富士そばといえば、安くて美味しい庶民の味として親しまれていますが、実は近年、訪日外国人からも注目を集めています。
そばはもちろん、天ぷらやかつ丼などのメニューも人気です。
また、富士そばは海外にも積極的に進出しており、その動向にも注目が集まっています。
そこでこの記事では、富士そばに外国人が殺到する理由、外国人に人気のメニュー、富士そばの海外進出の概略などについて紹介します。
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外国人が殺到する富士そばの魅力とは?
富士そばには、日々多くの外国人が殺到しています。その理由として、日本らしさやその手ごろな価格、そしてガイドブックやメディアによる紹介などが挙げられます。
ここではもう少し詳しく、その理由を掘り下げていきます。
日本らしさ
和食は「和食 日本人の伝統的な食文化」として国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産にも登録されており、その価値を世界に認められているといえます。
そんな文化遺産でもある和食を求めて訪れる外国人も多くいることでしょう。
富士そばのメイン商品であるそばは代表的な和食の一つであるだけでなく、そば以外にも天ぷらやかつ丼などの和食の豊富なラインナップが揃っています。
また、富士そばの店内には和風の装飾が施されていることも、訪日外国人にとって日本旅行のムードを高めてくれる要因になります。
さらに「富士そば」の店名である「富士」からも、「富士山」を連想させることから「日本らしさ」を感じる訪日外国人もいるようです。
このような富士そばの持つ様々な「日本らしさ」が、訪日外国人に人気の理由です。
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手ごろな価格
次に挙げられる理由は、その手ごろな価格設定です。
訪日外国人は、日本人が普段食べているようないわゆるローカルフードを求めています。
富士そばといえばサラリーマンの聖地ともいえるチェーン店であり、その店舗の大半が駅前などの便利な場所にあります。
お店は立ち食いスタイルで、短時間かつ低価格で和食を食べられます。
そういった日本らしさを、何より低価格で手軽に体験できるのも外国人にとっての魅力です。
また、食事もヘルシーでさっと一人で食べられる点も評価されています。
ガイドブックやメディアでの紹介
富士そばは、海外のガイドブックやメディアでも多く紹介されています。こうしたメディア露出の多さによる認知度の高さも、訪日外国人の来店数に影響を与えているでしょう。
訪日外国人観光客の多くは事前にガイドブックや口コミを入念にチェックします。
こうした「旅マエ」の情報収集で富士そばの日本らしさや手ごろな価格に関するレビューをガイドブックやメディアを通して多く目にすることになります。
そのような好評なレビューをチェックしてまた多くの訪日外国人が訪れ、訪れた人々がまたレビューを残すという好循環が働いていると考えられます。
外国人のニーズとは?
次に、訪日外国人のニーズや好みを、富士そばの人気メニュー3選やその接客方法を紹介しながら解説します。
外国人に人気のメニュー3選
「名代 富士そば 秋葉原電気街店」では、訪日外国人に以下の商品が人気のようです。
1位:かつ丼(490円)
意外にも1位はそばではなく、かつ丼です。
この富士そばのかつ丼を目当てに来店する外国人も多くいるとのことです。
とんかつを出汁と醤油のきいたつゆで煮てたまごでとじたかつ丼は、万人に好まれる味のようです。
2位:肉富士そば(470円)
そばの上に豚肉と温泉卵をのせた肉富士そばが第2位にランクインしています。
富士そばのメインであるあっさりとしたそばと、ボリュームのあるお肉の両方を堪能できるのが人気の理由です。
生卵が苦手でも温泉卵なら食べられるという外国人も多いそうです。
3位:天ぷらそば(410円)
そばの上にカラッと揚げたかき揚げがのった天ぷらそばが第3位です。
天ぷらを、富士そばこだわりのそばつゆにひたして食べる天ぷらそばは、訪日外国人にも人気が高いようです。
外国人の好み
外国人は食事にボリューム感を求める方が多く、肉料理や揚げもの系のメニューは常にニーズがあります。
特に肉料理は外国人に大人気で、かつ丼は年末のシーズンには1日300杯も出るそうです。
また重要なポイントとして、外国人の中には冷たい食べ物に抵抗を持つ方もいます。
そのため、温かいそばを好む方が多いというのも大きな特徴です。
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外国人への接客
富士そばが実際に実践している訪日外国人への接客方法を紹介します。
まず、英語の堪能なスタッフを配置することはもちろん、英語のメニュー付きの食品サンプルをショーウィンドウに配置しています。
日本の職人芸とも言える食品サンプルや、海外では珍しい「券売機」にも訪日外国人は興味を持つようです。
それに加えて和風の内装やBGMの演歌で日本らしさを演出しつつ、英語にもしっかり対応することで、訪日外国人にとっての利用しやすさと日本らしい雰囲気を両立した環境をつくりだしているといえます。
また、2016年には東京・浅草で訪日外国人向けにそばアレルギーチェックイベントも開催したこともあります。そばアレルギーの存在自体知らなかった訪日外国人に学びの機会を提供するだけでなく、タトゥーのようなシールで楽しくそばアレルギーをチェックできるような工夫がなされています。
富士そばの海外進出
こちらでは、富士そばの海外進出について紹介します。
日本国内ですでに外国人に人気の富士そばを海外進出させた理由、海外進出の概略、そして今後の展開について紹介します。
海外進出の概略
富士そばは、2013年よりグローバル展開を開始し、同年10月にインドネシアの首都ジャカルタに海外第1号店をオープンしました(2014年7月閉店・撤退)。
その後は台湾、フィリピン、シンガポールにも展開しています。
撤退したインドネシアは独立資本の直営、台湾では合弁、フィリピンではFC展開などと、国ごとにそれぞれ異なった経営形態で進出してきました。
海外進出をした理由
富士そばの代表取締役社長である丹 有樹氏によると、関東圏に100店舗ほど出店した後、通常であれば次の大都市圏である関西や名古屋などに出店していくパターンが考えられますが、リスクはあれど爆発的に店舗が増える可能性や夢、そして挑戦へのやりがいを選ぼうという考えから海外進出の検討をはじめたとのことです。
また、日本食が世界でこれだけ流行っている中、日本企業が海外に出ていかなくては、海外で戦える人材を育成しなければという気持ちも後押しとなったということです。
今後の展開
丹社長によると、台湾とフィリピンについては現地で店舗を広げていけるニーズがあるため、このまま伸ばしていきたいという考えです。
また、他国にもニーズやチャンスがあれば同様に展開していきたいとのことです。
全体の戦略として、富士そばはインバウンド需要をまずは日本国内でしっかり取り込みながら、同時に海外の基盤も整えていくという方針のようです。
さらには海外の富士そばを利用したお客様に、「本家の日本のお店に行きたい」と感じてもらい、訪日外国人客数の増加に結びつけたいという考えもあるようです。
「日本らしさ」と受け入れ体制の整備が発展の秘訣
ここまで、富士そばに外国人が殺到する理由、訪日外国人に人気のメニュー、そして富士そばの海外進出の概略などについて紹介してきました。
富士そばは訪日外国人が求める「日本らしさ」を食事はもちろん、内装やお店の雰囲気、そして接客方法を通して低価格で提供しているため、人気を獲得したといえるでしょう。
そのほか、オーダーに関わるような簡単な英語のコミュニケーションであれば、スタッフ全員ができるような教育体制の整備も重要です。
富士そばの事例から学べる「日本らしさ」と「受け入れ体制の整備」は、訪日外国人を集客する上での重要な成功事例の一つといえるでしょう。
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