中国の現地調査によると、3月時点での「海外旅行で行きたい目的地」の人気度で、日本はタイに次ぎ第2位となりました。春節前には1位となっていた日本ですが、2位への転落が起こっています。
一方で、4月の別の調査によれば、日本は2位のタイを引き離して圧倒的1位となっています。
今回は、2つの調査結果と、データの活用の際に注意すべき点、新型コロナの流行収束後に向けて中国人観光客を呼び戻すためのヒントを紹介します。
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中国「コロナ回復期」人気旅行先ランキング
中国の現地調査による「旅行の目的地回復指数」などのデータが、3月11日に発表されています。同調査は、Trip.comがビッグデータプラットフォームを通じ、実施したものです。
この調査結果では、新型コロナウイルスの発生を受けダメージを受ける旅行業界の回復予測に参考となる情報が提示されています。
携程(Trip.com)CMOの孫波は「回復指数の『50』が、市場回復までの一つの区切りとなる。」と述べています。
同調査では、すでに中国国内の40の目的地で50を超えていることが伝えられています。
この調査では、「海外旅行で行きたい目的地ランキング」も数値化されています。
![▲[海外旅行で行きたい目的地ランキング]:Trip.com ▲[海外旅行で行きたい目的地ランキング]:Trip.com](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/6541/main_80c1-iqrhckn3211397.png?auto=format)
海外旅行で行きたい目的地として、指数をベースにランキングすると、1位はタイ、2位日本、3位シンガポール、4位ベトナム、5位ドバイという結果が出ています。
Trip.comが1月に発表した「2020年の春節休暇の人気旅行先ランキング」では日本が1位となっていましたが、新型コロナの流行後には僅差でタイの後塵を拝しています。
人気旅行先「1位:日本」別の調査結果も
日本インバウンドメディア・コンソーシアム(JIMC)が4月に発表した中国人の訪日旅行に対する意識調査によると、海外旅行先の人気ランキングでの結果では、日本が1位となっています。
本調査はWeChatユーザー145人を対象に実施されました。調査結果によれば、新型コロナの流行収束後の旅行について「観光産業支援のためにも積極的に旅行する」なども含めると、約8割が収束後の旅行に積極的であることがわかります。
旅行の行き先として海外を優先すると答えた人に行きたい国や地域を尋ねたところ、44%が日本を選びました。2位はタイで12%、3位が欧州で7%となっており、この調査では日本に圧倒的支持が集まっていることが読み取れます。
旅行の時期については、「中国政府や日本政府が安全宣言を出したら日本に行きたい」と回答した人が58%にのぼります。また、「1年以上行かない」は9%にとどまった一方で、「1年以内は行かない」との回答は19%を占めています。JIMCは、政府による安全宣言が訪日旅行者数復活のカギとなりそうだと分析しています。
データの読み解きでは要注意
中国の現地調査とJIMCの調査の結果の違いはどのように解釈すべきでしょうか。調査では、質問の項目や、時期はもちろんですが、回答者の属性等が結果に影響します。
どちらも「中国人の人気海外旅行先」についてのデータを扱っていますが、それぞれの結果を単純に比べることは適切ではありません。同じ回答者であっても、質問内容や回答項目が変われば、異なる傾向が見えてくることもあり得ます。
複数の調査結果を読み解く場合には、調査対象や質問内容・回答項目といった情報を把握したうえで考察を加えるべきでしょう。
まとめ:客足の戻りは国慶節?他国の動向にキャッチアップ、訪日の動機分析で誘客施策に活かす
例年、中国人観光客が最も多く日本を訪れるのは夏ですが、夏休みが予定通り確保されるのか、また渡航制限が緩和されたとしてすぐに団体の観光客が入国してくるかというと、あまり期待できない見通しです。
こうした中で、まずは10月の国慶節を見据えて、インバウンド受け入れにあたっての情報収集と、中国向けの情報発信の継続やPR施策の検討、設計に取り組むことが有効な時間の使い方となりそうです。
中国メディアでは5月15日に、タイは小規模団体旅行に限り、10月にも中国からの観光客を受け入れる方針であることを伝えました。今後の動向次第では、タイ旅行の需要が高まる可能性もあります。
インバウンド中国市場に対して日本旅行のどういった要素を全面に出して訴求すべきかについては、「目的別」の行きたい国ランキングといったデータも参考になります。例えばTrip.comの調査によれば、中国人にとって日本は「親子旅」や「買い物」について良いイメージがもたれていることが伝えられています。
別の調査によれば、他のアジア諸国と比べて、中国人はコロナ収束後に「季節を問わず日本に来たい」と考えているとの結果も出ています。この情報には、買い物は季節を問わず楽しめるという考えも影響しているかもしれません。
日中両国の新型コロナウイルスの流行状況は、今後しばらく旅行者の行動に影響を与えると考えられます。越境ECやオンラインで体験コンテンツを楽しんでもらうサービスなど、これまでと異なる購入チャネルの開設も検討すべきでしょう。
また、「日本旅行中、どのように過ごせば安全に楽しめるのか」という点について、正確な情報を発信することが、今後の誘客につながっていくでしょう。
<参照>
PRTIMES:中国人旅行者の今春節休暇は日本が人気旅行先トップに
PRTIMES:中国人最新訪日意識調査:コロナ後も中国人の訪日意欲は旺盛! 日本は「行きたい国No.1」に
網易:日本39县解除紧急状态!泰国最快在10月前后向中国游客开放!
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
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- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
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