4月訪日客99.9%減 わずか2,900人:コロナショックで統計史上最低を記録【グラフで見るインバウンド】

2020年5月20日、日本政府観光局(JNTO)は訪日外客数の2020年4月推計値を公表しました。

4月は前年同月比99.9%減と、調査対象の全22市場で外客数がほぼゼロとなるなど、訪日外客数の激減が顕著な結果となりました。

新型コロナウイルスの世界的な感染流行に伴う、海外渡航制限や外出禁止等の措置の継続が、大きな要因になったと考えられます。

4月の訪日外客数のデータとともに、各国における水際対策の最新動向をあわせて解説していきます。

▲2020年4月 訪日外客数(JNTO推計値):[JNTOプレスリリース(2020年5月20日)]
▲2020年4月 訪日外客数(JNTO推計値):[JNTOプレスリリース(2020年5月20日)]

前年同月比99.9%減!インバウンド全22市場で過去最少の数値を記録

2020年4月の訪日外客数はわずか2,900人と、前年同月の293万人から99.9%減少する結果となりました。単月の訪日外客数としては、JNTOが統計を取り始めた1964年以来、過去最少の数値です。

今回の2020年5月の公表から、メキシコ及び中東地域(イスラエル、トルコ、GCC6 か国(サウジアラビア、アラブ⾸⻑国連邦(UAE)、バーレーン、オマーン、カタール、クウェート))の推計値の公
表も開始されましたが、これらを含む調査対象の22市場全てで外客数は激減しています。

韓国、中国、台湾、インドネシア、ベトナム、アメリカ以外の地域ではすべて二桁以下であり、前代未聞の下げ幅となりました。

背景には、新型コロナウイルスの世界的な流行により、世界中で海外渡航制限や外出禁止等の厳しい措置が長期にわたり取られていることが挙げられます。

日本も水際対策をさらに強化しており、検疫の強化や査証の無効化といった措置の対象国を拡充しました。5月14日からは新たに13ヶ国が入国制限の対象に追加され、現在は計100ヶ国からの入国を制限している状況です。

東アジア:3月から続く検疫強化と査証の無効化等の影響でほぼ100%減

東アジア市場における4月の訪日外客数は、中国が200人(前年同月比100%減)という結果になりました。香港もわずか10人(同100%減)を記録するのみで、ほぼゼロに近い数値といえます。

前年同月比99.9%減となった台湾と韓国も、それぞれ300人のみの外客数です。

3月以降の日本における検疫強化と査証の無効化の対象となったことが、引き続き大きく影響していることがうかがえます。

東南アジア・インド・中東:厳しい水際対策により、外客数が100人以下の市場も多数

東南アジア・インド市場では、全ての国が前年同月比でほぼ100%減となり、4月の訪日外客数はタイ30人、シンガポール10人未満、マレーシア20人、インドネシア100人、フィリピン50人、ベトナム200人、インド30人、中東地域20人という結果でした。

タイとシンガポール・マレーシア・フィリピン・インドは、3月初旬から中旬にかけて自国内で不要不急の渡航自粛要請や渡航中止勧告、出国禁止措置、都市封鎖といった非常に厳しい水際対策が取られたことから、4月の外客数が著しく減少したと考えられます。

なかでもシンガポールは、2月7日という他の東南アジア諸国と比べても早い段階から、政府による感染症警戒レベルの引き上げや日本への不要不急の渡航自粛要請・外出規制の実施を実施していました。このような厳しい措置の長期化が、10人未満という極めて少ない外客数となった要因の1つといえるでしょう。

欧米豪:国内における厳しい外出制限で、全ての欧州市場が30人以下に

欧米豪市場における4月の訪日外客数は、アジア市場と同様に、全ての国においてほぼ100%減となりました。

外客数が最も多いアメリカで300人、次いでメキシコが60人、カナダとオーストラリアは50人でした。

欧州に注目すると、イギリス30人、ロシア20人、フランス10人であり、感染者数の甚大なドイツ・イタリア・スペインは10人未満とほぼゼロに等しい数値となっています。

これらの国では、海外渡航の自粛要請はもちろんのこと、国内での厳しい移動制限も敷かれたことから、旅行はおろか外出することさえままならない状況となっています。

外出制限の緩和と、第二波への警戒が高まる:フランス、イタリア、シンガポールの場合

厳しい水際対策を講じてきた各国ですが、感染拡大のペースが抑えられているとして、5月に入り欧州を中心に外出制限などの緩和が始まりました。

フランスは5月11日より、約2か月続いた外出制限を大幅に緩和し、多くの商店が営業を認められています。同時に、公共交通機関を利用する際はマスクの着用が義務付けられ、パリ中心部の地下鉄駅ではマスクが配布されるなど、引き続き感染予防対策にも余念がありません。

一方で、制限が緩和された当日は、パリ市民の憩いの場であるサンマルタン運河沿いに人が殺到し、あまりの賑わいに警察が出動する事態となったことも伝えられています。こうした状況を受け、感染者が再び増加する第二波への警戒が高めらています。

多くの感染者と犠牲者を出したイタリアも、5月18日よりロックダウンの段階的な解除を始めました。全国の美術館や飲食店・美容院が営業再開し、家族や親戚・友達と会うことも許可されています。

公園には警察車両が止まり、人が集まりすぎていないかチェックするなど、再び感染者が増加することのないよう警戒を強めている様子です。

欧州だけでなく、アジアでも制限緩和の様子が伝えられています。シンガポール政府は、1か月以上続いた経済活動の制限を緩和し、6月2日から全体の75%を超える経済活動の再開を認めると発表しました。

再開にあたっては、引き続きできるだけ在宅勤務を続けるよう企業に求めています。またレストラン内での飲食や小売店の営業再開などは、今後の感染状況を見極めながら段階的に制限緩和を目指すとしています。

インバウンドの回復期のターゲット市場のシミュレーションをし、情報発信の継続を

日本は5月14日より、新たに13か国を追加し、現在計100か国・地域からの入国拒否の体制を敷いています。引き続き、感染拡大防止に向けた水際対策の強化は続く見通しです。

各国では欧州を中心に外出制限の緩和が徐々に開始され、市民の外出やビジネスの再開が可能となった地域もありますが、引き続きソーシャルディスタンスの徹底といった感染予防策が取られている状況です。

感染が再び拡大する第二波への警戒を呼びかけている場合も多く、以前同様に各国で海外旅行が楽しまれるのはまだ先のようです。

今後は日常生活や近距離・国内旅行が回復していくと考えられます。訪日旅行をその先の選択肢としてイメージしてもらえるような機会も生まれてくるでしょう。

今回のJNTOの発表した訪日外客数は、インバウンド業界に関係する多くの人にとって、初めて見る衝撃的な数字となりました。それでも、徐々に各国での経済活動は回復しています。アフターコロナに向けて、各国の感染動向や制限緩和の状況を注視し、旅行者・消費者としての外国人の心理理解と、それを踏まえた情報発信に努めることが引き続き重要です。

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<参照>

・JNTO:訪日外客数(2020年4月推計値)

・外務省 海外安全ホームページ:日本における新型コロナウイルスに関する水際対策強化(新たな措置)

・NHK:フランス 約2か月続いた外出制限緩和も警戒続く 新型コロナ

・BFM TV.:Déconfinement: des dizaines de personnes se sont réunies au bord du canal Saint-Martin à Paris

・BBC NEWS JAPAN:欧州各国でロックダウン緩和へ 死者数の減少受け

・NHK:シンガポール 経済活動の制限緩和へ 新型コロナ

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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