーター(エバー航空)、台北チャーター(中華航空)の3種類。これまでで、最も多いインバウンド...

まとめ:高まる地方空港ニーズ、インバウンドを意識した空港づくりを

すでに地方空港ではアジア圏を中心にチャーター便の就航が進み、インバウンドの利用者数の増加も顕著です。訪日外国人の4人に1人が地方空港を利用するようになった今、エアラインの新規路線誘致や免税店の充実化など、さらなる利便性向上が見込まれます。

インバウンドリピーターの割合が全体的に増加することで、地方都市訪問への関心が拡大するとともに、地方空港のニーズの高まりも期待できるでしょう。今後は地方空港から観光スポットまでの二次交通の整備や地域を巻き込んだ着地型ツアーの造成などが、インバウンドの地方誘客促進の鍵になるといえます。


<参照>

・日本経済新聞:訪日客「地方へ直行」急増 25%が主要6空港以外へ

・高松空港エアライン誘致等協議会:高松空港と地域の活性化 ローリングプラン2019(中間報告)

・観光庁:都道府県別消費税免税店数(2019年10月1日現在)について

・青森空港:青森空港ビル直営免税売店 リニューアルオープンのお知らせ

・青森空港:青森空港ビル直営免税売店

・MI HOLDINGS:外国人観光客の増加率No.1!青森県が行うインバウンド対策とは

・LIVE JAPAN:「関西国際空港」の免税店の魅力ガイド

・訪日ラボ:「ほぼ東京」茨城空港が中国人に選ばれるワケとは:経済成長中"西安"つなぐ定期便が就航開始

・茨城空港:永山

・JAPAN AIRLINES:チャーター便とは?JALチャーター便のメリット

・訪日ラボ:鳥取ー台湾間のチャーター便の最終搭乗実績を発表:台中とつなぐマンダリン航空は25往復、計2,062人に

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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