先日、中国の大手ポータルサイトの網易(ネットイース、NetEase)が、「2019年の100の事件・ニュースについて、どれだけの期間、それぞれに注目が集まったか」というまとめを発表しました。
この調査レポートは、事件やトラブル或いは政府発信の情報についての、ネットユーザーの関心の高まりと低下するタイミングについて紹介しています。
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中国ネットユーザーのニュースへの関心発生と、低下スピードを分析
このレポートでは2019年に起きた100件のニュースを対象に、ニュースサイトやアプリ、WeChatの公式アカウント、Weibo、BBSに投稿されたコンテンツをもとに傾向を分析しています。
その結果は、出来事の発生当日はまだ拡散されてないから注目度は低く、その1日後に主に注目が集まり始め、さらに翌日の2日目にピークを迎え、3日目以降はどんどんと関心が下がるというものでした。
出来事発生当日から14日目までで、平均以上の関心度がもたれる期間は5.7日だとしています。
![▲[日を追ったネットニュースの注目度]:出典ネットイース ▲[日を追ったネットニュースの注目度]:出典ネットイース](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/6500/main_2020_0412_a717a3cdp00q8ns6r004nc0015p01pbc.png?auto=format)
ネットイースは一つの例として、2019年2月5日に封切りとなった人気映画「流浪地球」がどの程度ネットユーザーの関心を集め、どのタイミングでその関心がピークになったかを挙げています。
この映画が話題になるのは上映開始後7日目で、前後11日間注目が高い結果となりました。
どのサイトで話題にされている?Weiboが優勢
ニュース・事件についての各SNSプラットフォームの書き込み数については、ミニブログの「新浪微博(ウェイボー、Weibo)」が半分以上の52%です。
その他のプラットフォームとその比率は、メッセージングアプリの「微信(ウィーチャット、WeChat)」の公式アカウントが31%、ニュースサイト・ニュースアプリが14%、各種BBSが3%となっています。
ニュースを伝えるメディアとしては、昔からWeiboが強いです。何か大きなニュースが発生した際には、ネットユーザーはWeiboにアクセスします。
事件発生「2日後」がネットユーザーの関心ピーク
Weiboやウィーチャットの公式アカウントを含め、どんなSNSだろうと、出来事の発生2日後がピークになることは同じです。
ただし、Weiboは2日目にどこのSNSよりも注目を集めて頂点に達した後、3日目以降は急落して他のメディアよりも注目が集まらなくなる「熱しやすく冷めやすい」タイプであるのに対し、公式アカウントでは2日目の頂点で最も低く、3日以降も下がり方が緩慢という「熱しにくく冷めにくい」という特徴が見えてきます。
レポートでは、ニュースジャンルによる、プラットフォーム別の親和性の高さも紹介しています。
建設現場の資材や建物の倒壊、交通事故のような安全事故系ニュースでは、WeiboよりもWeChatの公式アカウントでの注目度が高くなっています。
企業事件系ニュースではWeiboとWeChat公式アカウントの注目度が同程度ですが、エンタメニュースや官製情報ではWeiboがWeChat公式アカウントの注目度より高くなっています。
インバウンド情報を出すならばどちらかというとWeiboのほうが高い注目を集めることができると考えられるでしょう。
とはいえWeiboは熱しやすく冷めやすいSNSプラットフォームであることがわかりました。WeChat公式アカウントも活用し、バランスの良い情報公開が必要になっています。
![▲[SNS別の日を追ったネットニュースの注目度]:出典ネットイース ▲[SNS別の日を追ったネットニュースの注目度]:出典ネットイース](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/6501/main_2020_0412_1cb32e0ep00q8ns8x006dc0015p01mfc.png?auto=format)
トレンドのコンテンツ
次にレポートに含まれないニュースの実例について、先日紹介した、百度指数による調査方法を活用し、検索数の傾向を見てみます。
中国語入力ができなくても問題なし!ネットで中国の一次情報にアクセス:自分でできる市場動向調査、199itと中国版Google
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検索もSNSと同様、熱しやすく冷めやすいことには変わらないようです。2つ例を挙げます。
1. 『説好不哭(泣かないと約束したから)』への熱量は、どのくらいの期間継続したか
1つ目の例として、昨年9月16日に人気歌手「周杰倫(Jay)」がリリースし、同曲を配信するQQ音楽のサーバー停止するほど注文が殺到した新曲『説好不哭(泣かないと約束したから)』を紹介します。
この新曲は23時にリリースされ、1曲3元(約45円)で販売され、リリースから40分で販売数は246万ダウンロード、リリースから2週間で1,000万ダウンロードを記録しました。この曲のPVの一部は日本を舞台にしたこともあって、10月の国慶節の際には中国人旅行者がロケ地巡りをしたといいます。
【中国】スカイツリーが新しい「聖地」として人気急上昇中のワケ:人気No.1歌手・周杰倫の新曲MVのロケ地
日本のアニメや漫画に舞台、あるいは映画やドラマで撮影地を観光する聖地巡礼は「ロケツーリズム」として、インバウンド誘客の効果を高く期待できるものです。アニメ「君の名は。」が描く世界に登場する飛騨市は、作品の舞台を目にしたいと訪れる人も多く見られます。観光客数は前年対比で28倍に増加し、この「聖地巡礼」ブームの代表的な事例として知られています。聖地巡礼は各国の旅行者によりその市場規模を拡大しています。こうした中で、今週、インバウンドでも最大の市場を形成している中国人観光客の今後の旅行先を大きく...
では百度での検索はどうだったのでしょうか。
百度指数を見てみると、たしかに16日の発売日に検索はされるものの多くはありません。また発売前の注目は非常に低いものとなっています。
その2日目の17日には、発売日の4倍以上の検索数で頂点となり、3日目の18日には初日16日と同程度まで落ち込みます。
4日目の19日以降はじわじわと下がりつつも一定数検索がされ続けます。そう考えると、リリースから40分で246万ダウンロードありながら、2週間かけて1,000万ダウンロードしかされないというのも、なるほど納得で、話題になるタイミングで有料コンテンツの消費もされるわけです。
2. 日本製スマホゲーム「旅かえる」の場合
2つ目の例が、人気となった日本製スマホゲームの「旅かえる(旅行青蛙)」です。2018年の1月に突然ブレイクし、ネットユーザーが誰もが知るところになりました。2018年の4月にはアリババが旅かえるの開発元のHit-Pointと提携し、中国でのラインセンス業務を行うと発表しています。
こちらは1月15日より草の根レベルで拡散していきます。1月20日から指数関数的に検索数が増え、24日に頂点に達します。
その後2月8日まで指数関数的に下がり、その先は前述の『説好不哭』同様にそこそこの検索指数となります。
旅かえるが特に人気だった期間は20日間でした。旅かえるよりはロングランのゲームは数あれど、口コミとしてみれば長い部類に入るともいえます。
これだけ人気のコンテンツで、アリババが素早く動いても、中国の人気の温度が下がるスピードが上回るわけでなんとも悩ましいものです。
まとめ:話題性を持続させるための施策が重要に
SNSと検索で情報への関心が発生するタイミングや、持続する期間やについて紹介しました。
中国では頻繁に情報を出していかないと、高い注目度を継続できません。情報を出し続けて成長した会社には例えば、スマートフォンやスマート製品の「小米(シャオミ)」があります。同社や同社製品がまだ無名なころ、新製品を限定数販売する報道をコンスタントにすることで、マニアに認知されました。
シャオミのように、日本の様々な商品やお得なクーポンをコンスタントに、小出しに出し続けるというのは中国人消費者の印象に残り、選ばれるための良い手法かもしれません。
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