新型コロナウイルスの感染拡大により、自宅の外へ買い物に出かける機会が減少しています。
一方で、世界規模で増加しているのが自宅で商品やサービスを購入する「巣ごもり消費」です。
また、自宅で過ごす時間が増えたことで、今までとは違う消費の形態が数多く見られるようになりました。
人の動きが大きく制限されている今、インターネットを活用することで、国内のみならず国外の消費者をもターゲットに、訴求力を向上していこうとする動きが広がっています。
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新型コロナウイルスにより注目される巣ごもり消費
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛により、自宅で商品やサービスを購入する「巣ごもり消費」が拡大しています。外食の機会が激減したことによる食料品の購入やデリバリーサービス利用のほか、家での生活を充実させるためのグッズや書籍の購入も突出して増加しています。
巣ごもり消費による影響
朝日新聞デジタルは4月2日から9日にかけて、全国の20~70代の既婚男女1,620人に調査を行いました。
自宅でお金を消費する「巣ごもり消費」について、45.1%が「食料品にかかる費用」が増えたと回答し、他にも「書籍の購入」(9.6%)や「有料の動画配信サービスの利用」(5.3%)による支出が増えたとの回答がありました。
また4月10日にヤフーが発表した調査結果によると、ヤフーショッピングでは前年比でプログラミング学習玩具が3.2倍、小学生向け参考書が2.4倍の売り上げとなったと報告しています。
外出自粛によってECサイトの売上が向上しているのが明らかであり、日用品に限らず、自宅で学習できる参考書や運動不足解消のためのフィットネスグッズの人気が高まっています。
来店客が激減しているアパレルブランドにおいても、ECサイトの売上が全体をカバーしているケースが見受けられます。
デリバリーの増加・ECサイトの売上が増加
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛によって、注文した料理が自宅に届くデリバリーを利用する機会が増加しています。営業が困難な中、デリバリーで売り上げを少しでもカバーしたい飲食店と、外食ができなくなった消費者との需要と供給が一致した結果だと考えられます。
また、店舗に足を運ぶ形での買い物が困難になったことで、ECサイトを利用した通信販売の利用も大幅に増加しています。
デリバリーやオンラインショッピングに対応していなかった店舗でも、これを機にサービスの拡張が見込まれます。
世界で起こる巣ごもり消費
世界各国で外出禁止令が出される中、各種SNSや動画配信サービス、越境ECサイトの利用増加が目立っています。
これらもまた「巣ごもり消費」の一種であり、人々が自宅に留まることで需要が急速に拡大しているサービスが多々あることが明らかになりました。
コロナ禍における海外旅行者の減少が日本経済に大きな打撃を与える中、越境ECを利用した「ウェブインバウンド」に対する期待も高まっています。
世界中で動画配信サービスやSNS利用が増加
先月21日、米動画配信最大手のNetflix(ネットフリックス)は、全世界の有料会員数が今年3月末の時点で1億8,286万人に達したと発表しました。昨年末との比較では1,577万人もの増加で、同社が当初予測していた2.3倍の会員増となりました。
各国で出されている外出禁止令により自宅で過ごす時間が増えたことが主な要因と見られ、米国・カナダで231万人増、日本を含むアジア太平洋地域では360万人増、欧州などでは696万人増と報告されています。
また、先月2日にフェイスブック・ジャパンが発表したところによると、感染拡大が大規模な地域では「Facebook Messenger」や「WhatsApp」での音声や動画での通話数が2倍以上にのぼっています。
他にも、スポーツ選手やアーティストをはじめとする著名人が、Instagramのライブ動画機能を利用する機会が増加しています。この傾向により、米国時間3月30日2時時点で、Instagramのライブ動画機能の利用数は全世界で50%もの増加に達しました。
巣ごもり消費により日本製品の売れ行きが向上
越境EC対応サービスを提供する株式会社ジグザグ(東京都)によると、同サービスを導入している企業の2020年1~3月の売上高が2019年7~9月と比較して143%と大幅に増加していることが分かりました。
この数字は、国外からの越境注文も増加していることを明らかにしています。
新型コロナウイルスの感染拡大によって防じんマスクやかぜ薬、紙ナプキンなど生活用品の注文が増加の傾向にあります。
その他にも、写真集やCDなど、アニメやタレントに関連したグッズも高い人気を集めています。特に、アメリカ、中国、香港からの注文が多く、これを機に越境ECの対応に踏み切る国内通販企業も多くみられます。
ネット上における外国人へのアプローチ方法
インターネットの国際的な普及や海外のEC消費が伸長していることにより、越境ECの市場が拡大しています。
また、大幅な移動規制がされている中、海外旅行を少しでも味わえるように動画配信によるプロモーションを行っている例もみられます。
ここでは、インターネット上で外国人に対してどのようなアプローチをすることができるかを紹介します。
越境ECの導入
日本以外でも、中国やASEAN、欧米の市場など、国際的な市場人口は増加の傾向がみられます。
技術の進化により、言語や通貨に関わらず国境を越えて巨大な国際市場にアクセスできるようになりました。また、海外に向けて日本産の商品を販売することで、付加価値に対する訴求力の向上が見込めます。
なお、コロナ禍以前にも越境ECの需要は既に高まっています。経済産業省の調査によると、2017年度の米国の消費者による日本・中国事業者からの越境EC購入額は前年比15.9%増、中国の消費者による日本・米国事業者からの越境EC購入額は前年比26.8%増でした。
世界的に海外旅行が制限されている今、日本の食や商品に興味を持つ外国人に対してインターネット上で販売する施策は有効といえるでしょう。
動画配信によるPR
2020年3月2日、静岡県伊東市は外国人観光客をターゲットにした動画をYouTubeにて公開しました。現時点(2020年5月現在)で再生回数は2,151万回にものぼり、市による当初の想定を大きく上回る反響を呼んでいます。
映像は8K・HDRで、高画質な映像によって伊東市の街並みや自然が次々と映し出され、同市のあらゆる魅力を直接的に視聴者に伝えています。
動画には英語でのコメントも多数寄せられており、外国人への影響も多くみられます。自宅で過ごす人が多い現在、国際的に普及している動画共有サービスを使用して魅力を発信することで、アフターコロナを見越したPRを行うことが可能です。
世界中で広がる「巣ごもり」の期間を活かした戦略を
新型コロナウイルスの感染拡大にともなって世界規模で「巣ごもり消費」が増加しています。外出自粛により店舗に足を運んで買い物をする機会が減少しており、その分自宅からウェブサイトを通じて商品を注文する機会が増加しています。
国内の消費者に向けたオンラインショップだけでなく、国外の消費者をターゲットにした越境ECサイトも広がりをみせています。
動画配信サービスやSNSの利用者も増加傾向にあり、多くの人が自宅で過ごす今、インターネットを通じた情報発信をすることで、終息後のインバウントに備えようとする動きもみられます。
こうした越境ECの導入や動画によるPRといったアフターコロナに向けての準備が終息後の訪日外国人集客につながるでしょう。
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