福島県のホストタウン | オリンピックを通じて復興をアピール

公開日:2020年03月26日

今年開催が予定されていた東京オリンピック・パラリンピックは、3月24日に延期が決定し、来年を目処に開催されることとなりました。

東京オリンピック・パラリンピックは、東日本大震災で被災した地域にとっても大変重要な役割を担っています。2011年の大震災後、被災地がどのように復興を遂げてきたのか、世界にアピールする絶好の機会となるためです。

そのため、自治体だけではなく国を上げて様々な復興アピールの施策やプロモーションが進められています。本記事では主に福島県で取り組んでいる内容を解説します。

福島県のホストタウンはどこ?

内閣官房は、東京オリンピック・パラリンピックを機に国内の各地域が海外と交流し地域活性化や観光復興を推進するためにホストタウンという制度を設けています。この制度に登録することで自治体は国から交流のための財政支援を得ることができます

ホストタウンの中には、東日本大震災で被災した三県(岩手県、宮城県、福島県)を対象とした復興「ありがとう」ホストタウンがあり、復興を支えてくれた国へ復興した姿を見せ、更に親交を深めることを目的としています。

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ホストタウン事業とは

ホストタウンとは、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、地域活性化や観光復興の観点から、参加国と地域の住人などがスポーツ、文化、経済を通じて交流を図る自治体を内閣官房が認証する制度です。認証された自治体は交流のための財政支援(特別交付税措置)を受けられます。

復興「ありがとう」ホストタウン

東日本大震災で被災の被災三県(岩手県、宮城県、福島県)には、復興「ありがとう」ホストタウンと呼ばれる制度があります。

この制度は、これまでに復興支援をしてくれた国に対して復興の姿を見せつつ、住民との交流を実施する自治体を認証するものです。通常のホストタウン同様、認証された自治体は国の支援を受けながら、復興プロセスの発信や交流を図っていきます。

先導的共生社会ホストタウン 

共生社会ホストタウンとは、障害のある海外の選手との交流を契機に、特に先進的なユニバーサルデザインの街づくりや心のバリアフリーの実現にむけた取り組みをしている自治体が認定されるものです。

また、パラリンピック出場選手・出場経験選手と地元住民が触れ合うことで、地域のパラリンピックに向けた機運を醸成することも目的としています。

福島県のホストタウンは?

現在、ホストタウンとして登録されている地域は405件、復興「ありがとう」ホストタウンとして登録されている地域は27件あります。福島県は9カ所がホストタウンとして、10カ所が復興ありがとうホストタウンとして、1カ所が共生社会ホストタウンとして登録されています。

首相官邸の公式ウェブサイトでは、ホストタウン並びに復興「ありがとう」ホストタウンの一覧が公開されています。一覧表では、各自治体がどの国を交流の相手国として選び、どのような関係性を持っているのか、どのような交流を図っていきたいのかなどが確認できます。

ホストタウン

  • 福島市:スイス、ベトナム
  • 会津若松市:タイ
  • 郡山市:オランダ、ハンガリー
  • いわき市:サモア
  • 田村市:ネパール
  • 大玉村:ペルー
  • 南会津町:アルメニア
  • 猪苗代町:ガーナ
  • 二本松市:デンマーク

【復興「ありがとう」ホストタウン

  • 喜多方市:アメリカ
  • 二本松市:クウェート
  • 南相馬市:ジブチ、台湾、米国、韓国
  • 伊達市:ガイアナ共和国
  • 本宮市:イギリス
  • 北塩原村:台湾
  • 楢葉町・広野町・川俣町:アルゼンチン
  • 飯舘村:ラオス

【先導的共生社会ホストタウン

  • 福島市:スイス

ホストタウンの取り組みを紹介

ホストタウンとして決まった地域は積極的に相手国との交流イベントを開催しています。イベントを実施することで地域住民にホストタウンであることを知ってもらい、オリンピック期間中に住民が積極的に来日中の選手や関係者と交流できる雰囲気づくりを目指しています

ホストタウンフェスティバルinふくしま

福島市は2019年11月4日にホストタウンとしての交流相手国であるスイスとベトナムを地域住民に知ってもらうために「2019ホストタウンフェスティバルinふくしま」を開催しました。

このイベントでは、ベトナムの民族衣装のファッションショーやスイスのつるし雛作り体験、音楽演奏やグルメなど、それぞれの国の文化や食事が体験できるブースが用意され、子どもから大人までたくさんの住民が来場し、賑わいを見せました。

ブラインドサッカー・復興ありがとうホストタウンサミット in Jヴィレッジ

2019年11月4日、福島県双葉郡楢葉町にあるサッカーのナショナルトレーニングセンターであるJヴィレッジにて、「復興ありがとうホストタウンサミット in Jヴィレッジ」が開催されました。

このイベントはJヴィレッジで行われたブラインドサッカーアルゼンチン代表と日本代表の親善試合を機に実施され、選手と地域住民の交流を目的としたコンテンツが企画されました。

例えば、こども園では園児とアルゼンチン代表が交流をしたり、木戸川漁協で木戸川の鮭を使った料理やマミーすいとんをアルゼンチン選手へ振る舞ったりして、文化交流が行われました。

「復興オリンピック・パラリンピック」という位置付け

東京オリンピック・パラリンピックは、復興オリンピック・パラリンピックとして位置づけられています。そのため、オリンピック・パラリンピックの運営に関する基本方針以外に、各関係府省が東日本大震災被災地の復興を後押しする施策を掲げています。こちらでは、観光庁、農林水産省、経済産業省の施策の一部を紹介します。

被災地へのインバウンド等の促進

観光庁は東北観光復興対策交付金を活用し、2020年は東北の外国人宿泊数を150万人泊とする目標を掲げていました。具体的な交付金活用方法としては、地方公共団体が実施する滞在コンテンツを充実させ、日本政府観光局(JNTO)による海外市場向けの東北プロモーションを強化することが挙げられます。

特に福島県においては、風評被害対策や教育旅行の再生など、震災復興に関する観光事業への支援を実施し、福島県への誘客に重点的に取り組むことが決定しています。

被災地の食材などの活用と風評の払拭

農林水産省は被災地の食材が受けている風評被害を払拭するために、各県と連携して被災産食品の販売フェアを実施したり、GAP認証農産物のプロモーションを都内アンテナショップで行ったりして、安全性とおいしさを積極的に発信していくことを掲げています。また、輸出国には被災地食材の安全性の科学的根拠を示し、輸入規制の撤廃や緩和を目指しています。

被災地の産業支援

経済産業省は東北地方の地場産品や地域資源の海外発信を強化し、インバウンドを含めた需要に繋げる取り組みの実施を掲げています。

2018年には福島県でRegional Business Conferenc(RBC)を開催し、海外の医療機器関連企業を11社招いてビジネスマッチングを実施しました。また、2019年には防災ICT技術をテーマにしたRBCを開催しており、今後も東北地方の産業を盛り上げる活動を続けていきます。

福島県では、オリンピック・パラリンピックで使う水素の製造に取り組んでおり、日本の質の高い水素・燃料電池技術や福島の復興を世界にアピールする取り組みも進められています。

オリンピックに向け復興も進む福島

東日本大震災によってネガティブなイメージがついた福島県は、東京オリンピック・パラリンピックを最大限活用して、復興した姿と安全性の発信に注力しています。

東京オリンピック・パラリンピックは来年夏ごろまでを目処に延期が決定されました。来年は、これまでに各自治体や官公庁が協力し合いながら進めてきた施策が、どのような影響を世界に与えられたか実感できる注目の年となりそうです。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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