新潟県は美しい自然や豊かな味覚、山間部は世界有数の豪雪地帯であることで知られます。スキーなどのレジャーが盛んで冬季には多くの観光客が訪れますが、インバウンド需要は全国比でみると発展途上といえます。
この記事では、新潟県におけるインバウンドの課題や取り組み事例を紹介します。
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新潟県のインバウンド事情
訪日外国人の訪問者数や旅行消費金額など、新潟県におけるインバウンドの概況を紹介します。
新潟県のインバウンド状況
観光庁の発表によると、2018年の新潟県のインバウンド概況は下記の通りでした。
- インバウンド 訪問者数:161,605人
- インバウンド 1人1回当たり旅行消費単価:60,498円
観光案内所の設置数は32施設で全国10位、案内表示の英語対応は75%以上にのぼり、県の訪日外国人受け入れに対する姿勢は前向きであることが見て取れます。
国別インバウンド状況
新潟に訪れる訪日外国人客数を国別にみると、1位から順に中国(23.14%)、台湾(22.75%)、香港(8.59%)とアジア圏からの訪日外国人が全体の50%以上を占めます。4位以下はアメリカ(6.9%)、韓国(6.75%)と続きました。
インバウンド消費金額の割合も同様にアジア圏が多くを占めており、1位が台湾(32.1%)、2位香港(18.38%)、3位中国(13.56%)という結果でした。
新潟県のインバウンド需要
新潟件は訪日外国人の訪問率、訪問者数、インバウンド宿泊人泊数においては全国的に見てやや劣る数値になっていますが、消費金額においては41,422円で第7位となっています。また、近隣の東北各県と比較した場合数値的には良い数値となっています。
訪日外国人が新潟県に求めているもの
2017年に実施された日本政策投資銀行のアンケート調査によると、新潟県を訪問する訪日外国人はリピーターが多く、桜や紅葉などの自然景観の鑑賞や温泉入浴、日本料理を食べるといった日本ならではの「体験」を求める傾向にあります。
地域別の傾向では、アジア圏からの訪日外国人は自然環境や温泉の入浴に対する意欲が高く、桜や紅葉、雪景色の鑑賞をしてみたいと回答する割合がそれぞれ6割を超えていることがわかります。
新潟県のインバウンド課題
新潟県のインバウンドにおける主な課題として、繁閑差、交通インフラの問題が挙げられます。
それぞれを解説します。
冬場に観光客が集中
新潟県にとって、「雪」は大きな観光資源といえるでしょう。美しい雪景色の鑑賞やスキーなどのウインタースポーツを目的に、12月~3月の時期には国内外から多くの観光客が訪れます。
反面、それ以外の時期の観光客数は少なく、繁閑の差が大きいことが課題です。春の桜や日本海ならではの美しい海、豊富な味覚など、春から秋にかけても自然を満喫することができますが、まだまだ観光資源として充分に認知されていないと考えられます。
新潟県の冬季以外の魅力も取り上げ、世界へ情報発信していくことが必要であるといえます。
交通手段の不安
新潟県は交通インフラの面で課題があるといえます。海外出発地からの直行便はアジア圏を中心とした7都市に限られ、いずれも便数は多くありません。
佐渡をはじめとした景勝地を見学するには、東京から新幹線を利用して新潟に訪れるといった二次交通を利用する必要があります。在来線や路線バスは運行間隔が長く、利便性が高いとは言いづらい状況です。
訪日外国人にとっては、個人旅行の場合は移動の難易度が高くなることから、観光バスが利用できる団体旅行やパックツアーが好まれる傾向にあります。
新潟県のインバウンド事例
新潟県における交通面の不便さをカバーする施策として、他県と協働した効率的なルートの提案・訪日外国人向けフリーパスの販売があります。
また「雪国観光圏」の枠組みで、地域の垣根を越えたプロモーションや利便性の向上に取り組んでいます。
糸魚川市の取り組み
新潟県の最西端、富山県と長野県に接する糸魚川市のインバウンドは、二次交通の問題から団体旅行が中心です。
広域連携として富山・長野県内の自治体と協働し、アルペンルートや白馬と糸魚川を組み合わせたルートをPRしています。富山空港の国際線定期便を利用することにより、交通面での利便性をカバーするとともに、各自治体単独では提供できない多彩なコンテンツをアピールします。
「SADO-NIIGATA PASS」
「SADO-NIIGATA PASS」は新潟・佐渡観光推進機構株式会社が販売する、新潟・佐渡エリアで利用可能な訪日外国人向け交通チケットです。訪日外国人が公共交通を利用する際の不安軽減を狙って企画されました。
新潟~佐渡間のカーフェリー往復チケットと新潟駅~佐渡汽船ターミナル間の往復バスチケットに加え、佐渡の路線バス乗車券(3日間)、新潟市内の観光循環バスのフリーパス(1日券)がセットになっています。
訪日旅行中の「JR EAST PASS」利用者に限り、総額で8,000円以上のチケットが大人4,000円、子ども2,000円で購入可能です。販売箇所は新潟駅万代口観光案内センターおよび新潟フェリーターミナル観光案内所の2か所です。
「雪国観光圏」で地域ブランディング
「雪国観光圏」は、新潟県魚沼市、南魚沼市、湯沢町、十日町市、津南町、群馬県みなかみ町、長野県栄村が設立した3県にわたる豪雪地帯の観光圏です。
これまで雪を利用した冬の観光資源はスキーなどのウインタースポーツが主力でしたが、雪国観光圏では「雪」そのものの魅力を掘り下げ、コンテンツとして活用します。雪が影響を及ぼした独特の生活文化や、雪解け水のはぐくむ豊かな食文化など、雪の恵みそのものに注目したブランド展開が特徴です。日帰りバスプラン「雪国豪雪ライナー」では、SNSで人気のフォトスポットとなっている清津峡トンネルをはじめ、日本三大薬湯として知られる松之山温泉まで直行便で案内します。そのほかにも、雪国を体感できる様々な旅行商品を展開しています。
【DMO】雪国観光圏とは?ガストロノミー・多言語対応を駆使しインバウンド対策強化
新潟県の市町村を圏域として設立された雪国観光圏。豪雪地帯としても知られる雪国観光圏では、雪国という特徴を生かした外国人観光客誘致を行うべく、さまざまなインバウンド対策を行っています。そんなさまざまなインバウンド対策を行う雪国観光圏ですが、具体的にはどのような活動を行っているのでしょうか。そこで今回は雪国観光圏がどのような組織なのか、どのような取り組みを行っているのか詳しく見ていきましょう。目次雪国観光圏とは?雪国の魅力・価値を提供する具体的な取り組みを紹介一般社団法人雪国観光圏の運営理念雪...
地域の課題を考慮したインバウンド対策が求められる
新潟県は豊かな自然環境に囲まれた魅力のあるエリアですが、インバウンド需要を取り込む上では、交通アクセス面をはじめとした、多くの課題が残されているといえます。こうした課題に対して、隣県を巻き込んだ広域連携でのルート提案や、交通チケットの販売といった対策を展開しています。
広い県土の各地域には固有の魅力があります。それぞれの強みを組み合わせたプロモーションにより、より多くのインバウンド需要の取り込みに成功することが望まれます。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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