資生堂、SK-Ⅱ、ファンケル…日本コスメ「J-Beauty」グローバル市場での魅力:韓国「K-Beauty」との差別化ポイントは?

公開日:2020年03月16日

韓国コスメ、別名「K-Beauty」は、日本や海外で若い人を中心に人気を博しています。一方、日本メーカーのコスメは「J-Beauty」と呼ばれ、近年海外で需要を伸ばしています

海外における日本コスメと韓国コスメの比較、「J-Beauty」の各ブランドにおけるインバウンド需要について解説していきます。

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外国人の人気を集め出した日本のコスメ

日本メーカーのコスメ「J-Beauty」は、近年ますます海外での存在感が高まっており、特インバウンド需要をけん引しているのは日本製のスキンケア商品です。

代表的な日本コスメのスキンケア商品とその海外人気について解説します。

日本の高級コスメブランドは海外でも人気

日本のコスメブランドのなかで訪日外国人から特に人気を集めているのは、高価格帯のスキンケア商品です。これらはプレステージブランドと呼ばれ、百貨店などに出店される高価格帯のブランドものを指しています。

国内でも有名なコスメブランドのインバウンド需要の傾向や人気の理由をそれぞれ紹介します。

  • 資生堂

日本を代表する老舗化粧品メーカーの資生堂は、中国でも大人気のブランドです。

特に好評なのは、化粧水や乳液などのスキンケア商品です。中国におけるスキンケア商品のメーカー別シェアで、資生堂は、1位のロレアル社(フランス)に続いて第2位です。高価格帯のプレステージブランドを中心に、売上を伸ばしています

資生堂の2018年上期決算では、日本国内と中国での売上、そして空港免税店の売上が伸び、プレステージブランドだけで662億円の増収となりました。

全体の売上のうち45%を占める日本では、インバウンドの売上だけで480億円と、前年同期と比較して135億円ほど増加しています。この数字から、日本コスメの老舗ブランドに対するインバウンド需要の高まりがわかります。

  • SK-Ⅱ

訪日中国人女性へインタビューをすると、ほとんどの場合で、日本で買いたい化粧品として「SK-Ⅱ」の名前が挙げられるそうです。需要が高く、中国へ出店もしていますが、日本で買う方が安く、百貨店やドラッグストアで手に入りやすいため、訪日中国人の買い物筆頭格としての地位を譲りません。

2016年に中国で放映された「剰女」(中国語で「売れ残り女」を意味するもの)を主人公としたSK-ⅡのCMが、ターゲット層の中国人女性たちの心を打ち、話題となったことも同社商品への購買意欲を高めたと考えられます。

社会が押しつける価値観のせいで肩身の狭い思いをしていた女性たちが、周囲の理解を得ながら、自身の生き方を貫くしなやかで力強い姿は多くの共感を呼びました。

  • ドクターシーラボ

シーズ・ホールディングスが展開する「ドクターシーラボ」は、中華圏からの需要が高く、『VC100ホットピールクレンジングゲル』と『スーパー毛穴ローション』が売上を伸ばしました。中国人の消費者からのインバウンド需要が高まったことが好調の背景にあります。

  • ファンケル

ファンケルは中国・香港・台湾・シンガポールにも出店していて、アジアでの認知度・人気が高いブランドです。国内では、訪日観光客が集まるエリアに新規出店し、当初の計画していた売り上げの3倍以上を記録した店舗もあるなど、インバウンドによる需要が高まっています。

また、「ファンケルレポート2019」によれば、上海の30才前後の女性たちには「肌につける物、サプリメントのような体内に取り入れる物は、絶対に安心・安全な物がいい」という考えがあり、こういった価値観も日本のコスメブランドへの需要につながっているようです。

K-Beauty VS J-Beauty

英語圏の海外メディアでは、K-BeautyとJ-Beautyの比較がされている記事を見ることがあります。

K-BeautyとJ-Beautyの違いはスキンケアの分野でいえば、K-Beautyでは保湿の前に肌を整えるエッセンスを加えるものなどスキンケアのステップを増やす製品が多いのに対して、J-Beautyでは保湿に注力しステップを短縮する製品が多く、注目を集めているのが特徴です。

同じ東アジア地域でインバウンド需要をけん引する商品群ということもあり、比較されることが多いK-BeautyとJ-Beautyなので、インバウンド需要が高まっているからこそ、それぞれの製品の特徴や違い、効用が海外の人にも伝わるよう工夫していくことが今後も売上を伸ばしていくポイントになるかもしれません。

また、日本最大の化粧品専門展「国際 化粧品展(COSME TOKYO)」は、世界中の仕入れバイヤーやディーラーが訪れるイベントであり、出展されるコスメも各国から集められています。こういったイベントに代表されるように、コスメ市場はさらに国際化していく流れが予測されます。

J-Beautyの各ブランドは、品質面では十分に世界で戦える力をもっているため、グローバル市場を意識した販促施策をうつことでさらなる需要開拓につながるでしょう。

@cosmeが世界共通のアプリ配信を開始

化粧品の口コミサイト@cosme(アットコスメ)を運営するアイスタイルは、同アプリのグローバルプラットフォーム化を進めています。

その第一弾として、2019年にマレーシアや香港でアプリの配信をはじめました。

また、2015年には中国最大級のEC(電子商取引)サイトアリババのBtoCオンラインショッピングモール「Tmall Global」内に「@cosme官方海外旗艦店」をオープンし、2018年にはデイリーアクティブ女性ユーザー約1億人が選ぶ「年度権威口碑排行榜賞2018」(最も権威のあるクチコミランキング賞)を受賞しています。このことからも、@cosmeは国内のみならず世界的にも信用されている口コミサイトといえます。

こうしたサイトでの口コミをもとに、世界各地でどのようなコスメが人気を集めているのか分析することで、それぞれ地域にカスタマイズした商品開発や販促戦略の立案につなげられると考えられます。

ECサイトに眠る訪日観光客への可能性

▲[日本のBtoC-EC市場規模の推移(単位:億円)]:経済産業省
▲[日本のBtoC-EC市場規模の推移(単位:億円)]:経済産業省
2019年に経済産業省が発表した「2018年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」よると、日本のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)の市場規模とEC化率は毎年右肩上がりで伸び続けていて、2018年には市場全体の6.22%を占めています。 

また、物販系分野の商品群別のEC化率では、2018年の「化粧品・医薬品」EC化率は5.80%で、前年比プラス8.21%と堅調に伸びています。

ECサイトのなかでも国境を越えて買い物ができるものを「越境EC」と呼び、その比率は近年ますます高まっています。実際に海外に行かなくとも、海外製品を気軽に購入できることに加え、現地を訪れる前の情報収集に利用されることもあります。

特に中国からの訪日客は、事前の情報収集にECサイトを使っている割合が高いといわれています。海外の人からも目につくところに商品情報を露出しておくことが、インバウンドでの売上を立てられるかどうかの分かれ目かもしれません。

【2019年】市場規模18兆円!大手ECサイト・ネット通販売上高ランキング:ECをインバウンド戦略に活かす方法

家から出ずにネット通販でお買い物は今では当たり前のことになりました。特に、近年急成長しているのが、自社商品を販売するEC業界です。信頼性が高く、またその便利さから瞬く間に世界中に浸透し、流通総額は17兆9,845億円にものぼります。今回のこの記事では、大手ECサイトの売上高ランキングなど、国内・海外ECサイトの2019年最新情報を紹介します。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!訪日ラボに...

中国ECサイト「京東」とは

EC(電子商取引、Electric Commerce)は、インターネット上で商品を販売するネット通販を意味する言葉です。経済成長の著しい中国では、ECを利用したショッピングが盛んです。海外の商品を購入できる越境ECサイトにも注目が集まっています。中国の大手EC事業者である京東(ジンドン、JD)は、豊富な品揃えやIoT技術を取り入れた配送技術で有名です。今月13日に発表された2019年4~6月期の純利益では6億1,881万元(約90億円)の黒字となりました。昨年同期には赤字を計上していました...

中国ECアプリの小紅書(RED)とは

中国ではあらゆるサービスがオンライン化しており、ショッピングもスマホで完結するECが人気です。ECの2大巨頭はアリババの「タオバオ」「Tmall」そして京東の「JD.com」ですが、その他にも多様化する消費者のニーズにこたえるECプラットフォームが存在します。こうした細分化されたECサービスのうちの一つが、小紅書(RED/シャオホンシュ)です。情報収集チャネルとしても活用されているこのECは、スマートフォンのアプリでサービスを展開しています。そしてその人気は日本でも徐々に知られつつあり、日...

越境ECで気をつけること

越境ECを展開するうえで必ず注意しなければならないのは商標権の申請です。とくに中国の悪意ある商標取得業者には警戒する必要があります。いざ、その商標を使って中国国内でビシネスを開始しようとしたときに、何者かによってすでに商標が取得されていてビジネスが阻害されるといった危険性を孕んでいるからです。

WWIP(ワールドワイド・アイピー・コンサルティングジャパン)は2019年に、中国での商標出願について、申請方法や悪意ある業者への対策などを盛り込んだ手引書をリリースしています。

また、模倣品が出回ることによって、口コミの評価に悪影響を及ぼす可能性もあります。もし口コミサイトに自社製品が載せられている場合は、どのような評価がついているかを随時チェックし、対策をすることも大切です。

越境ECサイトを運営するにあたっては、しっかりとした準備と市場状況の観察が必要です。商標権に留意しながらインターネット上で製品の露出を高めることで、さらなるインバウンド需要の波に乗ることができるでしょう。

越境ECやインバウンド需要が好調な企業は要注意!中国商標に関する手引書が誕生

目次中国の悪意商標会社への対策を万全に商標だけは押さえておくべき中国の悪意商標会社への対策を万全に株式会社ワールドワイド・アイピー・コンサルティングジャパン(以下、WWIP)は、6月7日、中国商標について、具体的な申請方法や悪意ある業者への対策などを盛り込んだ手引書を作成したことを発表しました。中国商標に関する手引書商標だけは押さえておくべき中国では、知らないうちに日本の企業名や商品名の商標を取得する業者がいます。後に日本企業が中国でビジネスを展開しようとした際、その業者は、その企業に対し...

中国スタバ&コカ・コーラは「類似名称」もことごとく商標申請!「パクリ」問題との闘い方

東京、大阪、京都、北海道など、主要観光地で中国人を見かけることが多くなりました。中国国内でも海外旅行への熱は高まっており、日本を含む海外旅行先でのマナー啓発の動きも活発です。一方で、ビジネスの方面では、まだまだ国際基準とは大きくことなる原則が中国には残ります。今回は「商標登録」で窮地に立たされた香川県のケースの他、日本側がとれる対策について紹介します。関連記事中国以外でも横行、パクリ製品の日本企業にとってのリスク目次中国人による「小豆島」ブランド商標申請…中国で日本商品が販売できなくなる?...


J-Beautyのインバウンド需要は伸び続ける見込み

日本のコスメブランドは、中国をはじめとする海外諸国から絶大な信頼を集めています越境ECプラットフォームや、多言語対応の口コミサイトに着目することで、J-Beautyブランドはさらにグローバルコスメ市場で存在感を高めることができるでしょう。

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<参照>

東洋経済オンライン:資生堂、インバウンド熱狂の渦に見えた死角 スキンケア品に次ぐ「収益柱」を育成できるか

東洋経済オンライン:「SK-Ⅱ」のCMに中国女性が感動したワケ 日本企業の中国向けビジネスには何が必要か

ASCII.jp:シーズHD増収増益、インバウンドが好調

ファンケルレポート 2019

日本経済新聞:アットコスメ、世界共通アプリ配信

istyle :@cosmeとアリババグループ運営の中国No.1 EC「Tmall」、共同プロジェクト始動

経済産業省:平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備 (電子商取引に関する市場調査) 

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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