新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、特に医療機関への負担が深刻化しています。医療機関の負担を軽減するべく、大阪府とサイボウズ株式会社が連携して「新型コロナウイルス対応状況管理システム」の提供を開始しました。
さらにサイボウズ株式会社は、兵庫県加古川市と提携した「市内飲食店の支援サービス」を開発しました。
この記事では、地方自治体と企業が協力して新型コロナウイルスに対策する事例についてご紹介します。
「新型コロナウイルス対応状況管理システム」とは
サイボウズ株式会社は大阪府と提携し、新型コロナウイルスへ対応するシステムを開発しました。それがKintone(キントーン)を活用した新型コロナウイルス感染症患者の状態確認を行う「新型コロナウイルス対応状況管理システム」です。
Kintoneとは、サイボウズ株式会社が提供する業務アプリのプラットフォームです。業務内容に合わせてカスタマイズ ができるアプリサービスで、社内業務の効率化をはかるシステムです。
大阪府とサイボウズ株式会社は、「新型コロナウイルス対応状況管理システム」を運用することで、新型コロナウイルス感染症患者のモデリングを円滑に行い、テンプレート化をする方針です。
そうすることで同様の問題を抱えている各自治体から要望があった場合、テンプレートを提供しスムーズな医療体制を全国に広げることを目指しています。
「新型コロナウイルス対応状況管理システム」はなぜ生まれたのか
「新型コロナウイルス対応状況管理システム」は、医療現場からヒアリングし、そこから開発したシステムです。
新型コロナウイルス感染症患者に対して、これまでは各自治体の保健所職員が各患者に個別に電話をかけ、聞き取り調査を行いながら容態の確認をおこなっていました。この方法では患者数の増加に伴い、聞き取りや入力業務が増加してしまいます。
通常の業務に加え、保健所職員や医療従事者は確立していない新型コロナウイルスの対応に試行錯誤しながら、細心の注意を払って患者と対峙しています。そのような状況の関係者の負担を減らすために「新型コロナウイルス対応状況管理システム」が誕生しました。
患者自身が健康状態を入力し、送信された情報はKintoneのデータベースに自動で蓄積されるため、集計業務の手間を削減することも可能です。その結果、アナログで行っていた業務が無くなり、大幅な業務改善が実現されます。
「新型コロナウイルス対応状況管理システム」の内容
「新型コロナウイルス対応状況管理システム」はITの知識が無い人でも使いやすく、分かりやすさを重視したシステムで患者自身が健康状態を入力します。
記入内容は現在の体温や咳の状態、睡眠情報などで、医療機関が必要な情報が一目で分かるようなシステムになります。
![▲[「新型コロナウイルス対応状況管理システム」の概要図]:サイボウズ株式会社 ▲[「新型コロナウイルス対応状況管理システム」の概要図]:サイボウズ株式会社](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/6353/main_90d528ec93ca1bfb0f25dc3e23720752.png?auto=format)
医療従事者の側では「患者リスト」「健康観察データ」「医療機関リスト(病床数管理)」「療養施設リスト」「医療機関リスト(基本情報)」の項目が用意され、各項目ごとに細かい情報取集が可能となりました。
患者リストには、年齢、性別、現在の症状も記入することが可能です。入院医療機関もマスターデータと提携しているので、患者リストから医療機関も選択できます。
患者データと、健康観察データはすぐにリンクされおり、過去の履歴なども見ることができるので症状の推移も分かるようになります。
このように、効率的に情報収拾、情報共有ができるため、大阪府から日本全国に広まることが期待されています。
「市内飲食店の支援サービス」誕生
サイボウズ株式会社と兵庫県加古川市は、トヨクモ株式会社と株式会社フューチャーリンクネットワークと共同で、市内飲食店のテイクアウト情報を一覧でまとめた「オープンデータカタログサイト」を作成しました。
この施策は新型コロナウイルス感染症の影響で大打撃を受けた外食産業を盛り上げるため、新型コロナウイルス感染症の影響で、テイクアウト始めた飲食店の活動をたくさんの人に広めるための施策です。
![▲[「市内飲食店の支援サービス」の概要図]:サイボウズ株式会社 ▲[「市内飲食店の支援サービス」の概要図]:サイボウズ株式会社](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/6354/main_2566b704191d193368a49d016c21db56.png?auto=format)
トヨクモ株式会社のFormBrige(フォームブリッジ)から各事業者が必要な情報を入力します。送信されたデータはKintoneに送られ、株式会社フューチャーリンクネットワークによってオープンデータ化され行政情報ダッシュボード上に自動で反映されます。
このように、行政とIT企業が共に組むことで、新型コロナウイルス感染症の対策がスピーディーに実現されています。
まとめ
新型コロナウイルスの流行により観光業や飲食業、医療などへの影響が大きく、それらの業界を支援しようと様々な取り組みがされています。
政府が支援する、民間が新規事業やサービスを立ち上げるだけでなく、官民一体となった連携が生まれています。
民間が持っている新しい技術を政府が活用しスピーディーにサービスを構築し、政府が保有しているデータやプラットフォームを民間が活用することで幅広く支援の手が差し伸べられます。
今回ご紹介した支援サービスはごく一部で、今後も様々なサービスやツールが誕生するでしょう。今回は国内に関する支援サービスの紹介でしたが、インバウンド業界でも応用できる可能性がありますし、インバウンド業界を支援するための新しいサービスやツールが開発されるかもしれません。
新しいサービスやツールに注目し、今後の事業のあり方を考える機会でもあります。他業種、同業者と協力する中で、柔軟な発想と、スピード感のある実行力という、新型コロナウイルスの感染状況とは無関係に重要な競争力も高められるのではないでしょうか。
<参照>
サイボウズ株式会社:大阪府と連携し新型コロナウイルス対応状況管理システムを作成、全国自治体へのテンプレート提供を開始
サイボウズ株式会社:兵庫県加古川市のオープンデータによる事業者支援にkintoneを活用