インバウンド向けのユニークな宿泊コンテンツとして「城泊」が注目されています。
2020年夏までに、長崎県平戸市にある平戸城の「城泊」開業と、宮城県白石市にある白石城の「城泊」旅行商品化が予定され、地域の歴史的資源や重要文化財を活用した地域活性化が期待されています。
今回は、新たなインバウンド誘客コンテンツとしての「城泊」について、狙いやこれまでの取り組みを解説します。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
「城泊」で欧米豪観光客の富裕層を取り込み
近年、インバウンド誘客において、欧米豪からの富裕層の取り込みが注目されています。元々欧米豪からの訪日外国人観光客は、長期滞在が主流で所得も高い傾向にあり、消費へのインパクトも大きいのが特徴です。そこで、富裕層に着目したインバウンド対策によって地域経済の活性化などの効果が期待されます。
2019年3月にビジネスインサイダー紙が発表した「2019年に数多くのビリオネアが訪れる国TOP15」において、日本は第2位にランクインしました。今まさに日本は、世界の富裕層から次の旅行先としての関心が拡大しているといえるでしょう。
そこで、インバウンドの富裕層を惹きつける、新たなコト消費コンテンツとして導入されるのが「城泊」です。「城泊」は欧米豪の富裕層誘客を狙う、国の「城泊(日本版キャッスルステイ)体験コンテンツ造成事業」の一環です。
長崎県平戸市の平戸城と宮城県白石市の白石城の取り組みを紹介します。
2019年世界の「大金持ち」が旅行したい国ランキング 日本は第2位にランクイン!
2019年3月16日、ビジネスインサイダー紙が富裕層向け旅行会社「オリジナル・トラベル」と協力し調査した、2019年に数多くのビリオネアが訪れる国のTOP15を発表しました。本ランキングで、日本は第2位にランクインしており、富裕層の訪日旅行への関心の高まりが伺える結果となっています。今回は、日本がビリオネアの旅行先として注目されている理由やポイントをふまえ、今ビリオネアに人気の訪日旅行先と、インバウンドの超富裕層誘致で今後期待される効果について見ていきましょう。目次世界中のビリオネアが注目...
平戸城が日本初の常設「城泊」へ
「城泊」を運営する百戦錬磨のグループ企業であるKessha、アトリエ・天工人、日本航空の3社による『平戸城「城泊」JV』は、「平戸城懐柔櫓宿泊施設化改修・運営事業」において、平戸市と基本協定書を締結しました。
この事業の推進にあたり、欧米豪からの富裕層をメインターゲットとして、2020年夏に日本初となる「城泊」施設の常設開業を目指します。
平戸市は日本最古の南蛮貿易の拠点となった城下町で、世界文化遺産に登録される「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産を保有しています。日本100名城にも選定されている平戸城の大規模改修に合わせ、海に面した懐柔櫓を宿泊施設化することとなりました。
平戸城を中心に周辺の遊休資産や観光資源を活用し、平戸ならではの歴史や芸術、食を体感することで、地域活性化に繋げることを目指します。東京オリンピック・パラリンピックの開催時期に開業予定なので、観戦に訪れたインバウンドの富裕層の誘客が期待できるでしょう。
白石城でサンマリノ駐日大使が「城泊」体験
平戸城に続いて第二弾の「城泊」となる宮城県白石市の白石城は、木造天守閣として国内初の取り組みとなります。この事業では欧米豪からの富裕層の観光客をターゲットとした観光コンテンツを造成し、2020年の旅行商品化・販売を目指します。
旅行商品化に向け、百戦錬磨は東北運輸局と宮城県白石市と共同で、2019年9月24日と25日に白石城の「城泊」体験イベントを実施しました。
インバウンド事業に精通した有識者としてサンマリノ共和国駐日大使夫妻を招待し、「城泊」をきっかけに白石市の歴史や文化、食を体験していただきました。
白石城では、1995年に木造で復元された天守閣に当たる三階櫓を見学し歴史の解説を聞いたほか、甲冑や着物の着付け体験も行われました。
三階櫓では宮城県の食材を生かした和洋折衷の創作料理を味わい、3階部分に運び込んだエアーベッドで就寝し、2日目にも座禅や墨書、日本舞踊などを体験するなど、日本の伝統文化に触れるとともに、ユニークな日本の地域滞在を満喫していただいたとのことです。
まとめ:インバウンドの富裕層向け新コンテンツ「城泊」
平戸城と白石城における「城泊」はともに2020年の旅行商品化や開業を目指しており、東京オリンピック・パラリンピックをきっかけとした注目の高まりが期待されます。
インバウンドの富裕層にターゲットを絞り「城泊」といったユニークなコト消費コンテンツを整備することで、インバウンドの地方誘客促進ならびに地域経済の活性化が見込めるでしょう。
<参照>
河北新報:白石城で「城泊」訪日客獲得目指す 有識者招き体験ツアー開催へ
百戦錬磨:百戦錬磨の「城泊」第2弾!宮城県白石市の白石城で城泊体験イベント開催 木造天守閣としては国内初
PR TIMES:【日本初!常設の「城泊」施設が2020年夏、ついに登場】長崎県平戸市、百戦錬磨グループ、アトリエ・天工人、JALが協定締結
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
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詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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