2017年に「世界で一番幸福」のデンマークが、こんな宣言を出しました。
![▲[2020年に向けた観光戦略]:wonderful-copenhagen-strategy-2020 ▲[2020年に向けた観光戦略]:wonderful-copenhagen-strategy-2020](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/5853/main_7320f2e0d19c83c4089943646dedcd46.png?auto=format)
”THE KING IS DEAD! WONDERFUL COPENHAGEN CONCLUDES THE END OF THE ARE OF TOURISM, AS WE KNOW IT.”
「王は死んだ!ワンダフルコペンハーゲンは観光都市の終わりを宣言する。ご存じのとおりにね」
これは、2017年にコペンハーゲンから公布された観光戦略に関する白書に書かれてあります。
「世界で一番幸福な国」として名高い北欧の国、デンマークで発表されたこんな大胆な観光戦略は、日本も真似できる「ツーリズムイノベーション」となるのでしょうか。
これからの日本の観光業の未来を考えるための事例としてご紹介します。
関連記事
訪日外国人が日本で”特別”を感じるのは「ただのいい天気」そのワケは?
訪日旅行、外国人は何望む?KWは「知識欲」世界の先行事例に学ぶ
インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)
「観光の終わり」を宣言した、デンマークの首都コペンハーゲン
デンマークの人口は日本と比べ20分の1ほどで、首都コペンハーゲン地域の居住者も63万人(2018年・東京、約1,383万人)と、コンパクトな国です。
北欧雑貨や北欧デザインに魅了されている層には認知度の高い国ですが、多くの人にとって「ここ!」と国の位置を地図で指し示せるかというとそんなことはないでしょう。
デンマークは、ドイツの北側に位置し、スウェーデンとノルウェーの南に位置しています。首都コペンハーゲンからは、橋でスウェーデンに渡ることもできます。

Twitter:デンマークの位置を説明する投稿(https://twitter.com/anderspreben/status/1210564273660928000)
国連統計による外国人旅行客数(受入数)は、2018年時点で1,200万人となっています。
同年3,119万人の日本には及ばないものの、国の大きさを考えれば、インバウンド観光業界における取組は比較的成功していると考えられます。
キーワード・LOCALHOOD FOR EVERYONE
そんなデンマークの首都コペンハーゲン は、「共創・共栄」ならぬ「LOCALHOOD」というキーワードと、新たな観光戦略を打ち出しました。
それも「観光地から脱却する」と宣言をしているのです。
![▲[LOCALHOODについて]:Wonderful Copenhagen ▲[LOCALHOODについて]:Wonderful Copenhagen](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/5855/main_71eed1e2127b7df4dc2e74dd837fbcd6.png?auto=format)
同サイトには、「LOCALHOOD」についての思いが書かれています。
以下2点が特に大切なポイントです。
- 現地住民と旅行者は単なる「共存者」としてではなく、「共栄者」として経験をシェアしていくことを目指す
- これからの新しい観光業の始まりとして「LOCALHOOD」の精神をもち、市場や地域の「現在・未来のステークホルダー」たちが責任をもち、業界を成長させていく
今までの観光業に敬意を称しながらも、新たなカタチの観光業を「旅行者」と共に作ろうとしていることがわかります。
今までとは「ひと味違う」これからの5つの観光テーマ
コペンハーゲン観光組織は、新戦略にあわせて「5つのテーマ」も発表しました。
1. Shareability is king(共有こそすべて)
Shareableの造語でもある「Shareability」は、「共有できる状態になっていること」の意味です。共有先は、インターネットを利用したサービスが想定されています。
いまだかつてないほどにSNSはじめとしたソーシャルメディアの活用が進み、その重要性が増してきています。
コペンハーゲンも一つの都市として、多くのインバウンドがSNS等で情報を共有しやすいよう努力すると宣言しました。
2. Once attracted, twice valued(一度のみならず二度目も)
観光資源の限られているコペンハーゲンが目指す、効率化の形です。
もっと旅を楽しんでもらい、長く滞在してもらいたい、そんな目標のもとコペンハーゲンはインバウンドのインサイトを分析し、観光におけるウィークポイントをあぶり出す努力を惜しまない姿勢を打ち出しています。
旅行者の満足度を高めるだけでなく、再度訪れたくなる気持ちにさせないといけません。そんな「Re-visit(再訪)」を重視するとしています。
3. Tomorrow’s business today(成長市場からの誘引)
世界中で「海外旅行」が促進されている中、コペンハーゲンも魅力のある訪問都市として位置付いていなければならないと考え、特に経済成長目まぐるしい国からのインバウンド誘致を目指すとしています。
4. Co-innovation at heart(共創も忘れずに)
共有されたアイディアや、共存・共栄の時間の中から「WIN-WIN」のビジネスのチャンスが訪れることもあります。
新しい企業やスタートアップの誘致も積極的に行い、デンマークのビジネス目標も効率よく達成させられるようにと考えています。
5. People-based growth(皆がハッピーになる繁栄を)
観光は、デンマークを訪れるインバウンドの数が増えれば「成功」という訳ではありません。
インバウンドを含む旅行者が体験するその「場・雰囲気」を作っているのは居住者です。
こうした人々が幸せでいなければ、観光業の発展はその意義を半分失っているといえるでしょう。
コペンハーゲンの観光目標は、片一方に寄らない「WIN-WIN」のカタチを目指しています。
まとめ
「LOCALHOOD」というキーワードに基づくコペンハーゲンの観光戦略は、観光地を作り出すのではなく「現地の生活者も含むそのままの姿」を観光資源と捉えたものです。
さらに、その魅力を向上させるこんなニュースも先日流れてきました。

Twitter:コペンハーゲンで無料の果物狩りが楽しめるようになることを伝える投稿(https://twitter.com/DenmarkinCanada/status/1225505013545492481)
このニュースでは、コペンハーゲンの公共の場でのフルーツ狩りを「合法化」する意向であることが伝えられています。
自身で摘んだものに限りますが、もちろん無料です。
この計画が実行された暁には、旅行者も「コペンハーゲンらしさ」をより体験できる様になり、「LOCALHOOD」のコンセプトに基づいた観光環境が作られていくはずです。
このような大きな流れは往々にして個人や一企業の力で作り出すことは難しい場合も多いですが、今回ご紹介の内容は、公的機関の協力があればより魅力的なコンテンツやブランディングができるという好例ともいえます。
新たに観光地を「作る」のではなくそのままの自分を売りにしたコペンハーゲンの独自の視点を学び、今後のインバウンド戦略に役立てていくべきでしょう。
<参照資料>
Wonderful Copenhagen:The End Of Tourism
ECOZZERIA:【Inside/Outside】観光の終焉を宣言したコペンハーゲンの歩き方
The Local:Why you'll soon be able to pick fruit for free in Copenhagen
東京都:「東京都の人口(推計)」の概要(平成30年8月1日現在)
【Next Food Vision 2025】食の最新トレンドを発信〜大型オンラインイベント〜
外食店舗、支援サービス、業界のトップ企業が集結!
さらに、有名飲食店や外食産業を牽引する企業による特別基調講演も開催。
成功企業のリアルな戦略や、これからの外食業界を生き抜くヒントがここに詰まっています!
最新のトレンドを知り、トップ企業の成功ノウハウを学びたい方、
業界の最前線で活躍する企業とつながり、新たなビジネスチャンスを掴みたい方にぴったりのイベントです。
今こそ、業界の未来を共に創る一歩を踏み出しませんか?
<本セミナーのポイント>
- 外食業界を支える最新サービス&ソリューションの紹介
- 外食業界の最新トレンド&成功ノウハウが手に入る
- 有名飲食店&業界を牽引する企業の基調講演
詳しくはこちらをご覧ください。
→【Next Food Vision 2025】食の最新トレンドを発信〜大型オンラインイベント〜
【インバウンド情報まとめ 2025年3月後編】2月の訪日外客数300万人超え / 海外で売れる日本のアニメ商品ランキング ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に3月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→2月の訪日外客数300万人超え / 海外で売れる日本のアニメ商品ランキングほか:インバウンド情報まとめ【2025年3月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!