【柔道×インバウンド】スポーツ庁が推進する「武道ツーリズム」とは?・知っておきたい「武道」と「BUDO」・先行事例を紹介

公開日:2020年05月15日

スポーツ庁が中国、韓国、台湾をはじめとする7カ国の外国人を対象に、2017年に実施した「スポーツツーリズムに関する海外マーケティング調査」によると、外国人が日本で観たいスポーツとしてもっとも多く挙げられていたのは「武道」でした。

武道とは道徳心の向上や人間形成を目的とした武技の鍛錬を指し、柔道、剣道、空手などが武道に含まれます。

スポーツ庁は武道と地域の観光資源の組み合わせに注目した「武道ツーリズム」と呼ばれる観光のあり方を提案し、推進活動を進めています。

本記事では、武道のなかでも外国人の人気が高い柔道の概要や、武道ツーリズムのビジョン、そして武道ツーリズムを取り入れたインバウンド誘致の事例を紹介します。


柔道は外国人観光客から人気

柔術をもとにした武道である柔道はオリンピック競技にも採用されており、アジアやヨーロッパ圏の競技人口も多いスポーツです。

この項目では、柔道の定義やその歴史と、外国人からの人気が高い武道について紹介します。

柔道とは

柔道とは「柔術」にルーツを持つ武道で、柔術とは投げる、抑える、絞める、打つ、蹴るなどの技を使って相手を制する武術のことを指します。

もともと相手を制することを目的にしていた柔術を、身体と精神を磨き、人間形成を目指す目的に昇華させたものが「柔道」です。

国際柔道連盟の規約の序文によると、柔道がはじめられたのは1882年とされています。以前は柔道にもさまざまな流派がありましたが、現在は柔道というと主に「日本伝講道館柔道」のことを指します。

男子柔道は1964年東京大会から、女子柔道は1992年バルセロナ大会からオリンピック競技にも加わっており、柔道は中国、韓国をはじめとするアジア圏や、ヨーロッパ圏でも競技者がいます。

日本では体育の授業内で教えられることもあり、柔道は日本人にも外国人にも親しまれている武道といえます。

日本で観たいスポーツ1位は「武道」

2016年に日本を訪れた旅行者数がもっとも多かった上位7カ国(中国、韓国、台湾、香港、アメリカ、タイ、オーストラリア)を対象に、スポーツ庁が実施した調査によると、日本で観たいスポーツとしてもっとも多く挙げられていたのは「武道」でした。

次いで第2位には大相撲、第3位は野球、第4位にサッカー、第5位はスノースポーツが並んでいます。

武道とは柔道、剣道、空手、なぎなた、弓道といった日本の伝統的な運動文化全般を指すもので、日本人の精神を象徴し、神秘的な雰囲気をもつ武道は外国人観光客の注目を集めています。

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スポーツ庁、「武道ツーリズム」を推進する取り組み

日本の観光産業を成長させるため、スポーツ庁は「武道ツーリズム」と呼ばれる、日本のスポーツと地域の観光資源を組み合わせた観光のあり方を提案しています。

この項目では、日本におけるスポーツツーリズムの取り込みのひとつ、武道ツーリズムの概要をご紹介します。

スポーツツーリズム「アウトドアスポーツ」と「武道」に注力、PR動画も

スポーツ庁では、スポーツに関連した旅行・観光全般をさすスポーツツーリズムを推進しています。

スポーツ庁が特に力を入れているのが「アウトドアスポーツ」と「武道」を活用したスポーツツーリズムで、地域の観光資源とスポーツを組み合わせたり、日本を象徴する運動文化と旅行を組み合わせることで、観光産業の成長や地域の活性化をねらっています。

武道ツーリズムのPR動画も制作され、2018年12月に動画が公開されました。

「武道ツーリズム」推進のビジョン

「武道ツーリズム」推進のビジョンは「武道は日本発祥であるという国際的認知を高めること」「インバウンド誘致のキラーコンテンツとして武道を活用すること」「観光を通して武道ファン・競技人口を拡大させること」の3つです。

主に訪日外国人観光客をターゲットに武道を観戦したり体験できる機会を用意することで、海外に日本文化を発信していこうというねらいが含まれています。

また、この「武道ツーリズム」によって地域を活性化し、得られた収益を武道に還元することで、さらなる武道の発展をめざすねらいもあります。

「武道」と「BUDO」に分類

スポーツ庁が定義する武道ツーリズムにおける武道の概念は、漢字の「武道」とアルファベットの「BUDO」の2つに分けられます。

漢字で書かれる「武道」は修練・修行を伴う伝統的なスポーツを指し、勝敗を伴う大会等があるものが含まれます。

いっぽうアルファベットの「BUDO」は、漢字の「武道」より広い範囲のスポーツを指します。伝統的な武道に基づきつつエンターテイメント性・レクリエーション性も兼ね備えたものが「BUDO」に含まれ、例えば武芸、流鏑馬(やぶさめ)、忍者、スポーツチャンバラなどが挙げられます。

武道ツーリズムでは、伝統的な要素が強い「武道」と、カジュアルな「BUDO」両方のイメージを推進し、多くの観光客にとって親しみやすいコンテンツを作り上げていきます。

「武道ツーリズム」の事例

武道ツーリズムの取り組みには、どのような事例があるのでしょうか。この項目では、福岡県と沖縄県における武道ツーリズムの例をご紹介します。

柔道×福岡県の事例

東京オリンピックの開催を踏まえ、福岡県は2019年に「柔道ツーリズム」事業に取り組む方針を決定しました。

福岡県は国内でもとりわけ柔道が盛んに競技されている地域で、2000年シドニーオリンピック、2004年アテネオリンピックの2大会で金メダルを獲得した谷亮子さんや、1976年モントリオール大会で金メダルを獲得した二宮和弘さんなど著名な柔道選手を輩出しています。

柔道ツーリズムでは日本文化に関心の高いインバウンド客を対象に、道場での柔道体験や合宿、試合観戦を組み合わせたプログラムを想定しており、2019年にモデルツアーを実施した上で本格的な運用を目指しています。

空手×沖縄県の事例

沖縄県では空手をテーマにした武道ツーリズムを実施しており、訪日観光客の呼び込みに成功しています。

2016年には沖縄県文化観光スポーツ部に「空手振興課」が設立され、2017年には空手発祥の地としての沖縄を発信するための施設「沖縄空手会館」が開館しました。2018年には世界中の沖縄空手の愛好家を対象にした「第一回沖縄空手国際大会」を開催するなど、例年新たな取り組みが実施されています。

2005年に「空手の日」として制定された10月25日には、毎年「空手の日 記念演武祭」と呼ばれる祭りが開催されており、会場には外国からの観光客も多く訪れています。

柔道を含めた「武道ツーリズム」でインバウンド誘客

武道ツーリズムは、武道と地域の観光資源を組み合わせることで、日本ならではのスポーツツーリズムを提供する取り組みを指します。

スポーツ庁が7ヵ国の外国人を対象に実施した調査によると、「武道」は、日本で観たいスポーツとしてもっとも多く挙げられていました。

武道には剣道、空手などをはじめとする日本の伝統的な運動文化全般が含まれますが、オリンピック競技にも登録されている柔道は世界的に競技人口が多く、外国での認知度も高いことが特徴です。

外国人にも馴染みの深い柔道を含め、さまざまな武道とツーリズムを組み合わせることにより、海外にも日本文化の魅力がより認知されていくでしょう。


<参考>

ジャパンホッパーズ:柔道

スポーツ庁:スポーツツーリズムに関する海外マーケティング調査報告書

スポーツ庁(Facebook):本日から「武道ツーリズム」の動画配信がスタート

スポーツ庁(YouTube):訪日外国人が注目! 日本でしか体験できない「武道ツーリズム」の現場をレポート

スポーツ庁:武道ツーリズムの取組について

スポーツ庁:スポーツツーリズム需要拡大のための官民連携協議会(平成30年度)(第1回) 議事要旨

時事ドットコム:福岡県、柔道ツアーで訪日客獲得を=練習、作法で日本文化体験-オリパラ2020スポーツ庁 Web広報マガジン:訪日外国人が注目! 日本でしか体験できない「武道ツーリズム」の現場をレポート

公益財団法人日本武道館:武道の理念

公益財団法人講道館:柔道とは

笹川スポーツ財団:オリンピックの歴史 - 年表・開催国・出来事など

東京オリンピック・パラリンピック準備局:柔道

国土交通省:スポーツツーリズム推進基本方針~ スポーツで旅を楽しむ国・ニッポン ~

西日本新聞ニュース:訪日客に柔道ツーリズム 「王国」福岡県が新事業 競技体験、観戦PR

JNTO:沖縄県「KARATE」をフックとした武道ツーリズムの取組み

第1回沖縄空手国際大会 公式ホームページ:大会概要

沖縄県:空手の日

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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