棚札をデジタル化した電子ペーパー「電子棚札」は、電子棚札は業務効率化や人手不足の対策として小売業界で導入が進んでいます。
実はこの電子棚札は多言語対応が可能であり、訪日外国人観光客への対応の手助けとなる側面も持ち合わせています。
今回は、電子棚札を使用したインバウンド対策について解説します。
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電子棚札とは
電子棚札は商品棚につける棚札をデジタル化した電子ペーパーです。
小売業界で導入が進んでいる電子棚札をどのようにインバウンド対応に使用するのか、気を付けるべきポイントについても解説します。
電子棚札の概要
電子棚札は店頭の商品棚に貼られる棚札(値札)に価格や関連情報などを表示し、一括で瞬時に正確に価格表示を変更できる電子ペーパーです。Electronic Shelf Label「ESL」とも呼ばれています。
かつては液晶タイプなどが主流でしたが、近年技術革新が進んだことにより、電子ペーパータイプの電子棚札が開発されました。
電子棚札はPOSや基幹データなどと連動し、表示価格を一括で変更することができることから「ダイナミックプライシング」に対応できるため、売り上げ増加に影響を与えています。
特徴・メリットは?
電子棚札の最大の特徴は、従来の紙製の値札と比較すると、柔軟に価格を変更できる点にあります。
棚札の金額変更が間に合わなかった際に生じる価格のアンマッチの削減や棚札の入れ替え漏れによるエラーの削減、店頭の消費者に対して戦略的な価格変更を即座に行える「ダイナミックプライシング」が可能です。
人の手で貼り替える必要がない電子棚札は、省人化もできます。昨今政府が推し進める「働き方改革」による労働時間の短縮や人手不足の問題解消にも一役買っています。
また電子棚札はPOSを介して棚札を変更できるため、競合調査結果に基づく価格の変更をすぐに行えます。実店舗とWEBサイトの価格を同期させたり、実店舗で見た商品をWEBサイトで購入し、配達の手配をすることも可能なため、WEB販売への対策にも利用可能です。
そして、賞味期限が迫った食材の価格を在庫状況に応じて一括で変更できるため、フードロスの削減に有効な手段でもあります。
インバウンド対策としての電子棚札
業務効率化に力を発揮する電子棚札は、企業のインバウンド対策においてどのような効果をもたらすのでしょうか。
電子棚札を使用したインバウンド対策がなぜ効果的なのかについて紹介します。
電子棚札を導入するとなぜインバウンド対策に効果がある?
電子棚札は、棚札にQRコードを掲示しスマートフォンでかざすことで商品の情報を多言語で表示できるため、インバウンド対策に効果的です。
また、各商品に電子棚札を設置することで、消費者がオフラインからオンラインへ接続しやすくなるという効果もあります。
消費者が電子棚札に表示されたQRコードをスマホで読み取ると、消費者はその商品のWebサイトへアクセスできます。商品の外国語Webサイトも用意しておくことで、インバウンド対策を容易に行うことが可能です。
多言語表記のメリット
情報を多言語で表記することのメリットは他にもあります。多言語対応をすることで、訪日外国人観光客に「日本は旅行しやすかった」というプラスのイメージを持ってもらうことができます。
また、誰しも商品やサービス内容がよくわからないものに対しては購買意欲が湧きづらいものです。しかし、多言語対応をすることで商品の詳細を伝えられるため、消費の拡大が期待できるというメリットがあります。
そしてトイレや免税カウンターなどの場所を多言語表記することで、質問に何度も応える手間を省くこともでき、スムーズな対応が可能になります。
訪日外国人の困りごと
JTBが行った「訪日旅行重点15カ国調査」の2019年度の結果において、「日本滞在中に困ったこと」に関するランキングが発表されました。 ランキング内で、一際目立った項目があります。それは「言葉が通じず従業員との意思疎通に困った」という項目で、調査対象である15の国・地域のうち、13の国・地域で困ったことの1位にランクインしました。
調査結果からは多くの訪日外国人観光客が旅行中のさまざまな場面で、日本人従業員とのコミュニケーションに不便さを感じていることがわかります。
在住外国人の悩み1位「言葉の不自由」。9割以上が「日本語学びたい」と回答: 横浜市外国人意識調査
目次多言語表記で生活意識やニーズを調査暮らしに満足するも、困るのは言葉の不自由さ多言語表記で生活意識やニーズを調査横浜市は、3月31日、満20歳以上の市内在住外国人を対象に行った「横浜市外国人意識調査」の結果を発表しました。なお、同調査の調査期間は、昨年11月~12月。郵送によるアンケート方式で、調査票は日本語、英語、中国語、韓国語、ベトナム語、ネパール語の6言語を表記し、1,764件(回収率35.3%)を回収しました。横浜市外国人意識調査暮らしに満足するも、困るのは言葉の不自由さ調査結果...
多言語表記で注意すべきこと
インバウンド対策において多言語表記を導入する場合、対応言語の選定の必要や注意すべき点があります。
インバウンド対策には、英語以外に訪日観光客が多い国の言語に対応する必要があります。どの言語に対応するべきか、また表記上で気を付けたいことについて解説します。
対応すべき言語
日本政府観光局(JNTO)が発表した2017年上期の訪日外国人数では中国人が最も多く、次いで韓国、台湾、香港とアジア圏が占めています。
世界最大の人口と英語話者を上回る母語話者を誇る中国語圏の言語への対応は優先すべきといえます。また、中国語は中国本土やシンガポールなどで使用される「簡体字」と香港、台湾、マカオなどで用いられる「繁体字」があることにも留意すべきです。
加えて、韓国は中国に次いで訪日外国人数が多いことから、韓国語にも対応しておくことが望ましいでしょう。
また、タイ語も対応しておきたい言語の一つです。親日国であるタイからの訪日観光客が増えており、今後の需要の増加が見込まれています。タイでは英語が使える割合が低いため、タイ人に対応するべくタイ語の表記も必要となってくるでしょう。
表記の揺れや翻訳ミス
外国語表記をした場合、表記の揺れや翻訳ミスに気を付けなければなりません。
以前のJR新宿駅の「新南出口」には、同じ場所を示しているにも関わらず「New South Exit」「Shin South Gate」「Shin-Minami Entrance」という3つの表記がありました。
このような表記の揺れは外国語の表記を目印に目的地を目指している訪日外国人観光客にとって、道に迷ってしまう原因となってしまいます。
2020年3月現在は、JR東日本のサイトでは「新南出口」を「新南改札」「New South Gate」に統一しています。
機械を使って簡単に翻訳ができますが、その場合は翻訳ミスがないかその言語に詳しい人に確認してもらうなどしましょう。チェックを徹底することで、ミスを減らすことができます。
電子棚札導入でインバウンド対策も可能に
電子棚札の導入は働き方改革や人手不足に関する問題解決と同時に、訪日外国人観光客への対応や消費の促進にも有効な手段です。
多言語対応における言語の選定や翻訳ミスに気をつけながら上手く電子棚札を使いこなせるかどうかが、電子棚札導入におけるインバウンド対策成功の鍵となるでしょう。
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