4月6日に、JNTO(日本政府観光局)が最新の観光プロモーションスケジュールを公開しました。
昨年から世界中で猛威をふるっている新型コロナウイルスの影響によって、インバウンド業界全体は今大きな打撃を受けています。しかし、そういった状況にあってもアフターコロナを見据え、インバウンド業界の大きな動向を把握しておくことは、非常に重要です。
今回は、東アジア各国を対象としたJNTOのプロモーションスケジュールを紹介します。インバウンド業界の「反転攻勢」とすべく、JNTOのインバウンド拡大に向けた施策とその意図について把握しましょう。
※この訪日プロモーションスケジュールは、JNTOにより2020年4月6日に公開されたものです。今後、新型コロナウイルスの状況によって変更される可能性があります。
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中国市場の訪日プロモーションスケジュール
中国は、訪日外国人に占める割合が最も多い国です。新型コロナウイルスの影響により訪日中国人は激減しましたが、今後も日本のインバウンドの中核を担う存在となるでしょう。
まずは、中国市場への訪日プロモーションの要点、ターゲットやタイミングについて解説します。
プロモーションスケジュールの要点
中国向けの訪日プロモーションでおさえておきたいのは、以下の四点です。
一つ目が、冬季スポーツに特化した展示会であるWWSE(World Winter Sports Expo)、スノー商談会です。これらのイベントは夏ごろから開催される見込みです。中国に向けて、数か月後に控えた日本のウインターシーズンを売り出していきたいというJNTOの狙いがうかがえます。
二つ目が、7月から年度末にかけて計画されている「深度遊」キャンペーンです。
深度遊は、人々の観光旅行の志向性を示す比較的新しい概念です。 自分に見合った時間と体力で、目的地の自然や芸術品を堪能することを意味します。この深度遊の風潮が高まった背景には、中国人観光客の「文化」への関心がこれまで以上に高まっていたことがあるとされており、旅先であるからこそ得られるその土地ならではの学び、体験が重視される傾向がさらに強まっています。
この「深度遊」キャンペーンのように、JNTOでは訪日回数を重ね、日本の文化に触れることに関心を持つようになったリピーターを意識した施策を、年間を通じて実施する見通しとなっています。
三つ目が、9月から10月の国慶節の時期に本格的に開催される見込みの各種展覧会です。富裕旅行、教育旅行といったターゲットを絞ったメディア招請を行っています。
四つ目が、11月15日から17日までの3日間開催が予定されているCITM(中国国際旅游交易会)です。中国最大級の旅行博覧会であり、現地の関心も集まることになるでしょう。
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プロモーションのターゲットとタイミングは?
日本のウィンターシーズンを売り込むことが予想される展覧会や商談会は、夏から開催される予定となっています。ウインターシーズンに関わるインバウンド事業者は、夏ごろから情報の発信を始めることで、「旅マエ」期間のプロモーションの効果を発揮できるでしょう。
「深度遊」キャンペーンは、年間を通じて行われる見通しです。従来のモノ消費のようなアプローチだけでなく、日本の文化や歴史に関心を持つ訪日中国人に対する観光コンテンツの磨き上げも必要になってくるでしょう。
11月に開催予定の中国最大級の旅行博覧会であるCITMは、昨年は出展の申込期限が8月末でした。出展を検討する場合は、スケジュールの把握を行い、速やかに準備を進めることが肝要です。
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韓国市場 訪日プロモーションスケジュール
次に、昨年7月までは訪日外国人観光客が二番目に多かった韓国の市場に対する訪日プロモーションの要点、ターゲットやタイミングを紹介します。
プロモーションスケジュールの要点
韓国向けの訪日プロモーションにおいておさえておきたいのは、BtoB(事業者)向けとBtoC(一般消費者)向けの次の二つの動向です。
BtoB向けには、5月末にソウルで国際観光産業博覧会、6月の初めに市場説明会・商談会がいち早く開催されます。国際観光産業博覧会は、50か国以上が参加し、10万人以上が来場する大規模な博覧会となっています。
BtoC向けには、9月に釜山国際観光展や日韓交流まつりが予定されています。釜山国際観光展では、旅行商品、食などの展示が多く集まるほか、商談会も開催されます。また、日韓交流まつりでは、文化や食を通じた交流が企画されています。
プロモーションのターゲットとタイミングは?
5月末に開催される予定の国際観光産業博覧会については、すでに4月末日に出展募集を締め切っています。そのため、9月中旬に開催される釜山国際観光展、日韓交流おまつりを目指して、これらのイベントの前後を「旅マエ」期間と位置づけたプロモーションを進めるのが理想的です。文化や食に焦点を当てたプロモーションを行うと、なおよいでしょう。
釜山国際観光展、日韓交流おまつりは、例年7月ごろが出展の締め切りとなっています。これらのイベントへの出展を考えている場合は、締め切りに注意をはらい、事前に観光コンテンツを準備しておくのが無難でしょう。
台湾市場の訪日プロモーションスケジュール
台湾では、北部、中部、南部のそれぞれの地域に対して、プロモーションを行うことが予定されています。こちらでは、台湾市場に向けた訪日プロモーションの要点、ターゲットやタイミングについて紹介します。
プロモーションスケジュールの要点
BtoC向けに7月から10月ごろまでグリーンシーズン、11月から3月ごろまでウインターシーズンのプロモーションを展開する予定となっています。
加えて、7月から年度末まで東北エリアの広告宣伝を行う計画がされており、11月ごろには日本東北遊楽日イベントが開催される見通しです。
東北地方は復興を目指し、以前から台湾市場に対するプロモーションを行ってきました。過去に、東日本大震災を受けて巨額の義援金が台湾から東北地方に贈られたことも関係しているようです。
そして、児童、生徒や教職員が学校教育の一環として行う訪日教育旅行については、6月に現地説明会、10月に交流会が控えています。
観光庁が新たなターゲット層として掲げる「訪日教育旅行者」とは? 日本の学生への教育的な効果も
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プロモーションのターゲットとタイミングは?
台湾は、訪日教育旅行の訪問者が最も多いです。 地方自治体関係者等は、訪日教育旅行のイベントがある6月と10月に向けて、プロモーションの準備をすることが重要となるでしょう。
7月から8月の間に、台北で行われるTTE(2020台北国際観光博覧会)、台中で実施されるATTA(2020台中国際旅展)、台湾南部の高雄で開催される予定のKTF(2020高雄市旅行公会国際旅展)への出展が計画されています。
訪日プロモーションが活発となるこの時期には、訪日旅行への意識が向くことが予想されるため、このタイミングで旅マエの台湾人に情報を発信するのは効果的です。
とりわけATTAとKTFは、春から夏にかけての旅行商品を求める一般消費者が多く集まるため、BtoC向けの対策を入念に練ることがカギとなります。
7月から始動する東北エリアの広告宣伝を継続的に行う計画については、東北エリアが訪日台湾人向けの環境整備や接客の工夫、観光コンテンツの磨きあげを行うことで、より良質なリピーターを確保できるようになるでしょう。
香港市場の訪日プロモーションスケジュール
最後に、香港市場に向けた訪日プロモーションの要点、ターゲットやタイミングについて紹介します。
プロモーションスケジュールの要点
BtoB向けには旅行会社との共同広告に加え、航空会社やOTAとの共同キャンペーンが予定されています。
BtoC向けには6月から9月末にかけて、若年層、ウェディング等をターゲットとした情報発信が活発になります。
そして、7月15日から21日までの7日間にわたって、香港ブックフェアという来場者が100万人を超える大規模なイベントが開催されます。
プロモーションのターゲットとタイミングは?
香港のインバウンド婚需要に対する備えを進めていく必要があります。その背景には、香港や台湾では海外で結婚式を挙げるリーガルウエディングの人気が高まっていることが関係しています。
特に式を挙げる場所として人気の高い沖縄は、6月から9月にかけて、香港市場向けのマーケティングや受け入れ体制の整備を進めておくことが重要です。
7月15日から21日の間には、来場者が100万人を超える大規模イベントである香港ブックフェアが開催される予定です。香港の人口はおよそ750万人であることからも、香港ブックフェアの規模の大きさが分かります。この機会を活かしたプロモーションを展開することで、より多くの顧客を確保することが可能となるでしょう。
実際に香港ブックフェアにおいて、日本のガイドブックを買う旅マエの旅行者に向けた、文化面でのプロモーションをする自治体も存在します。日本旅行への関心が高まるこの時期に情報発信をすることは有効と考えられます。 企業だけでなく、インバウンドに今後注力していきたい自治体も夏に照準を合わせ、情報発信を今のうちから進めておきましょう。
アフターコロナに向けた適切なタイミングでのPR活動を
今回公開されたJNTOの訪日プロモーションスケジュールによって、市場ごとの展覧会やイベントの開催予定時期が明らかになりました。
また、WEBやSNSを通じた訪日プロモーションは各国の市場に共通して時期を問わず年間を通じて行われることもわかります。展覧会やイベントの開催時期によって外国人の日本に対する注目度が高まるタイミングはあるものの、WEBでの旅マエの情報発信は絶えずしておくことが望ましいでしょう。
市場ごとのスケジュールに目を移すと、中国はウインターシーズンの関心が高く、韓国では商談や文化交流のイベントが目立ちます。台湾は東北エリアのプロモーションと訪日教育旅行に高い需要が見込めるうえ、香港はリーガルウエディングを日本で挙げることが人気になりつつあります。
このように、東アジアのなかでも国ごとに事情やニーズは異なるため、トレンドや特性といった情報を個別に把握し、その情報を反映したプロモーションを実行することが求められます。
アフターコロナに向けて、各国の市場を対象とした訪日プロモーションの現状を把握すると同時に、東アジア市場の関係者が日本に一堂に会するVJTM(VISIT JAPAN トラベル&MICE マート)、VJTM-EAST ASIAといった大規模商談会の開催スケジュールについても把握しておくべきでしょう。
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