6月18日に注目!「独身の日」だけじゃない中国のECセール「618」とは?仕掛け人の京東(ジンドン)と大手アリババ各社の動向を追う

こんにちは、クロスシー編集部です。中国のECセールには11月の「独身の日」が有名ですが、実は春夏の目玉セールともいえる「618」のセールも存在します。

11月のセールはもともとEC最大手のアリババが開始した販売促進で、現在はどのECプラットフォームもこの流れにのってセールを開催します。昨年はこのセールにより、ECプラットフォーム全体で、日本円で約5兆円にも上る取引が行われたと報じられています。

今回は、こうした独身の日セールにも匹敵するといわれる夏のセール618について解説します。

618とは? EC2大巨頭、京東(ジンドン)の創業祭

「618」とは6月18日の京東の創業を記念して行われるEC上のセールです。1998年の6月18日は創業者のリチャード・リウ(劉強東)が京東を創設した日であるため、現在も記念日としてこの日を中心に、6月初旬から取り扱い商品の値下げや予約販売を開催します。

京東(ジンドン)とは

京東は2014年にナスダックに上場した中国のIT企業です。「BAT」と呼ばれる老舗IT企業(Baidu/百度/バイドゥ、Alibaba/アリババ、Tencent/テンセント)のような呼ばれ方はしないものの、ECが普及する中国において、ここ数年アリババに対抗するサービスとして存在感を強めています。数年前よりテンセントによる出資が何度か行われており、中国EC業界の2大巨頭と言えるでしょう。

京東が2000年代から展開するECプラットフォーム京東商城(JD.com)」は、2018年には月間アクティブユーザー数が3億を突破したことが伝えられています。

ドローンや無人配送システムを使った物流効率の向上や、オンラインからの注文で生鮮食品を数十分~1時間程度で注文先に届ける「京東到家」といった先端技術を利用したサービスも展開しており、注目を集めています。

またもちろん、中国各地で需要の拡大している越境ECのサービスも展開しています。昨年秋にはサービス名称とイメージキャラクターを一新するなど、国内製品と差別化して販売していく戦略をとっていくようです。

テンセントや唯品会との協業

アリババに対抗するため、テンセントとの協力関係や、越境EC市場でユーザー数を伸ばしているECプラットフォーム「唯品会」とのサプライチェーンの協業など大手との様々な取り組みを進めています。例えばテンセントが提供しているメッセージングアプリの「WeChat」では、検索窓から商品名を検索すると、記事などのコンテンツや関連した公式アカウントだけでなく、京東商城のEC取り扱い商品が検索結果に出てきます。

▲WeChatの検索結果。「日焼け止め」を検索。
▲WeChatの検索結果。「日焼け止め」を検索。
この検索結果の商品をタップすると、京東商城のWeChatミニプログラムが立ち上がり、そのまま購入まで完了させることができます。ミニプログラムを利用するため、京東のスマホ用アプリを別に立ち上げたり、インストールしたりする必要がなく、操作の利便性も高いといえます。

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約2.5兆円!京東の「618」セールにおける2018年の総取引額はダブルイレブンにも迫る

昨年の6月1日~18日24時まで開催された「京東618」のセールでは、ユーザーの注文金額は累計で1,592億元(約2兆5,500億円)に達しています。

2018年のダブルイレブン(11月11日のセール)における主要ECサイトの販売額合計は、前年比23.8%増の3,143億元(約5兆円)です。このうち、アリババのECプラットフォームであるタオバオとTmall(天猫)での取引額は2,135億元(約3.4兆円)、京東は1,598億元(約2.56兆円)で、京東にとって618は、ダブルイレブンと同様巨額の取引が行われる期間となっています。(取引額はその後の返品も含まれるため、販売額とは一致しない。)

※1元=16円で計算

4兆円のカネが動く 11月11日は中国一大EC商戦「ダブルイレブン(独身の日)」とは?

11月第四金曜日の「ブラックフライデー」を真似て、2009年中国でIT企業のアリババが同社のECサイトであるタオバオ(現Tmall、中国語名は天猫)で開始した「ダブルイレブン(独身の日/11月11日)」。現在ではアリババだけでなく、競合のジンドン(JD.com、中国語名は京東)などでも同様のセールを開催しており、各社のECサイトには11月11日のセール当日めがけてさまざまな目玉商品が現れています。そんな中、アリババの発表するダブルイレブンの取引額は毎年大きく更新されており、この数年、セール...

「618」今年2019年の動向は?

このように年に二回のセールイベントが開催されていますが、今年の618の京東そしてアリババの動向を見てみましょう。

京東(ジンドン)は新商品でユーザーに訴求

今年の618のセールにおいて、ECプラットフォーム京東商城(JD.com)に出店する90%のコアブランドがタイミングを合わせて新商品を打ち出すことが報道で伝えられています。

ダイソンやオーディオ機器のBeatsといった家電、電子機器や、雪花秀、OLAY、欧莱雅といった基礎化粧品や生活消耗品のカテゴリをはじめとして、ファッション、家具といった新製品の需要が大きい領域で、多くの新製品が販売開始される予定です。

またスマートフォンではアップルやサムスン、ファーウェイ、honor、OPPO、 vivo、レノボといったメジャーなメーカーが、618期間での新製品販売を計画しています。またこうしたスマートフォンの販売に対し、画面の割れに対応する保険を販売も開始し、消費者の満足度向上と、新製品の購入の動機付けを図る狙いです。

2019年の第一四半期で、京東には海外の著名ブランドの出店が相次いでいます。例えばドイツのAEG(家電)やイタリアのMOSCHINO、イギリスのポールスミス、スイスの時計Tissot(ティソ)といったブランドなどですニュージーランドの食品ブランドの旗艦店も出店し、さらにはミシュランの初中国EC展開の場にも選ばれています。

セールは6月1日から始まっており、これまで展開してきたような値下げやお買い得品の設定に加え、キャッシュバックや、有料会員限定で先行販売を行うといった企画を進めています。また京東iQiyiやテンセントビデオ、SNSの知乎Zhihu(ジーフー)と提携しています。ECでの購入だけでなく、会員に動画サイトやSNSといった異なるプラットフォームでの優待を提供し、消費以外のユーザーのニーズを満たすことで利用者を増やす方針です。

アリババはサンプルセールで販売拡大を狙う

もともとは京東の創業祭として始められた618のセールですが、アリババも京東に対抗すべく、この期間にセールを開催することが通例となっています。

618セールの開始する6月1日を前にアリババが発表した情報によると、アリババのECプラットフォームに旗艦店を出店するブランドのうち、フォロワー数が100万人を超える店舗は796件に達しました。

アディダス、ナイキ、Xiaomi(小米、中国の家電、スマートフォンやタブレット等電子通信機器、PCブランド)やユニクロといった15のブランドが、今回の618のセールを前にフォロワーが100万を突破したといいます。

これはECセールによる値下げやお得な販売へのユーザーの期待の高さが表れているといっていいでしょう。

またアリババのECプラットフォームの一つであるTall(天猫)では今年も昨年に続き、オンライン・オフラインの双方で、618のセールに合わせて1,000万件のサンプルを配布することをえっ呈しています。380のブランドがこの天猫の618サンプルセールに参加する予定で、SK-2やMACといった化粧品ブランド、ネスカフェといった国際的ブランドや中国国内の各ブランド(薇诺娜、泸州老窖、百草味、百雀羚)のサンプルがユーザーに配布されます。

こうしたサンプル施策は天猫では2017年から開始しており、ユーザーの購入につながったり、ユーザーのそれまで使用していたブランドからの乗り換えを促すことに成功しています。

さらに昨年の8月には、アリババは北京で自動サンプル配布機を設置し、家庭用品(掃除用品など)を配布し、10月には上海、杭州、深センなど対象都市を広げ、設置場所もショッピングセンターや学校、病院、コンビニなどその範囲を拡大していっています。

今年の618では多いブランドで1日7万件ものサンプルを配布します。同期間もこの施策を通じて、新規購入者やリピーターを増やしていく方針です。

中国大手ECの年間最大のセール販売戦略から最新手法を学ぶ

618セールは、11月のダブルイレブンと並ぶ中国2大ECセールの一つです。仕掛け人である京東、そしてEC最大手のアリババの最新の戦略から、現在の中国市場で有効な販売促進の方針が見えてきます。こうした施策を参考に、インバウンドでの販売促進の計画を立てていくことで、訪日中国人の売り上げ拡大を実現することができるでしょう。

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株式会社クロスシー編集部。中国語圏向けに日本情報の提供をするインターネットメディア運営・レップ事業を展開すると共に、訪日観光客向けのマーケティング・ソリューションを提供しています。日本の観光立国を実現すべく、メインターゲットとなる中華圏への観光情報、サービス、商品について、日中間の情報格差を埋め、観光客にとって最高の日本体験の提供を目指しています。