ガストロノミーツーリズムとは?食×旅の新しい旅行の形とインバウンド需要のトレンド

公開日:2020年03月16日

訪日外国人の誘客にはさまざまなツーリズムが用いられていますが、近年では食と旅をリンクさせるガストロノミーツーリズムが注目されています。

日本食は外国人からも人気の高いコンテンツであり、食を活かしたツーリズムは今後さらに普及していくと見られています。

この記事では、ガストロノミーツーリズムの概要、インバウンド需要、日本におけるガストロノミーツーリズムの事例について解説します。

ガストロノミーツーリズムとは

ガストロノミーツーリズムとは、欧米を中心に普及している旅行スタイルの一種で、今後日本でも主要なツーリズムとして認知されていくと予想されています。

ツーリズムを促進する企業や法人、自治体ではいちはやく注目しておくべき概念であると言えるでしょう。

以下では、ガストロノミーツーリズムの概要、ガストロノミーツーリズムによる地方創生の可能性について解説します。

旅行スタイルの一種

ガストロノミーツーリズムとは、その土地の食文化に触れることを目的としたツーリズムです。

気候や風土によって生産される、

  • 食材
  • 食習慣
  • 調理
  • 郷土料理
  • 歴史

など、さまざまな観点から食を楽しむことが主な内容です。

食育や異文化理解にも役立てられる可能性が高く、近年注目されているツーリズムの1つです。

特に欧米圏では、ガストロノミーツーリズムに対する認知や理解が進んでおり、ガストロノミーツーリズムを取り入れた集客対策に取り組む地域も少なくありません。

インバウンド×地方創生に期待

ガストロノミーツーリズムは、地方自治体が地方創生を促進するための手法として期待されています。

近年のコト消費需要や和食の無形文化遺産登録などの事情を踏まえると、特にインバウンド誘客に大きな可能性を持ったツーリズムであると考えられています。

観光庁が2018年の年次報告として発表した訪日外国人消費動向調査によれば、「訪日前に期待していたこと」として「日本食を食べること」の項目が、複数回答、単一回答ともにトップの結果となっており、訪日外国人客のニーズとしても日本食は上位であることがわかります。

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ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構

日本でもガストロノミーツーリズムの可能性が認知され、ガストロノミーツーリズム推進のためにONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構が設立されました。

訪日外国人消費動向調査における満足度調査でも91.6%の外国人が「温泉入浴」に満足したと回答しているように、温泉は訪日外国人にとって魅力的であることがわかります。

この温泉人気を活かして有名温泉地では、温泉と食をリンクさせたガストロノミーツーリズムに取り組んでいます。

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ガストロノミーツーリズムの規模やメリットとは?

ガストロノミーツーリズムが注目されている要因は、単に訪日外国人のニーズとして日本食が多く挙げられているという事実のみではありません。

ガストロノミーツーリズムには、地方創生に活かせると考えられる、さまざまなメリットがあります。

以下では、ガストロノミーツーリズムのメリットについて解説します。

地域を問わず取り組みやすい

ガストロノミーツーリズムの最大のメリットは地域を問わず取り組みやすいという点です。

スポーツツーリズムやヘルスツーリズムなど、さまざまなツーリズムがありますが、ガストロノミーツーリズムは食事という、人間の生活には欠かせない行為を観光資源化するため、大自然、史跡、温泉などの観光資源が乏しい地域でも取り組むことが可能です。

また、近年流行傾向にあるコト消費の1つということもあり、訴求力に長けたツーリズムと言えるでしょう。

国内で注目が集まっている

観光庁では、日本国内におけるガストロノミーツーリズムの認知や理解を促進すべく「UNWTOガストロノミーツーリズム世界フォーラム」誘致を目指しています。

同フォーラムは、UNWTO(国連世界観光機関)が2015年から毎年開催しているフォーラムで、ガストロノミーツーリズムを浸透させる目的で催されています。

ガストロノミーツーリズムの将来性が徐々に期待され始めている日本は開催地として適しており、観光庁は食に関する歴史や文化を有する奈良県を候補地として挙げています。

今後、フォーラム誘致のための推進活動に伴って、ガストロノミーツーリズムはさらなる注目を集めるでしょう。

日本での事例を紹介

日本国内におけるガストロノミーツーリズムはまだまだ発展途上ではありますが、一部では既にガストロノミーツーリズムを取り入れています。

以下では、日本でガストロノミーツーリズムを取り入れた事例について解説します。

レストランバス

新潟市では、にいがたガストロノミーツーリズムと称してレストランバスを運行しています。

レストランバスは1階がキッチン、2階が食事スペースとなっており、参加者は観光地を巡る車中で食事を楽しむことが可能です。

ツアー価格は1万円から2万円で、4〜6品の料理と2〜3杯のペアリング(ドリンク)を楽しむことができます。

料理は新潟市周辺で採れた旬の食材をふんだんに使用しており、地元の食材ならではの魅力が詰まっています。

コースメニューや観光ルートには10種類以上のバリエーションがあるため、ニーズに応じたプラン選びが可能です。

ONSEN・ガストロノミーウォーキング

2018年の訪日外国人消費動向調査における満足度調査でも91.6%の外国人が「温泉入浴」に満足したと回答しているように、温泉は訪日外国人にとって魅力的であることがわかります。

そこで温泉入浴の人気に注目したのが一般社団法人ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構です。

同法人では全国の温泉地でONSEN・ガストロノミーウォーキングを企画しており、日本国内におけるガストロノミーツーリズムの推進に一役買っています。

ONSEN・ガストロノミーウォーキングとは、ウォーキングを通して、その土地ならではの食や自然、文化を楽しめる企画で、欧米で人気のあるガストロノミーツーリズムに日本の温泉文化を取り入れて、日本独自のツーリズムへと昇華しています。

2019年12月現在、ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構では各地の温泉地について、温泉につかるという楽しみ方にとどまらず、体験型観光の宿泊拠点として地場の食事や文化に触れるきっかけを提供する場としての可能性を広げようと試みています。

2020年2月には台湾でもONSEN・ガストロノミーウォーキングの開催を予定しており、同企画が海外で催されるのは初めてのことです。

コト消費需要に合わせた体験を提供

訪日外国人客数が増加傾向にある近年、訪日外国人の間では特にコト消費に対するインバウンド需要が目立っています。

日本は世界的に見ても魅力的な食文化を持つ国として認められており、食に関連するコト消費に興味を持つ外国人は少なくありません。

また、日本食と並んで訪日外国人から根強い人気を獲得している温泉をガストロノミーツーリズムとリンクさせる考え方は、斬新かつ独自のアイディアとして全国の温泉地での誘客につながっており、今後は世界的に注目される可能性も秘めています。

日本のインバウンド市場においてガストロノミーツーリズムのもたらす効果は大きいと言えるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!