EC(電子商取引、Electric Commerce)は、インターネット上で商品を販売するネット通販を意味する言葉です。経済成長の著しい中国では、ECを利用したショッピングが盛んです。海外の商品を購入できる越境ECサイトにも注目が集まっています。
中国の大手EC事業者である京東(ジンドン、JD)は、豊富な品揃えやIoT技術を取り入れた配送技術で有名です。今月13日に発表された2019年4~6月期の純利益では6億1,881万元(約90億円)の黒字となりました。昨年同期には赤字を計上していましたが、計画通りコストの削減等が進んでいるようです。
こうした中国のECプラットフォームでの商品展開は、EC上での売り上げだけでなく、訪日旅行の際のインバウンド消費にも影響を与える可能性があります。
この記事では、京東の概要や特徴、今後の事業戦略について解説します。
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京東が運営する中国大手ECサイト「京東商城」
中国においては阿里巴巴(アリババ、Alibaba)をはじめとしたECサービスが普及しており、日々多くのユーザーがインターネットを利用して、食品から衣類、生活用品、家電やインテリアなどさまざまな商品を購入しています。
京東も中国の大手ECサイトを運営するインターネット企業の1つです。中国IT業界の三大巨頭であるBATの1つ騰訊(テンセント、Tencent)が出資しており、今後さらなる成長が期待されています。
京東のECサイトには国内製品を扱う京東商城(JD.com)と、海外製品を扱う越境EC海〇全球(〇はくにがまえの中に屯、旧称は京東全球購/JD Worldwide)を運営しています。
「独身の日」の売り上げは2兆円超え
中国では11月11日は「独身の日」とされており、阿里巴巴をはじめとする各種ECサイトがこぞって大セールを開催します。独身の日の各ECサイトの売上は、事業規模を測る1つの指標となっており、2018年の独身の日における京東の1日の売上は約1,600億元を記録しています。
これは日本円に換算すると約2.56兆円です。業界1位の阿里巴巴の売上げは約3.5兆円とのデータもあり、京東はこれを追い上げています。(1元=16円換算)
11月11日「独身の日」とは
「独身の日」という言葉を耳にした人は、少なからずいると思います。インバウンド市場の加速により、中国大型連休となる旧正月の「春節」や、イスラム教徒が食べることが許されている「ハラルフード」など、外国の文化要素を理解する機会も増えてきたように感じます。とりわけ、訪日中国人においては、訪日外国人のなかでもトップの割合を占めているため、今後更に中国の文化・風習を深く知る機会も増えていくでしょう。中国EC最大手のアリババグループと資生堂が2019年3月に戦略業務提携を締結したことが発表されました。と...
京東の創業祭は「618」
京東では運営会社の設立日である6月18日を一大記念日として、毎年6月1日から18日までの3週間にわたりセールを開催しています。
2010年のセールイベント開始当初は京東のみがセールを行なっていましたが、現在では京東に対抗する形で阿里巴巴の天猫(Tmall)や小紅書といった有名ECが一斉にセールを開催します。11月11日同様、中国国内のEC業界が盛り上がりを見せる一大イベントです。
6月18日に注目!「独身の日」だけじゃない中国のECセール「618」とは?仕掛け人の京東(ジンドン)と大手アリババ各社の動向を追う
こんにちは、クロスシー編集部です。中国のECセールには11月の「独身の日」が有名ですが、実は春夏の目玉セールともいえる「618」のセールも存在します。 11月のセールはもともとEC最大手のアリババが開始した販売促進で、現在はどのECプラットフォームもこの流れにのってセールを開催します。昨年はこのセールにより、ECプラットフォーム全体で、日本円で約5兆円にも上る取引が行われたと報じられています。 今回は、こうした独身の日セールにも匹敵するといわれる夏のセール618について解説しま...
京東の特徴:他のECサイトとの違いは?
インターネットで最低価格を簡単に調べることができる現代において価格競争は激化しており、各ECサイトでは得意分野や独自の機能を設けることで差別化を図っています。
その傾向は中国のEC業界においても同様で、京東にもさまざまな強みや特徴があります。京東の特徴について解説します。
【2019年最新/保存版】中国EC人気サイトランキング5選
日本の日常でもECの利用が増えてきています。海外でも同様の傾向があり、インバウンド市場でも自社商品の購買チャネルとしてECの利用価値はますます高まっています。海外のECサイトを正しく利用することは、市場を広げ、売り上げを上げていくために重要になってくると考えられます。この記事では訪日旅行に関連した市場の中でもひときわ大きな存在感を持つ「中国」のECサイトについて解説します。目次越境ECとは?「旅アト」との関係は?そもそもECとは?越境ECとは?そのメリットは?越境ECと深い関係にある「旅ア...
電化製品に強く、手厚いアフターサービスも
京東は創業時に電子機器販売を行っていたこともあり、競合ECに比べて電化製品の品揃えが豊富でアフターケアも充実しています。
購入後7日以内の製品に関しては顧客都合による返品も受け付けており、7日を経過した後であっても15日以内であれば品質に問題がある製品の返品、修理を受け付けています。返品時には製品を受け取りに来てくれるため、再度梱包して発送する手間もかかりません。
スピーディーな配達サービス
JD.comの物流を担うラストワンマイルではロボット技術を活用することによってスピーディーな配達を可能にしており、商品のピッキング、梱包、積み込みまでの工程は全て機械化されています。
また、2019年7月現在では地下の物流パイプを利用した輸送や、地下にスマート化された物流センターを整備する構想が練られています。京東では独自の物流ネットワークを整備しており、主要都市における当日配達サービスを提供しています。
直販型モデルで独自の物流部門を持つ
京東では自社で仕入れから販売までを一貫して行う直販型のビジネスモデルをとっています。
中国国内に約6,900ヶ所の配達センターと約84,000人の配達員を擁しており物流部門にとても力を入れています。
京東の戦略:海外展開など事例を紹介
京東では競合ECサイトとの差別化を図るためにさまざまな戦略がとられています。
以下では、京東が2019年7月現在に取り組んでいる戦略と実際の事例について解説します。
楽天と京東集団が無人配送サービス提供で連携
京東は2016年に世界で初めてドローンによる配送を開始したECとして世界にその名を馳せました。
また、越境ECを運営する京東はドローン配送の技術を他国においても取り入れるべく尽力しており、2019年1月にはインドネシアにおける政府承認ドローンの試験飛行に成功しました。
東南アジアに商用ドローンの技術が伝播した背景には京東が大きく関係しています。
2019年の2月以降、京東は楽天とタッグを組み、楽天のドローン配送ノウハウやITソリューション分野、京東のドローン配送経験、UGV技術を相互に取り入れることで、さらなる配送の無人化を進めていくことを発表しています。
中国EC進出を強力サポート
京東は、中国越境ECを支援するフランクジャパンと、日本最大の総合物流グループであるヤマトグローバルロジスティクスジャパン(YGL)、日本の広告代理店であるADKの4社間で業務連携を図り、日本企業の中国EC市場への進出を支援するとしています。店舗設立から運営までをフランクジャパンがサポートし、日本から中国への商品輸送をYGLが行うため、中国に流入経路の無い企業でも安全に、早く越境ECに参入することができます。
中国ECサイトに参入することでタビマエにアプローチ
訪日外国人の中でも多くの割合を占める中国からの訪日客は、事前にECサイトを利用して日本製品についての情報や人気度を調べることが多いようです。中国のECサイトへの商品展開は、インバウンドでの売り上げ拡大への波及効果が期待できるでしょう。
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